≪勤務時間の職業比較≫
教員の勤務時間は、他の職種に比べても著しく長い。過重労働といわれる医師や自動車運転手をも超えている。これは校内の勤務時間分布から計算した数値で、自宅での授業準備等も含めればもっと悲惨なものになる。「大変なのは教員だけじゃない」という声もあるが、全体構造の中にデータを置いてみると、教員の世界の特異性(異常性)が浮き彫りになる。タイムカードや残業代という概念がないなど一般社会では考えられないことが学校ではまかり通っているが、是正される見通しがようやく立ってきた。
未来を担う子どもたちを育てる学校において、ブラック労働のモデルを見せてよいはずがない。徹底した「働き方改革」を進めると同時に、教員に対する社会のまなざしを変えることも必要だ。「教師=聖職者」という見方は、時代にそぐわなくなっている。
≪働き方改革の審議≫
中央審議会が検討を始めてから3か月。8月には、「すぐできること」として学校に留守番電話を配備するなどの緊急提言をまとめた。今回の審議で学校現場は変わるのだろうか。
「本日の業務は終了しました。急ぎの要件は発信音の後に録音してください。」こんな音声が返ってくる学校が現れた。
審議会では、学校がしなければならないこと、しない方がよいことなど、5段階に分類しようと意見を出し合った。いわば「事業仕分け」の場面となった。
民間出身の委員からは、学校外、教員外の業務とするべきものとして、集金、清掃指導、プールやエアコンの掃除、提出物のチェックなどを挙げる意見が出た。確かに教員の仕事とは言い難く児童生徒の命や安全に直結する仕事ではない。しかし、専門業者に頼むとお金がかかる。ボランティアの力もそう簡単にはいかない。行政機関の「事業仕分け」は、税金の無駄使いを減らすことが目的だったが、学校の『事業仕分け』は、費用がかさむ事ばかりで簡単に実現する策が編み出せるか?
その点、留守番電話は費用が安く済むので、既に導入している学校が多い。
(日本教育新聞 9月18日)
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