2024年2月24日土曜日

花だより 心理学から考える「働き方改革」 アネモネ

 

   心理学から考える「働き方改革」
              NPO人間科学研究所代表 榎本 博明
 働き方改革の審議の中では、学校の「ブラック」批判に応えるかたちで、教師という仕事の「やりがい」も明記すべきという意見がありました。ところが「やりがい」を強調しすぎると、かえって「働き方」がおかしくなります。
 ≪仕事の「やりがい」と落とし穴≫
 日本には「お金のため」という考え方に抵抗を感じる人が多いです。「お金のために働く」と言う人はいやらしく感じるし、最初から「お金はいくらいただけるのですか?」と聞きにくい風潮があります。他国でしたら、お金の確認や交渉は当たり前です。仕事は「お金のため」にするのが当然なのです。
 そこで日本で強調されるのが「やりがい」です。「何かのためになること」「自分が役立てること」が示されると、日本人は納得して仕事に打ち込むことができるのです。
 学校でも子どもたちに「お金を稼ぐこと」を正面から教える機会はありません。その代わりに教えるのは、使命感を持つことの大事さであり、自分が成長することの尊さです。そのため今の若い人たちは、強い「成長志向」を持っています。
 ではその「成長志向」が何に結びついているかというと、若者の離職・転職の多さです。「今の仕事では成長できない。」と感じると、すぐに辞めてしまう。あるいは「自分が成長できる仕事は何か」にこだわるあまり、職に就くこと自体のハードルが上がってしまうのです。仕事が「お金のため」と割り切れれば、だいぶ楽になります。

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