作家の安藤鶴夫が東京四谷の横丁でたい焼きを買った。しっぽの先まであんこが詰まっていて、≪ぼくはそのたい焼きに人間の誠実さを味わった≫と書いている。ところがそれに対して、「たい焼きのしっぽは、一種の箸休めだ」と反論が出たという。確かにその通りかもしれない。味覚は人それぞれだ。
外国人、特に米国人にあんこを食べさせると「豆の味しかしない、甘さを感じない、これはスイーツではない」と言う。日本の繊細な味覚は外国人には伝わらないようだ。小豆は日本の味には欠かせないが、最近は甘い洋菓子に押されて和菓子離れが進み、小豆の栽培が年々減少傾向にあるという。いちごやりんごなど果物は何でも甘くなっている。果物だけではないトウキビやイモなどの野菜まで糖度を増している。日本人の舌もそれに慣れてしまったようだ。しかし、まだ「たい焼き」は根強い人気を保っている。
~しっぽには、いつもあんこがあるように、それが世の中を明るくするように、あんこが身近にある。明るい世の中が続きますように~(安藤鶴夫の随筆より 1953年)
札幌の大丸の地下菓子売り場に長蛇の列ができていた。ノースマンの餡バター味を求める客だった。
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