2026年3月28日土曜日

花だより 教師として大事なことは、全て教え子から学んだ(2) 特選実話「ガラスを割ってヒーローになったT」 レンギョウ フキノトウ

 


       特選実話10選から
 ガラスを割ってヒーローになった高橋君(1年生)
 日曜日、グラウンドでボールを蹴って遊んでいた高橋君、思いっきり蹴ったボールがプールの窓に当たり割ってしまいました。彼はすぐに近くの校長住宅に行き、「校長先生、ごめんなさい。プールの窓ガラスを割っちゃいました。」と謝りました。家に帰ってお母さんに言うと、「そりゃ大変!」お母さんは彼を連れて校長住宅に謝りに行きました。夕方、銀行の支店長をしている父親が帰ってくると「そりゃ大変だ!」と、また彼を連れて謝りに行きました。  そして、私の家にも電話がありました。
 月曜日朝、校長室に呼ばれ「先生のクラスの高橋君が…」と一連の話を聞きました。その日は全校朝会でした。校長先生の話になり、開口一番「1年4組の高橋君、上がってきなさい」と言いました。“何も全校児童(700人)の前でガラスを割った話をしなくても…”と思いました。すると「高橋君は1年生だけど、プールのガラスを割るくらいのすごいキック力があります。それにもっとすごいのは、すぐに謝りに来たことです。」と全校児童の前で褒めたのです。
 休み時間、教室に「あいつが校長先生が言っていた正直者の高橋だぞ!」と上級生が来ました。その中の一人が「サッカー少年団に入らないか?」と誘いました。ガラスを割ったのに、学校中のヒーローになったのです。
 叱るより、褒める方が効果はある
 北小の校長になって、校庭の栗を採ろうとして枝を折ってしまった子が校長室に謝りに来ました。そのとき、高橋君を褒めた校長先生のことを思い出し、この手を全校朝会で使うことにしました。
「〇年〇組の〇〇くん、上がってきなさい。彼は正直者です。」すると休み時間に3年生の男子がやってきて、「校長先生、ぼく、この前、ママの財布から1,000円取った。ごめんなさい。」と言うのです。ずっと悪いことをしたと心に引っかかっていたのでしょう。その子の家に電話して、「正直に言いに来ました。反省していますので、どうかあまり叱らないでください。」とお願いしました。翌日、「どうだった?」と聞くと「すっごく怒られて、叩かれた!」と言っていましたが、スッキリしたようでした。
 高橋君は、その後中学、高校とサッカーを続けました。「叱るより、褒める」「子どもは、親の背中を見て育つ」高橋君から学びました。

2026年3月27日金曜日

花だより 「教師として大事なことは、大学の講義や教育の専門書からではなく、すべて教え子から学んだ」 フキノトウ タチツボスミレ

 


 4年生の時に転校してきたしんじ君は、親が離農して町にやってきました。どの教科もテストは100点、それもものの5分で終わらせます。ところが家庭学習や宿題は一切やってこない。「いくら100点とっても、やることをやらないといけない」と注意してもやってこない。これは家庭訪問をして親に言わないといけない。
 家は見るから貧しそうでした。茶の間の真ん中に母親がぽつんと座っていました。
 「しんじがお世話になっています。私は農機具の事故で両膝から下がありません。父さんが一人で農作業をしていたけれど、どうにもならなくなって町に出てきました。私がこんなんだから、しんじには母親らしいことは何にもしてやっていない。でもしんじは、家のことはなんでもやってくれるんですよ。新聞のチラシを見て『今日は〇〇が2割引きで安いよ』と買い物にも行ってくれます。」
 部屋の隅に少年ジャンプが置いてありました。見ると何倍にも膨れ上がっていました。
「マンガも買ってやれなくてね。友だちから古くなったのをもらってきて、何度も何度も読んでいるから、あんなに厚くなっちゃってね。私も動けないから新聞を読むのが好きでね。しんじと一緒に読んでいるんですよ。」
 宿題をやってこない来ないことを切り出せなくなり、「しんじ君は、学校でもよくやっています。何も心配ありません。」と言って帰ってきました。
 彼の読解力の凄さは家庭にありました。家庭学習や宿題以上のことをやっていたのです。母親らしいことは何もしていないどころか、他の親には真似のできないことをやっていました。彼はこんな家の事情を一切口にしませんでした。
 読売新聞の地方版に「北見支社記者〇〇しんじ」とありました。もしかして、あのしんじ君か? 我が家は、道新から読売新聞に切り替えていました。これも何か巡り合わせを感じます。連絡を取り、会うことにしました。
 やってきたのは、太鼓腹で薄毛のおじさんでした。「お母さんは?」と聞くと、だいぶ前に亡くなったそうです。その後、新聞配達をする条件で販売店に下宿して大学を卒業し、十勝毎日新聞に就職しましたが、読売新聞から声をかけられて、北見支社に来たということでした。子どもころからお母さんと新聞を読んでいた彼らしい人生だと思いました。二人のお酒はどんどん進みました。
 「どう見たって、彼女がいる様子はないな?食生活に気を付けて、もっと身なりを気を付けなさい。」と言って別れました。その後、本州の方へ転勤になりました。
 こんな話をすると、「今はこんな子はいない。」というけれど、勉強とは?教育とは?タブレットを使えば何でも効率的にできるとは思えませんし、お金をかけて学習塾に通えば成績が上がるかもしれないけれど「学問に王道なし」といいます。学問に手っ取り早い方法などないのです。そして、人が成長するにはお母さんの存在が大きいということです。
 教員生活最後に講演会を開いてくれました。題は「教師として大事なことは、大学の講義や教育の専門書からではなく、すべて子どもたちから学んだ」~特選実話10選から~の中でこの話をしました。

