【ネットトラブルと今後の課題】
~多様化するネットトラブル~
《ネットの現状》
最近の子どもを取り巻く情報環境では、ポータブルゲーム機、音楽プレーヤー、タブレットなどのネット接続可能な端末が登場し、パソコンやスマートフォンとほとんど変わらない機能を有しています。
また、駅構内、コンビニ、カフェなどでWi-Fiスポットが増え、利用に伴っての不正アクセスやウィルス感染、ゲーム機同士のすれ違い通信によりさまざまな個人情報が引き出される被害も起きています。
さらに自撮りした写真のSNS投稿に伴い、投稿写真に付加される撮影日時や位置情報などの*Exif(イグジフ)情報を消せないままネット上にアップロードした結果、個人の住所や名前、撮影場所が設定されたり、投稿からストーカー被害につながる事案も報告されています。
また、SNS上でのネットいじめでは、特定の子の発言だけ無視する、被害者にとって不快な写真や動画をグループで共有する、被害者以外の人とグループをつくり悪口を言う、被害者をグループから突然外すなどが見られます。この事態に気がついているのはSNSのグループ機能に加わっている子どもだけであり、クローズドなネット空間であることから、家族や周囲の大人は起きていることに気づかない状況にあります。
《学校に求められる取組》
学校での取り組みとしては、子どものネット利用の実態について継続的にアンケートを実施し、その結果を学校だよりなどにより家庭向けに情報発信したり、家庭向け・教員向け研修会の開催、学校でのネットにかかる取組方針(ガイドライン)の策定などが挙げられます。また、危機管理の観点からトラブル発生時には、警察をはじめとした関係機関への相談をためらわない姿勢が求められます。早期段階におけるネットトラブルの解決策は複数ありますが、問題が進展すると解決策が限定的となったり、打つ手が見当たらない場合も出てきたりします。加えてネット特性から、書き込まれた情報が瞬時に拡散してしまい取り返しがつかなくなることにも注意を要します。
トラブルの背景には、見えない相手とのコミュニケーションの問題があります。トラブルを乗り越えるには日常での対面上のコミュニケーションスキルが必要で、そのためには子ども同士の「人間関係づくり」に視点を置きながらスキルの向上を図ることがポイントになります。
①実態把握 ②家庭への啓発 ③研修(情報収集)④関係機関との連携 ⑤早期発見、早期対応
《家庭との連携》
子どもが初めて触れるネット機器は、多くは家庭でのパソコン・タブレット・スマートフォンです。家庭では使い方を教えながら、使用する時間や場所などのルールを決めるとともに、子どものサイト閲覧に制限をかける*ペアレンタルコントロールを利用することも必要です。また、使用時間や場所、利用金額などについてあらかじめルール化し、ルールに違反した場合の対応も決めておくことが大切です。この際、ネットトラブルは「深夜、自室で起きている」ことを認識しておくことです。
*Exif(イグジフ)=撮影日時、カメラの型番、撮影条件、(GPS機能付きのカメラは位置情報もわかる)をファイルに添付するもの(富士フイルムのサービス)
*ペアレンタルコントロール=子どもに悪影響を及ぼす可能性のあるサービスやコンテンツに制限をかけること
(文教大学人間科学部教授 石橋昭良 要約:牧野)
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