「頑張れ」と言わない ~家本芳郎先生の言葉に学ぶ~ (要約:牧野)
≪教師は「頑張れ」と言い過ぎ≫
~こんなときに使いませんか?~
A 朝から廊下ですれちがった子に「おはよう!頑張ってる?」
B 委員会の進行を務めた生徒に「よく頑張ったね。」
C 問題行動の指導後「次から頑張りなさい。」
D 試合や発表を控えた子どもたちに「頑張ってください!」
E 子どもから相談を受けたとき「負けずに頑張るんだよ。」
「頑張れ」は当り障りのない便利な言葉である半面、抽象的で曖昧な言葉でもあります。
≪何を頑張ればいいのか≫
いじめを受けている子に「負けずに頑張れ」と教師が迫れば、その子をますます追い込むことになりかねません。言葉をかけるなら「頑張れ」ではなく「助けを求めてもいいんだよ。私は君の味方だよ。」ではないでしょうか。
では、前述のA~Eの例ではどう話すべきでしょうか。
A「おはよう!ずいぶん寒くなったね。寒いのは平気?」「元気がないように見えるけど
具合悪いの?」など、その子に応じた声かけができれば良いと思います。
B「すぐ多数決で決めるのではなく、反対意見もよく聞いて、うまくまとめました。大し
たものです。」と良かった点を具体的に褒めると良いでしょう。
C「君が話した今後の決意を応援しているよ。」その子の反省や決意を受け止め、後押し
してやりたいものです。
D「練習の成果が発揮できるように祈っています。」
E「つらかったね。」「大変な思いをしてきたんだね。」などの共感的な言葉かけが良い
ではないでしょうか。ここは教師の人間性や教育に対する理念が表れるところです。
≪指導言葉を磨く≫
スポーツのコーチが選手を指導するときは技術面をチェックして、改善・矯正に向けた助言をするものです。「頑張れ」とハッパをかけるだけのコーチはいないはずです。教師の仕事も同じように考えてもいいのではないでしょうか。子どもと接する全ての場面で「頑張れ」を使わないように心掛けると必然的に適切な言葉を探すようになります。優れた教師は、いろいろな会話の言葉や指導の言葉を持っているものです。頑張れを禁句にするとは、頑張れと言わずに子どもの良さを引き出す。そう心掛けることで教師の指導力も高まっていくのです。
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