2019年12月28日土曜日

花だより クレーマー対応 カトレア ホオズキ


学校に対する保護者らの理不尽クレームが多くなり、その対応に苦慮していませんか?
 弁護士からのアドバイスです。
 クレーマー対応の4つのポイント
1 「法律上すべきこと」と「教育上すべきこと」は明確にわける
 モンスターペアレントの対応では、「学校が法律上しなければならないこと」と、「教育上すべきこと」(より正確には「教育上したほうがよいこと」)をわけて考える必要があります。
 例えば、子供同士のけんかについて、けがをした子供の親から学校に対して、相手の子供や保護者に対する面会の場を設定することを求めてきたケースを考えてみましょう。
「教育上すべきかどうか」という観点で考えれば、上記のようなケースでは、学校として面会の場を設定したうえで、問題が解決するまで我慢強く対応するべきということになります。
 問題があった子供に反省させ、また保護者からも学校の指導について理解を得ることが望ましいともいえるでしょう。
 しかし、それでは、多大な時間を割かざるを得ず、他の必要な業務に支障が出ることは避けられません。しかも、最近では学校が辛抱強く対応しても納得せずに、かえって学校側の対応が悪いなどとして、保護者が学校に非難の矛先を向けてくるケースも増えています。
 この問題の解決のカギは、「教育上すべきかどうか」という観点をいったんおいて、「学校が法律上しなければならないかどうか 」という観点から考え直すことです。
(1)学校が法津上しなければならないこととは?
 例えば、子供同士のけんかについては、小学5年生の自習時間中のけんかについて学校の責任を否定した福岡地方裁判所平成元年8月29日判決が参考になります。
この判決は、まず「小学校の校長や担任教諭らには児童の安全について万全を期すべき義務がある」としたうえで、しかし、「その義務の範囲は、学校における教育活動及びこれと密接に関連する学校生活関係に限定される」としています。そして、「特に生徒間事故において校長らの具体的な安全保持義務が生ずるのは、事故発生の危険性を具体的に予見することが可能であるような特段の事情がある場合に限られる」としています。
 つまり、校内のけんかであっても、学校には原則として法的責任はありません。
学校の責任が発生するのは、けんかが発生することが当然予想されるのに学校がなにもしなかったような特別なケースに限られます。
判例の立場を踏まえれば、少なくとも、法的には、学校が被害者と加害者の面会の場を設定したり、保護者からの理解が得られるまで、長時間、保護者に対応する責任はないことがわかります。
(2)「教育上すべきこと」については学校の裁量がある
もちろん、学校の運営は、法律上すべきことをやっていれば足りるわけではなく、「教育上すべきこと」についてはできる限り対応するべきであり、それこそが教員の本分ともいえるでしょう。
しかし、「教育上すべきこと」については、以下の点で、「法律上すべきこと」と違いがあります。
 この考え方は、けんかの例だけでなく、いじめの調査や、担任による指導に対するクレームの場面でも同様にあてはまります。
 「学校が法律上すべきこと」と、「教育上すべきこと」をわけたうえで、「教育上すべきこと」についてはどこまでやるか、何をやるかは学校側の判断であるという考え方をしっかりおさえて対応する必要があります。(明日に続く)
                            


0 件のコメント:

コメントを投稿