2026年3月24日火曜日

花だより 卒業式の式辞から スミレ

  



  学校に来られなくなった子がいました。その子が書いた作文です。 

 子どもまつりは、何もできなかった。運動会も出ようとしたけど、イヤな気持ちになって逃げ出した。みんなとぜんぜん勉強してないし、追いつけないし、諦めたり、逃げ出したりした。でも、母さんには、迷惑かけたくないし、でも、学校に行くと、イヤでイヤで気持ち悪くなって、あんときは、辛かった。中には「何か言われても気にすんなよ。」と言ってくれる友だちがいた。そんときは、すごくうれしかった。だから、できるだけ気にしないで中学校に行けたらいいなと思います。小学校でできなかったことややってないことがあっても諦めないでやっていきたいと思っています。
 学校は、ただ勉強したり、運動したりするところではありません。友だちと共に笑い、喜び、悲しみに涙して、みんなで成長していくところです。

 ~赤塚不二夫さんの言葉~
 
現実は、ままならない。うまくいかないことばかり、
 毎日、これでいいのだ!の連続だ。  
 自分を責めて、誰かを責めて、何かを責めて、そして、やっぱり自分を責める。
 人生は、うまくいかないこと つらいこと つまらないことが多いけれど、
 その間にゆかいなこと、楽しいことが挟まっているから、
 どうかあなたの人生を大切にしてください。
 あなたは、あなたのままでいいのだ。

 辛いことがあっても決して逃げないでください。辛いことを乗り越えたとき、また一つ成長するのです。温室育ちの花ではなく、雪の隙間から芽を出し、花を咲かせる福寿草のような人になってください。(卒業式の式辞から)

2026年3月23日月曜日

花だより 卒業記念文集から「ママありがとう!」 しだれ桜

 

 小学校の卒業式がありました。4月からわが町の中学校の制服が新しくブレザーになります。今年は移行期で、従来の学生服とブレザーが混じった卒業式になりました。指がすっぽり隠れたブレザー姿の卒業生がこども園にやってきました。  
 ~卒業記念文集から~
「ママありがとう!」
 “ママは、若くして私を産みました。苦労して苦労して私を育ててくれました。夜遅く仕事から帰ってきて、辛そうにしているママの姿を見るのが嫌でした。ママは大変なんだから、自分はちゃんとしないといけない。と思っても、いつも言うことを聞かないで、反抗ばかりしていました。この前、中学校の制服とジャージをそろえました。スカートをはいたら、「女の子らしく歩くんだよ。」と注意されました。4月から新しい生活が始まって、中学生なんだなあと実感しました。将来は、介護士の仕事をして、ママに心配をかけないようにしようと思っています。”
 すっかり成長した姿に感動しました。
 

2026年3月22日日曜日

花だより お利口さんほどストレスが多い クロッカス

 

    

