2024年10月22日火曜日

花だより 学校の統廃合 シコンボタン カッコウアザミ

 


 北海道特にオホーツク管内は小規模校が多い。20年前は約180校の小中学校があったが、現在は120校まで減ってしまった。減った学校の大半は小規模・へき地複式校である。廃校になった地域の人は、「運動会も学芸会もなくなって寂しくなった。お祭りには、神社の境内で子どもたちが相撲をとったり、子ども神輿もあった。あの頃が懐かしい。」と話す。
 児童数の減少は、小規模ゆえに目立つ。その変化にいち早く気付いた保護者たちが、町の学校へといち早く子どもを自ら移そうとしている。そうやって減っていった後で最後に残った少数の子どもの親たちの間では、「早く統廃合を進めて、子どもたちが大きな学校で学べるようにしてほしい。」と行政に訴えるようになる。
 要するに、学校統廃合の起因は、自治体の財政減少やその学校の教育内容にあるのではなく、人々の不安の増大が一番ではないかと思う。
 もちろん、中には子どもの数がみるみる減っていく現状を見かねて、自治体側から進める統廃合もあるが、そうしたケースでもやはり、その底流に保護者たちの不安があるから統廃合が進むわけで、地域から「学校を残してほしい」という抵抗の声が強く出れば、行政は無理な統廃合を進めず様子を見守るのがふつうである。そうして残った学校も数年後には統廃合されることになる。
 オホーツク管内の3市(北見・網走・紋別)以外は、ほとんどが小学校と中学校が1校でだけとなって、1学年1学級でクラス替えもない。こども園も一か所しかないと1歳から預けられた子は、中学を卒業するまで15年間、同じ集団で過ごすことになる。
 小規模校には、大規模校にはない良さがある。あえて小規模校を選択する親もいる。小規模校の教員は、その特色を生かした学校づくりに努力している。「小規模校から市内の中学校に進んだ子は、基本的な生活習慣がしっかり身についている。生徒会や部活動で活躍している子が多い。」と聞くことがよくある。自治体も教育予算にかける割合は高い。しかし、中学3年生に「なぜ、地元の高校に進学しないのか?」と尋ねると、「高校生活くらい新しい仲間と過ごしたい。」と答える。高校を卒業して札幌や道外の大学に進むと、まず地元には帰ってこない。ますます過疎化は進む。これが現実である。
 

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