2018年11月19日月曜日

花だより ムラサキシキブ 潮見小学校と赤塚不二夫


 【潮見小学校と赤塚不二夫】
 皆さんも知っていると思いますが、第3回の「子どもまつり」に赤塚不二夫さんが来て、同じこの場所で1,000人の子どもたちの前でマンガを描いてくれました。それが廊下に貼ってある4枚の漫画です。
 なぜ、日本を代表するすごい漫画家の赤塚不二夫さんが、わざわざ潮見小学校の子どもまつりに来たのでしょうか?
~潮見小学校の子どもまつりは、太鼓をたたいたり、自分たちで作った物を売ったり、音楽を演奏したり、ダンスを踊ったりして、ずいぶん楽しいおまつりのようだ。そして、それを自分たちの力でやっている。~
と聞いて、「それじゃ行って見てみよう。がんばっている子どもたちに漫画のプレゼントをしよう。」とやってきてくれました。残念ながら、その赤塚不二夫さんは、去年の8月に亡くなってしまいました。4枚の絵が見つかったとき、赤塚さんの娘さんが、「学校に行って、子どもたちの前で、こんなに大きな絵を描いたのは、とても珍しいことです。きっと、潮見小学校の子どもまつりがすばらしかったからでしょう。大事にして下さいね。」と言われました。
  赤塚えり子(赤塚不二夫氏の長女) 父の漫画に救われた
 父・赤塚不二夫は生涯を徹して純粋な少年のような人だった。
 赤塚の漫画のギャグは、やりっぱなしでボケっぱなしの爽快感がある。誰も突っ込まないし言い訳をしない。あえて意味を付けない分、とても自由だ。父は満州で戦争を体験し、日本へ引き揚げてから家族がバラバラになったり妹が死んだり、悲しい思いをたくさんした。だからこそ笑うことの大切さを知っている。うちは悲しいこともシリアスなことも何でも笑いに変える家だった。
 昨年夏、母が亡くなり、3日後に父が母を追うように逝った。人生であれほど悲しいことはなかった。どうやって父と母の後を追うか、そればかり考えていたある日、父と母の遺骨がふたつ並んだ祭壇の前で父の漫画を読んでいた。面白くてバカバカしくて、気がついたら声をあげて笑っていた。その時、「あっ、笑うってすごい」って思った。笑う瞬間って、悲しみからバーンと突き放してくれるエネルギーがある。悲しみのどん底で、床を蹴って浮上した。父は、自分の娘を助けたのだ。自分の漫画で。「りえ子、生きろ!」と言われている気がした。「笑う」って生きるエネルギーなんだ。(フジオ・プロダクション代表取締役社長)

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