2017年4月25日火曜日

花だより ライラック 特別支援教育の現状と課題


   《特別支援教育の現状と課題》
 平成28年8月から平成29年3月まで、特別支援学級の時間講師を経験して思ったこと
 平成24年に出された中央教育審議会の「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育の推進(報告)では、これまでの「障害の種類と程度」から「一人一人の教育的ニーズ」への転換は、画期的であり、理念や基本的な考え方のパラダイムチェンジであった。
 この背景には、2003年の報告で、小中学校の通常学級に在籍する学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉等、知的障害のない発達障害の割合が6.3%であった(義務教育段階の全ての子どもの10%ほどが、何らかの教育的ニーズをもっている)という結果にある。そして、発達障害への理解と対応、システム改革の急速に進んだ。
 しかし、理念が素晴らしければ素晴らしいほど違和感と心配を抱く。
 実際の学校現場では、ある子は、床に寝そべり、奇声を発する。思い通りにならないと、教師に暴言を吐き、友だち同士のケンカは日常茶飯事、担任は目をつり上げ、怒鳴っている。「先生が怖い。」と学校に行きたがらない子も出てくる。だからと言ってこれが「ダメな指導だ!」とその教師を一方的に批判する気にはなれない。立ち歩く子を放っておいたら「指導力がない。」と指摘され、保護者からは「学級崩壊だ!」とクレームが入ることが予想される。そんな状況が、教師のそうした指導に駆り立てているのである。
 子どもたちの多様な学び方があること、そして、それに対応する指導方法があることを知りながらも、目の前の問題行動を鎮めることで精一杯で、多様性を認めるどころか、多様性を押さえつけているのが現状である。
 改革は法律を背景にして変化に迫るものであるが、実際に改革を進めるのは学校現場であり、一人一人の教師なのである。一番大切なのは、学校に内部の改革と同時に、学校の新しいチェレンジを認めるような風土づくりが必要である。
   参考資料 「インクルーシブ教育における授業づくり」 上越教育大学 赤坂真二教授 

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