2026年4月2日木曜日

花だより 押印書類9割、ファックス7割残る 文科省調査 ソメイヨシノ

 



 押印書類9割、ファックス7割残る 文科省調査
 約9割の学校で押印の必要な書類が使われていることが明らかになった。学校の働き方改革は急務で、文科省はデジタル化による校務効率を促す。
 政府は教育現場での押印やファックス使用を25年度末までに原則廃止する目標を掲げている。しかし、調査では91%の学校が「押印が必要な書類がある」と回答。日常業務にファックスでやり取りする学校も71.1%もある。
 教材費などの徴収金を口座振替やインターネットバイキングなど「完全デジタル化している」学校は45%ある一方、「全くしていない」学校は12.2%もある。
 「欠席・遅刻などの連絡受付」について、完全デジタル化している学校は55.5%、一部実施は32.4%だった。「保護者への調査・アンケートなどのクラウドサービスを用いた実施・集計」は、完全実施が29.4%となっていた。
 校務のデジタル化が進まない要因についても複数回答で学校に尋ねている。
 最も多かったのは「取り組みの実施について学校内で検討する時間がない」39.9%、次いで「ICT活用に対して不安」が33%だった。(4月1日 読売新聞)
 これが学校のおかしいところ、学校内で検討して導入しないとなるのだろうか?これこそトップダウンでやらないと学校のデジタル化は進まない。学校の働き方改革が進まないのもここに原因がある。
 

2026年4月1日水曜日

花だより 特選実話から(3) 「校長室に来る子」  ソメイヨシノ

 

 特選実話10選から 「校長室に来る子」 
「先生、先生…」と寄ってくる子は、担任がかわるとすぐに新しい先生に懐きます。
 校長室にゲームやおもちゃを用意して、休み時間に子どもたちを迎える校長先生がいます。それが「いい校長先生だ。」と評価する人もいますが、私はそうは思いません。
「校長室は何のためにあるのか?」ということです。校長室のつくりは、他と違って少し豪華になっています。応接セットがあります。立派な調度品が置かれ、歴代の校長の肖像が睨みを利かせているのが校長室です。
 休み時間は、友だちとグラウンドや体育館で遊ぶものです。それが校長室に来る子は学級になじめない子です。何か満たされないと他の子と違う行動を取るからです。
 担任が手に負えない悪ガキAが校長室にやって来て、ソファに寝転がるようになりました。校長室の居心地を悪くするために「論語」を読ませることにしました。すると児童館の先生から「校長先生、Aくんに論語を教えているんですか?『人を外見で判断してはいけない』と論語に書いてあるの知ってる?」と言われたというのです。
 Aは母親が再婚して転校していきました。Aから手紙が来て「今度の学校の校長先生は、校長室に行っても論語を読めとは言わない。」とありました。
 手紙と言えば、網走市潮見小学校に赴任した時の3月、斜里中学校から親展の手紙を届きました。中にもう一通、かわいい絵柄の封筒が入っていました。
~牧野校長先生、お久しぶりです。小学校でお世話になった○○です。中学校を卒業するにあたり、お世話になった先生や思い出にある先生に手紙を書くことになり、私は牧野校長先生に手紙を書くことにしました。小学生のとき、校長先生は、いつもおもしろい話をしてくれるので、休み時間になるとよく校長室に行っていました。そのことを思い出したからです。斜里中に来てからは、校長室に行くことはありません。それは中学生なので仕方ないことです。3月14日が卒業式です。そして、4月からはたぶん高校生です。いろいろなことにチャレンジしていきます。校長先生もがんばってください。~
 思いがけない手紙でした。斜里朝日小学校には2年間だけの在職でした。○○さんは、当時小学5年生で口数の少ない大人しい子という印象でした。その子から4年経って手紙が来るとは思ってもいませんでした。どんなおもしろい話をしたか覚えていませんが、休み時間に校長室に来るのは何かあったのだと思います。“中学校では校長室に行くことはなかった”と書いてあったので安心するのと立派に成長したことにうれしく思いました。 もう素敵なお嬢さんになっていることでしょう。 
 
