2016年8月22日月曜日

花だより 夏編(35) 蓮 ロンドンオリンピック2


【平成24年度 北見北小 学校便り「精いっぱい」から】
  “いのち”を伝える  秋田市大森山動物園長 小松 守 氏
 長い間、動物園で動物の子育てを見続け,“いのち”を伝えることについて考えてきた。動物たちは自然が創りあげた巧妙な子育ての仕方を見失うことなく、淡々と命をつなぐ。お乳は、子の腹を満たすだけでなく、親子の触れ合いをつくり温もりで心にも栄養を与える。たっぷり愛情を受け、子は生きる力を身につけ成長する。やがて親になりじぶんが経験したことを子に伝える。実に単純だが、そこに大事なものがある。“Education”の語源に見つけた「お乳で育てる」とある。“いのち”の教育、その始まりは親子の触れ合いではないだろうか。“いのち”はイノチからしか伝わらないのだ。(夏休みの読書から)
 ~ロンドンオリンピックから学ぶ~
 熱狂的に応援するのは母親で、父親はやや控えめです。メダリストの原点は、お乳を与え育てた母親にあるようです。卓球の福原愛ちゃんが母親にメダルをかけたのも分かるような気がします。
 お父さんだって! その中で女子ウエイトリフティング銀メダリストの三宅宏美選手は、北京オリンピックの敗北以後、“コーチを変えてみたら”と周囲から言われたそうですが、三宅選手は「父と一緒にロンドンを目指します。」ときっぱりと言ったそうです。3連覇を果たしたレスリングの吉田選手も最後お父さんを肩車しました。今回、レスリングの浜口選手のお父さんの出番は少なかったのですが、オリンピック選手に育てなくても、子どもから感謝の言葉をもらえるような親でありたいものです。
 ~悔し涙が次の努力につながる~
 女子レスリング界最強と言われた吉田選手 盤石の3連覇と思いきや… レスリング女子の吉田沙保里選手は、アテネ、北京大会に続き、ロンドンでも圧倒的な強さで金メダルを獲得しました。まさに盤石の姿勢で3個目のメダルを手にしたように見えます。しかし、実際はそうではなかったのです。女王はかつてないほどに追いつめられていたといいます。 試合後、感極まり人目をはばからず号泣したそうです。
 「プレッシャーは今までで一番きつかった。試合前に眠れなくなることなんて初めてだった。正直、このオリンピックは厳しい。自分の進退問題も考えないといけないと思っていた。」というのです。それほど吉田選手は4年ぶりに喫した5月のワールドカップでの敗北が尾を引き、「トンネルを抜け切らない状態」だったといいます。
■ 「負けを知ることで、いろんなことを勉強させてもらった。」
今回は、思いのままに攻め続けていたこれまでとは違った「賢いレスリング」をした。5月の4年ぶりの敗戦は、吉田選手のレスリングを狂わせていた。しかし、一方では「今まで研究をするということが少なかった。」という吉田選手は、頭で考えるレスリングを学んだのです。
「負けを知って、いろんなことを勉強させてもらって気付かされました。勉強したことやいいことはどんどん自分に取り入れていって、負けることがあったら勉強して、それを繰り返して人は賢くなっていくと思う。明日からまたトレーニングしたい。」と語ったそうです。
 勝ち続けてきた女王だからこそ知ることができた敗戦の重み、そこから得る進化への糧。 吉田選手に限らず、オリンピック選手は、人並み外れた才能の持ち主ばかりです。しかし、才能だけでは、メダルを取ることはできないのです。血のにじむ努力の積み重ねと多くの挫折を乗り越えてきたことを子どもたちには知ってほしいものです。

「敗者とは、最後にゴールするランナーではない。最初から、出場を諦める人だ!」
 南アフリカの義足ランナー、オスカー・ピストリウス選手の母親の言葉です。“スポーツに限らず、何事にも精いっぱい努力する人であって欲しい!” オリンピックを観戦して改めて思いました。
惜しくも敗者となった選手からも、「これまで支えてくれた多くの人に感謝します。」というコメントが多かったように思います。家族はもちろんのこと、個人競技の選手もチームメイトやスタッフに対する感謝の言葉がありました。
 日本は東日本大震災以後、人と人との「絆」とか「支え合う」ということが大事にされました。そのことを象徴する大会となりました。仲間はずれやいじめとは無縁の世界です。オリンピックから多くのことを学ぶことができました。
 北小出身“なでしこジャパンの高瀬選手”が2試合に出場しました。次回リオでの活躍が期待されます。さらに高瀬選手に続くオリンピック選手が誕生することを期待しています。
「子どもたちに夢と希望と勇気を与えることができたらうれしい!」とコメントしたメダリストがいました。オリンピックは私たちに多くの感動を与えてくれました

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