《初任者研修資料》「教育」(education)とは
元中央教育審議会 会長 鳥居 泰彦 氏
明治の学制を始めるに当たり、「education」という言葉をどう翻訳したらよいかをめぐり、明治の元老たちの間にいろいろ意見が出たそうである。
大久保利通公は、何も知らない子どもたちに知らないことを教える。そういうことにむしろ力点を置いた「教化」という言葉を文部郷の森有礼は「教え育てる」というところに力点が置いて「教育」という言葉、福沢諭吉は、一人一人の子どもの中に内在する能力、いろいろな才能、そういうものを引き出すという意味を込めて「啓発」という言葉を主張した。この3つはいずれも大事なことで、これらを総合したもの(何も知らない子どもたちに知らないことを教えてやる。そして、彼らを育ててやる。さらにその才能を引き出してやる)が、今日我々が言うところの「教育」であろうと思う。
中央教育審議会などでいろいろな方の意見を伺っていると、子どもたちに議論させて、その議論の中から答えが出てくるかのごとく論ずる極端な意見の方もあるかと思うと、徹底的に教えろという意見の方もおられ、まさにこれらの3つのことが同時に行われているのが教育であると思います。~中略~
《教育改革は国の最重要課題》
教育は国の最重要課題であり、長期の国家戦略として「教育」は一番重要視されなければなければならない。1983年アメリカの教育改革白書の膨大な報告書の最後に「教育には金がかかる。その金を惜しんでかけなければ、あまりできのよくない人間の山を築くことになる。そうした場合に、あまりできのよくない人間の山(国民)ばかりになってしまった国家を改善するには、はるかにもっと大きな金がかかり、コストがかかる」という言葉で締めくくられている。
財政が苦しくなると教育予算の削減を、教員の給与カットなど、あらゆる手段で削減しようとする。これから「それを思い止まりなさい。そんなバカなことばかり言っていると国はおかしくなりますよ」ということを申し上げなければいけない。これが私の仕事である。
~芝桜満開~
0 件のコメント:
コメントを投稿