 

2026年3月31日火曜日

花だより 大事なことは全て教え子から学んだ(2)「かなえ姉さん」 ヒヤシンス チューリップ

 


大事なことは全て教え子から学んだ 特選実話(2)
  かなえ姉さんは、5人兄弟の長女です。出会いは、全校児童数30数名の小規模僻地校(すでに閉校してありません。) かなえ姉さんは、背の高い子で、小学1年生の時から、「かなえ姉さん」と子どもたちばかりか先生方からも「姉さん」呼ばれていました。
 一つ下に、T・J・Mという悪ガキトリオがいて、みんなが名前を呼び捨てする中で、かなえ姉さんだけは、「Tくん、Jくん、Mくん」と君付けで呼びます。そして、「3人は、いつも元気がいいですね。」とけっして悪く言うことはなかったので、悪ガキ3人もかなえ姉さんには、ちょっかいを出すことなく、言うことをちゃんと聞いたのです。
*教師として大事なこと(呼び捨てにしない)をかなえ姉さんから学びました。
 かなえ姉さんの母親は教育大を出てT小学校に赴任しました。地元の農業青年の猛アタックで農家に嫁ぎました。「まさか自分が農家に嫁ぐとは…」と言っていました。
 かなえ姉さんは、性格もいい、勉強もできる子で、中学校では学年トップになったこともありました。ところが高校は地元の高校に進学しました。決して裕福な農家ではなかったので、妹や弟のことを考えてのことでした。両親は、「自分の好きな道を進みなさい」と随分言ったそうですが、その後、看護学校に進み、看護師になりました。
 妹のSさんは、お姉さんとは違って、負けず嫌いの子でした。高校は自宅から駅まで山道を自転車で通うことを条件に進学校に進学しました。部活はもちろんできませんでしたが、自転車通学で鍛えた足腰は、強行遠足では3年間10番以内でした。そして、教育大に進み教師になりました。長男のNくんは高専に進み、名古屋のトヨタの関連会社に勤めました。その下の子は双子で、女の子はSさんと同じ教師になり、男の子はNくんと同じ高専に進みました。
次女のSさん「かなえ姉さんのお陰で、私たち姉弟は、好きな道を進むことができました。」が感謝していました。
 Sさんの旦那と網走潮見小学校で一緒でした。「5月の連休は、どうするの?」と聞くと「毎年この時期は、奥さんの実家の農作業の手伝いです。きょうだいみんな揃います。いい家族ですよね。」と感心していました。(過日、私が退職すると聞いて、こども園に会いに来てくれました。)
 かなえ姉さんもすごいですが、両親もとても立派です。参観日にはご夫婦で必ず出席されていました。転勤後も秋になると長芋を持って来てくれて、子どもたちの様子を話してくれました。私は教師として大事なことをこの家族から学びました。

2026年3月29日日曜日

花だより 「書の現在地」 芸術性 外国人も魅了 ムスカリ バイモ

 

   
「書の現在地」 芸術性 外国人も魅了
  ~点・線・注意をはらい美しく 見て書いて実感~
 書は「見る」だけでなく、「書く」ことでより深い理解につながる。外国人観光客が慣れない手つきながら楽しそうに筆を走らせる。
 「白黒の抑制された表現でかえって創造力をかき立てられ、感情移入できる。」「ただ書けばいいのではなく、筆と墨で美しい点や線を書かなければならない。ハネやトメがあり、芸術活動に参加した感覚」と書道体験教室に参加した外国人は満足気である。
 海外に進出することで、世界的な「書道人口」の増加につなげようと書道メーカー呉竹は、筆や墨、硯などの日本の素晴らしい技術の道具を世界に伝えたいと意気込む。
 世界無形文化遺産に日本の書道が登録されれば、当たり前のこととして見過ごされてがちだった書道文化の面白さに、日本人が逆に気づかされるのではと国内で盛り上がりを期待したい。 (読売新聞 3月26日 牧野要約)
 3月31日で園長を退任します。「園長先生は、この後、どうされるのですか?」とよく聞かれます。70なので、今さらどこも使ってくれないでしょう。「書道教室でも開けばいいんじゃないですか?」と言われた、「うう~ん?」

