現職の校長先生へ
ある新任校長が、「校長になったら、ああしよう、こうしようと思っていたのですが、はっきり言って『怖い』です。」と語った。
管内校長会長当時、新任校長に送った言葉から
なぜ怖いか 学校は、様々な事柄や事態に対応しなければならない。子どもたちの様子、教職員の状況、保護者への説明、外部との関わり、教育委員会とのやりとり、枚挙にいとまのない諸々の動きの、そのトップに校長がいる。学校経営の最高責任者であり、最終責任者である。つまり、後ろには誰もいない。もちろん設置者である教育委員会はあるが、学校内のすべての責任が校長にある。仕事はチームで進めても、最後の責任をひとりで負う、孤独な日々である。
なぜ怖いか 自分をさらけ出さなければならない場面が多い。式はもとより多くの機会に子どもたちや保護者に何を話すか、どんな文章を書くか。これは誰にも頼めない。当然、様々な判断も自分でしなければならない。自分自身の進退についても自分ひとりでしなければならない。足が震えるけれど、そこから逃げることはできない。みんなが校長を見ている。校長が、子どもたちや教員を守っているか。務めを果たしているか。多くの視線を感じる。これで怖くない人はいない。
現場は、いま、そこにしかない。お手本はあっても、いつどこでもその通りいくとは限らない。「怖い」と感じるからこそ謙虚になり、堅実な判断ができるのです。
「怖い!」と言っていた当時の新任校長先生も今や、管内を背負って立つ立派な校長先生になりました。そんな校長先生方にお願いがあります。
この2年間、校長先生方には、コロナ禍で、否が応でも教育活動の削減や縮小が求められました。これから収束に向かえば、コロナ禍で失われたものを何とか取り戻したいという気持ちが強くなると思います。しかし、元に戻すという意識よりも、せっかくスリム化できたわけですから、元に戻すという安易な発想を持つことは避けるべきです。学校の在り方を見つめ直す絶好のチャンスと捉え、今こそ、業務内容の改善や削減について大胆に取り組み、本丸である学力向上に力を注ぐべきです。校長のリーダーシップが試されるときです。
現職時代の2月から3月は、卒業式を控え職員団体との話し合いで憂鬱の日々を過ごしていました。校長本来の職務で悩むのはとても幸せなことです。
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