《 これからの「生活・総合」と教師の指導力向上》
「願いを持ってやり遂げる」
今、生活科は体験が手段になっている印象を受ける。「これで気づかせました」という教師の声を聞くと、気づきの質を上げることが目的になってはいないかと心配になる。大切なのは、子どもたちが願いを持って自らやり遂げること。その過程で様々な気づきが生じ、その中で意味のあることを理解し、学んでいくことが重要である。多くの教師は、4月に子どもたちと初めて顔を合わせる。こうした実態を踏まえると、カリキュラムを柔軟に考え「生活・総合」に取り組む必要がある。
「カリキュラム踏襲は避ける」
「生活・総合」は他の教科とは違う、毎年同じカリキュラムを踏襲するような事態は避けるべきだ。何故その単元に取り組むか。もう一度立ち止まり、目の前の子どもたちの姿を見て考えて欲しい。授業を充実させるために、各教科、領域などと合科・関連指導もできる。既に多くの教材や単元が開発されてきたが、生活科誕生当時の「何もないからやってみよう」という感覚を失われた。教師は常に新鮮な自分でいることが重要である。
「理念に基づいた提案を」
体験や課題解決の方策も大切だが、その根底になる理念に基づいた提案が必要である。
「生活・総合」を学んだ子どもからは、「自ら工夫して学ぶこと」や「共に考えること」に対して喜びを感じたなどの声を聞く。そこには、「自分づくり」の理念を受け、「生活・総合」が生涯の学びの基礎になっているのである。いろいろな人がさまざまな考えを持っている。人と関わることで、自分のことが見える。こうした「人間観」を踏まえた授業を考えていくことは大切である。
「生活・総合」は、「探究」と「協同的な学び」を実現している教科である。それを他教科などにも広がるように体験の質を高める必要がある。それは体験を繰り返すだけでなく、表現活動を取り入れながら学習意欲を高めることが重要である。友だちと互いの意見を交換し、新たな考えに出合うことで思考力なども高まっていく。
子どもたちが本気になり、物事を真剣に追求しようとする。こうした姿をめざす上で、質の高い指導力は欠かせない。教員の給与や手当のUP、待遇改善が図られるようだが、それに見合った「生活・総合」に熱心に取り組む先進的な教師たちが今必要である。
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