2026年3月28日土曜日

花だより 全て教え子から学んだ(2)「ガラスを割ってヒーローになったT」 レンギョウ フキノトウ

 


       特選実話10選から
 ガラスを割ってヒーローになった高橋君(1年生)
 日曜日、グラウンドでボールを蹴って遊んでいた高橋君、思いっきり蹴ったボールがプールの窓に当たり割ってしまいました。彼はすぐに近くの校長住宅に行き、「校長先生、ごめんなさい。プールの窓ガラスを割っちゃいました。」と謝りました。家に帰ってお母さんに言うと、「そりゃ大変!」お母さんは彼を連れて校長住宅に謝りに行きました。夕方、銀行の支店長をしている父親が帰ってくると「そりゃ大変だ!」と、また彼を連れて謝りに行きました。  そして、私の家にも電話がありました。
 月曜日朝、校長室に呼ばれ「先生のクラスの高橋君が…」と一連の話を聞きました。その日は全校朝会でした。校長先生の話になり、開口一番「1年4組の高橋君、上がってきなさい」と言いました。“何も全校児童(700人)の前でガラスを割った話をしなくても…”と思いました。すると「高橋君は1年生だけど、プールのガラスを割るくらいのすごいキック力があります。それにもっとすごいのは、すぐに謝りに来たことです。」と全校児童の前で褒めたのです。
 休み時間、教室に「あいつが校長先生が言っていた正直者の高橋だぞ!」と上級生が来ました。その中の一人が「サッカー少年団に入らないか?」と誘いました。ガラスを割ったのに、学校中のヒーローになったのです。
 叱るより、褒める方が効果はある
 北小の校長になって、校庭の栗を採ろうとして枝を折ってしまった子が校長室に謝りに来ました。そのとき、高橋君を褒めた校長先生のことを思い出し、この手を全校朝会で使うことにしました。
「〇年〇組の〇〇くん、上がってきなさい。彼は正直者です。」すると休み時間に3年生の男子がやってきて、「校長先生、ぼく、この前、ママの財布から1,000円取った。ごめんなさい。」と言うのです。ずっと悪いことをしたと心に引っかかっていたのでしょう。その子の家に電話して、「正直に言いに来ました。反省していますので、どうかあまり叱らないでください。」とお願いしました。翌日、「どうだった?」と聞くと「すっごく怒られて、叩かれた!」と言っていましたが、スッキリしたようでした。
 高橋君は、その後中学、高校とサッカーを続けました。
「叱るより、褒める」「子どもは、親の背中を見て育つ」高橋君から学びました。

2026年3月27日金曜日

花だより 「教師として大事なことは、大学の講義や教育の専門書からではなく、すべて教え子から学んだ」 フキノトウ タチツボスミレ

 


