2017年11月17日金曜日

花だより イソギク 若者文化事典 好かれるために


   ネットトラブル 批判ばかりしないで子どもたちの実態を知る
  若者文化事典   フリーライター 今 一生
                月刊「生徒指導」10・11月号
病み垢【やみあか】 ツイッターで精神病者を自称するアカウント
 ツイッターで複数のアカウントを持ち、ハンドルネームを変えるのは、今の10代の若者にとって当たり前の作法です。日常的につきあっている友達や家族にも言えない話題は、ふだん使っているアカウントでは言いにくい。精神科の病院に通院していたり、リストカットなどの自傷行為をしているなどの話題は、つぶやけないのです。
そこで「病み垢」と称し、リストカットの傷の写真を公開したり、精神科で処方された薬を過剰摂取したことを書き、現在の自分のつらさを受け止めてもらえそうな人にだけ伝えようとするわけです。
 もっとも、世の中には精神科にお世話になっている人を「基地外」と気味悪がったり、病院を詐称するネットユーザーを嫌う向きもあり、病み垢のアカウントをつくっては消し、新たに別なアカウントを設ける人もいます。
このようにアカウントを消しては新設するユーザーの増加が浮かび上がらせているのは、日常的なつらさを受け止めてくれる人間関係がオフライン(リアル)の世界にもネット上にも乏しく、孤立しているが現実だからです。
 これはスクールカウンセラーがいくら導入されても、同世代・同級生に自分の境遇を理解されていない現実の反映です。同時に、教職員の多忙さによって身近な大人との関係も深まらず、生徒自身が自分の家庭における問題を誰にも打ち明けられない現実が横たわっているともいえます。
タヒる【たひる】「死ぬ」の俗語
 以前、匿名掲示板「2ちゃんねる」で「死ね」と書く一部のユーザーが見られた。しかし、「死」の文字面ゆえに殺人予告と受け取られて警察へ通報される恐れから、最近は「タヒね(死ね)」という書き方が隠語として使われはじめた。
 そこから転じて「タヒる」は「死ぬ」を意味するようになったが、実際に使われるニュアンスは「死ぬほど大変」「死ぬほどあせっている」という意味だったり、ゲーム中に自分が使っていたキャラクターが死んでしまったときに「タヒちゃった(死んじゃった)」という具合に使われている。
PicsArt(ぴくすあーと) 世界で4億人が利用している写真の加工・編集アプリ
 約3000種類の*エフェクトが可能なため、イラスト作成、文字入れ、文字消し、自撮り加工、切り取り、*コラージュなどの画像加工がこれ一つで全てできるため、女子中高校生の必須アイテムとして流行している。
 さらにインスタグラムやLINEとも連携でき、プラットホーム上では、自分が作った作品や素材を配付したり、会話もできるため同世代の女子同士のコミュニティーも楽しめる。
 とにかく微妙な加工を楽しみたいこだわり派の女子に受け、1日何時間もスマホ画面を見て暮らすのが、現代の青春の一つの側面なっている。遅かれ早かれ、スマホ界のアーティストとして尊敬される次世代が、こうした文化から生まれる予感すらある。
 *エフェクト=映像や動画に特殊効果を与える。映像や音声を加工すること
 *コラージュ=バラバラな素材を組み合わせる。境界をなくすこと

0 件のコメント:

コメントを投稿