西郷隆盛 ~西郷(せご)どん~
平成30年1月から、NHK大河ドラマ「西郷どん」(原作:林真理子)が始まった。
大河ドラマで西郷隆盛を扱うのは、平成2年「翔ぶが如く」(主演:西田敏行)以来二度目、今回は、鈴木亮平が演じる。我々がイメージする西郷どんとは、異なるキャラクターだ。有名な上野の西郷像の除幕式に出席した3番目の妻の糸が、「うちの人は、こげなお人じゃなか」と言った話は有名である。
日本人なら、知らない人はいない。「日本人の好きな偉人100人」では11位に、「幕末の偉人」では、坂本龍馬に次ぐ2位にランクインしている。貧しい下級武士から身を起こし、関わった人々を惹きつけて止まない魅力あふれる人物である。
西郷どんが残した言葉からは、人柄が偲ばれる。
・思い切ってやりなさい 責任は私がとるから
・道が決して多端なものではない。まことに簡単なものである。ただ白と黒の区別があ
るだけである。
・功のあった人には、禄をあたえ、能力のある人には位を与えよ
・命も要らず、名も要らず、官位も金も要らぬ人は、始末に困る。
この始末に困る人ならでは、艱難を共にして、国家の大業は成し得られぬなり
薩摩藩の「議をいうな」という教えと「郷中教育」
「議をいうな」と言葉だけ聞くと少し乱暴のようにも聞こえるが、これは単に言い訳をするなという、議論封じに使う言葉ではない。議論を尽くして決まったことや、結論が出てしまったことに対して、ぐじぐじと言い訳や不平不満を言うのではなく、前を見なさいという言葉である。この教えは、鹿児島(薩摩)の昔からある教育制度「郷中教育」から生まれた。
郷中教育とは、郷中という地域社会を基盤として、地域の中で子を育てるという教育である。郷中内で年齢によって小稚児(こちご)(6~10歳)、長稚児(おせちご)(11~15際)、二才(にせ)(16~24・25歳)、長老(おせ)(24・25歳以上)に分け、先輩が後輩を指導するという異年齢集団の教育システムである。自分たちで、長稚児の中から稚児頭をというリーダーを選び、リーダーを中心とした自治的活動をした。そのリーダーが西郷どんであった。長州藩の吉田松陰の松下村塾のような突出した先生や教室があったわではなく、師弟同行の移動教室のような教育方法だった。
西郷どんは、わずか70戸あまりの下鍛冶屋(したかじや)町郷中の二才頭として、圧倒的な支持と人気があった。後輩には、大久保利通や村田新八、大山 巌、東郷平八郎などがいる。西郷を筆頭に20年の間に、小さな町から明治維新の立役者を何人も排出できたことは、決して偶然ではない。郷中教育という人材教育の賜なのである。
二人の人間(論語)
人間には「徳の人」と「才の人」とがある。「徳の人」は大将の器なるべし、「才の人」は補佐役たるべし。リーダーとしての地位が高ければ高いほど、技量的能力よりも徳の方を要求される。
西郷は、正に徳の人であり、大久保利通は、才の人であった。
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