試される思考・応用力 学力テスト 記述力新たな課題
学力危機 届くか「全国平均」 読売新聞 4月23日
北海道教育委員会は、全国学力・学習状況調査で「2014年度までに道全体で全国平均以上」との目標を掲げている。22日に行われたテストの結果は8月頃、明らかになる。これに先だって問題を分析した道内の教育関係者は、思考力や応用力を試す国語や算数・数学のB問題の出来が、目標達成の鍵を握ると指摘した。
胆振地方のある小学校では、テスト前日の21日夕方、教務主任や6年生の担任ら教諭6人がチームを組んで問題を解いた。本番終了後、児童の解答用紙を文部科学省に送る。今回の結果から得た課題を速やかに生かすため、解答用紙のコピーを取り、学校で独自に採点する。一足早く問題を解くのは、採点基準を定めるためだ。教務主任は「まだ全国と比較できないが、課題がすぐ把握できる。」と話す。(中略)
道内の国語教育に詳しい野口芳宏・植草学園大名誉教授は「多くの道産子は今回、国語Bに頭を抱えたのではないか」と推測する。複雑な解答条件を設けた問題が目立ち、正確な記述力が重視された。野口名誉教授は「活用力を伸ばすためには、普段から深く考えさせ、文章指導を徹底すべきだ。」と話す。
算数のB問題について、北海道教育大学の大久保和義教授は「食事の配膳方法の計算や音楽のリズムなど、日常生活に数学的な考え方を活用する力が問われた。」と指摘。単純計算の習熟も重要だが、これら道内の子どもが苦手とする分野で、授業を一層工夫するよう求めた。
「全国平均 目標は責務」 髙橋教一・前道教育長
「当時の道教育の実態に照らせば『2014年度までに道全体で全国平均以上』は高い目標だった。ただ、明確な目標設定をしたことで取組を推進できた。」
全国学力テストは07年度、43年ぶりに復活した。北海道は10年度までの4年間、ほとんどの教科で40番台だった。教育長に就任した直後、昭和30年代の学力テストの成績を調べさせ、北海道の成績がその頃も低かったことに気づいた。全国と比べて生活水準が低かったことが要因の一つだった。
同様に40番台だった秋田県は近年、全国トップレベルを維持している。10年以上にわたって県独自の学力調査を実施して授業改善に取り組み、生活習慣の指導も行き渡っている点が特徴だ。
全国どの地域でも一定水準の教育が受けられるという義務教育の趣旨を踏まえ、道教委として「全国平均以上」を目標とするのが責務と判断。家庭学習の時間や、朝食を食べる子どもの割合などを全国や秋田県と細かく比較・分析した報告書をまとめ、改善を求めている。ほかにも、教員研修の充実や家庭学習の推進など様々な対策を打ち出した。
(同じく4月23日の読売新聞から)
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