 4年生の時に転校してきたしんじ君は、親が離農して町にやってきました。どの教科もテストは100点、それもものの5分で終わらせます。ところが家庭学習や宿題は一切やってこない。「いくら100点とっても、やることをやらないといけない」と注意してもやってこない。これは家庭訪問をして親に言わないといけない。
 家は見るから貧しそうでした。茶の間の真ん中に母親がぽつんと座っていました。
 「しんじがお世話になっています。私は農機具の事故で両膝から下がありません。父さんが一人で農作業をしていたけれど、どうにもならなくなって町に出てきました。私がこんなんだから、しんじには母親らしいことは何にもしてやっていない。でもしんじは、家のことはなんでもやってくれるんですよ。新聞のチラシを見て『今日は〇〇が2割引きで安いよ』と買い物にも行ってくれます。」
 部屋の隅に少年ジャンプが置いてありました。見ると何倍にも膨れ上がっていました。
「マンガも買ってやれなくてね。友だちから古くなったのをもらってきて、何度も何度も読んでいるから、あんなに厚くなっちゃってね。私も動けないから新聞を読むのが好きでね。しんじと一緒に読んでいるんですよ。」
 宿題をやってこない来ないことを切り出せなくなり、「しんじ君は、学校でもよくやっています。何も心配ありません。」と言って帰ってきました。
 彼の読解力の凄さは家庭にありました。家庭学習や宿題以上のことをやっていたのです。母親らしいことは何もしていないどころか、他の親には真似のできないことをやっていました。彼はこんな家の事情を一切口にしませんでした。
 読売新聞の地方版に「北見支社記者〇〇しんじ」とありました。もしかして、あのしんじ君か? 我が家は、道新から読売新聞に切り替えていました。これも何か巡り合わせを感じます。連絡を取り、会うことにしました。
 やってきたのは、太鼓腹で薄毛のおじさんでした。「お母さんは?」と聞くと、だいぶ前に亡くなったそうです。その後、新聞配達をする条件で販売店に下宿して大学を卒業し、十勝毎日新聞に就職しましたが、読売新聞から声をかけられて、北見支社に来たということでした。子どもころからお母さんと新聞を読んでいた彼らしい人生だと思いました。二人のお酒はどんどん進みました。
 「どう見たって、彼女がいる様子はないな?食生活に気を付けて、もっと身なりを気を付けなさい。」と言って別れました。その後、本州の方へ転勤になりました。
 こんな話をすると、「今はこんな子はいない。」というけれど、勉強とは?教育とは?タブレットを使えば何でも効率的にできるとは思えませんし、お金をかけて学習塾に通えば成績が上がるかもしれないけれど「学問に王道なし」といいます。学問に手っ取り早い方法などないのです。そして、人が成長するにはお母さんの存在が大きいということです。
 教員生活最後に講演会を開いてくれました。題は「教師として大事なことは、大学の講義や教育の専門書からではなく、すべて子どもたちから学んだ」~特選実話10選から~の中でこの話をしました。

2026年3月24日火曜日

花だより 卒業式の式辞から スミレ

  



  学校に来られなくなった子がいました。その子が書いた作文です。 

 子どもまつりは、何もできなかった。運動会も出ようとしたけど、イヤな気持ちになって逃げ出した。みんなとぜんぜん勉強してないし、追いつけないし、諦めたり、逃げ出したりした。でも、母さんには、迷惑かけたくないし、でも、学校に行くと、イヤでイヤで気持ち悪くなって、あんときは、辛かった。中には「何か言われても気にすんなよ。」と言ってくれる友だちがいた。そんときは、すごくうれしかった。だから、できるだけ気にしないで中学校に行けたらいいなと思います。小学校でできなかったことややってないことがあっても諦めないでやっていきたいと思っています。
 学校は、ただ勉強したり、運動したりするところではありません。友だちと共に笑い、喜び、悲しみに涙して、みんなで成長していくところです。

 ~赤塚不二夫さんの言葉~
 
現実は、ままならない。うまくいかないことばかり、
 毎日、これでいいのだ!の連続だ。  
 自分を責めて、誰かを責めて、何かを責めて、そして、やっぱり自分を責める。
 人生は、うまくいかないこと つらいこと つまらないことが多いけれど、
 その間にゆかいなこと、楽しいことが挟まっているから、
 どうかあなたの人生を大切にしてください。
 あなたは、あなたのままでいいのだ。

 辛いことがあっても決して逃げないでください。辛いことを乗り越えたとき、また一つ成長するのです。温室育ちの花ではなく、雪の隙間から芽を出し、花を咲かせる福寿草のような人になってください。(卒業式の式辞から)