 温泉に入ったり、旅行に出かけたりしてリフレッシュする人がいます。ある人は、ストレス解消に、パチンコをしたり、お酒を飲んだり、釣りに出かけたり、それぞれがストレス解消法を持っています。しかし、子どもはそれを知りません。自分ではどうすることもできず、それが問題行動として現れてきます。
  《ストレスコントロール》    医学博士 中島 一憲 氏 
 ストレスコントロールとは、お酒を飲んだりしてストレスから逃げることではありません。人生をより充実させて生きていくために、ストレスを自分が成長するための糧として主体的に取り入れていく姿勢が大切です。ストレスと上手に向き合い、ストレスへの耐性を強化しながら、さらに上のレベルを目指していくことがストレスコントロールです。苦労を乗り越えた収穫ほど、人間的に成長させ、深みを増していきます。ストレス発散で他人に迷惑をかけてはいけない。ストレスのない快適な環境をつくる努力をするより、ストレスに耐える心を育てることが大切です。
 子どもは遊ぶことが大切  
 体が疲れてくると、風邪をひきやすくなったり、胃腸がうまく働かなくなったりします。それは「少し休みなさい」というサインです。そういうときは、仕事を早く切り上げて、薬を飲んだり、医者に診てもらって回復を図ります。しかし、心の疲れはどうでしょうか?体のようにすぐサインが現れないので、多少調子が悪くても無理に頑張ってしまいます。
「みんな なかよし」教室によく掲示してある言葉
 「みんななかよし」、これほど難しいことはありません。“いじめのある学級”と“まったくいじめのない学級”の子どものストレスは、“いじめのない学級”の方が強いと言われています。子どものストレス発散は、わがままな行動や自己中心的な行動として現れるのが特徴です。いじめているという意識がないままに、ある一定の子どもに攻撃的になったり、また、必要以上に親に甘えたりするのです。“いじめのない学級”には、先生や親の言うことをよく聞く、お利口さんが多いのです。
 お利口さんほどストレスが多い 
 高学年になるとお母さんにべったりくっついて甘えることもできない。友だちのいやがることをしてはいけない。先生の言うことは、きちんと聞かなければならない。親の期待に応えなければならない。いつも良い子でなければならない。と思えば思うほど子どもにストレスは、たまってきます。本来子どもは、休み時間汗びっしょりになって遊んだり、家に帰っても暗くなるまで外で遊んで、兄弟げんかをしたりしてストレスを発散するものなのです。
 あれしちゃダメ、これしちゃダメとあまり言わないことです。

2026年3月21日土曜日

花だより 読解力の3段階 クサボケ 

 

 

  読書が育む 推論力・語彙力  今井 むつ 慶応大学名誉教授
 「14人の子どもが列に並んでいます。Aさんの前に7人います。Aさんの後ろには何人いますか?」 小1の算数の問題だが、3年生の正答率は28%、4年生で50%、5年生でも25%は間違えた。14-7=7の答えが多い。数字を使って計算式を作り、間違いなく計算はできても、A本人を表す数字「1」を計算式に入れることを思いつかない。文章が何を聞いているのかを理解して、書かれていない数字を自分で補うことができない。
 読解力とは何か? 文章には直接書かれていないことも自分の知識の枠組みを使って補足しながら、何を言おうとしているのか推論していくこと。推論は文脈によって変わる言葉の意味を考える場合などにも必要である。良い推論のできることは、良い読解につながる。
今の子どもは読解力がない」と言われるが、読解力には段階がある。
 ◎第1段階~文のレベルで情報を正しく解釈できる。 
 ◎第2段階~自分の知識を使って直接書かれていないことを補い、文章全体を正しく読み  
       取れる。
 ◎第3段階~文章全体のメッセージを自分の知識に関連付け、新たな思想を生み出せる。 
 最初の段階につまずいていないか留意する。そこで手助けをしていけば、あとは自分の力で次の段階に行ける。人間は推論能力の塊だから、読みたいという意欲があれば、自分でどんどん読んでいく。
                読売新聞 3月20日 「読解力フォーラム」より

 


2026年3月20日金曜日

花だより 最近の卒園式・入学式(入園式) フクジュソウ

 



 
 卒園式が終わると次は「入学式」です。5歳児は、もうランドセルを背負ってうきうきです。入学式は、子どもの成長と自立の節目を祝い、家庭・学校・社会との「つながり」を確認する儀式です。新しい生活への期待と不安を抱える新入生に安心感を与え、前向きに学習・学校生活をスタートさせる心構えを促す場として、学校や大学の教育活動において重要な役割を持っています。
 卒園式の朝は立看板の前で家族で写真を撮る列ができました。スタジオで貸衣装で記念写真を撮る家庭もあります。最近は、ビデオ撮影、写真撮影をするのが目的になっています。
 ~入学式の意味・ねらい~
成長と節目を祝う:子どもが自立し、新しい環境へ一歩を踏み出すことを祝福する記念すべき日です。
安心感と前向きな動機付け:不安な気持ちを解消し、「これから学ぶぞ」という期待感ややる気を引き出す。一部では、親しみやすい演出で緊張を笑顔に変える取り組みも行われている。
社会性・帰属意識の醸成:学校という共同体の一員になった自覚を持たせ、式典(国歌・校歌斉唱、式辞など)を通じて規律や所属意識を育む。
つながりの確認:学校、教職員、保護者、地域社会が連携し、新入生を歓迎・支援する体制を示す。
教育のスタート:新学年の学習活動の始まりとして、目標を持って学問に取り組む姿勢を示す場です。 ですから、こども園では、卒園式の取り組みと同時に小学校に入学する意味や心構えも教えています。
 ところが最近の卒園式や入園式は、わが子と親がドレスアップして「ばえる写真」を撮ることに終始するようになりました。うちの園では羽織、袴姿は遠慮してもらっています。トイレに行くとき困る。着なれないため、つまづいたりして危険であること、正せさえきちんと座っていられないからです。落ち着きがなく話を聞いていなくても、そこに親は目を向けません。最近の入園式や卒園式は、親の満足のためにあるようなものです。