家庭は「5つの力」を持っている
1 愛の力
家庭は親から子に愛情が注がれる場所です。ただし、子どもの言うことを何でも聞き
世話を焼くことではありません。また、勉強や遊び、友だち関係まで、親がこうしなさ
いと強制することでもありません。過保護や過干渉は、子どもの自立を妨げます。
いつも家庭に会話があり、笑いがある。誰かにいいことがあれば、みんなで喜び、悲
しみも全員で共有する。こんな日常が子どもの安定した心理状況を育てます。
2 経済の力
衣食住全ての面で子どもの生活が保障され、学校にも通える。家庭はこうした「健康
で文化的な最低限度の生活」を子どもに提供する場所です。そのために親は働いてお金
を稼ぎます。家庭は経済の力を持つ場所だということです。
3 しつけの力
教室で筆記用具を机上に散乱させている生徒を注意したら「誰にも迷惑かけてない」
と反論されたことがあります。今、こうした子が増えています。「清潔で整理された状
態は快い」という感覚はしつけの中で育つものです。
自分の健康管理や公共マナー、他者との交わり方など、しつけの領域は多様です。そ
うした礼儀作法や規範を教えて身につけてさせる場所が家庭です。
4 文化の力
文化とは、音楽や美術に親しみ、時にはスポーツを楽しむといった高尚なものだけで
はありません。親子の触れ合いこそが「家庭の文化」です。最も簡単な文化活動は、家
族の団らんであり会話です。日常の出来事に対する喜怒哀楽のやりとりです。子どもは
親との会話を通して物事のとらえ方や未知の世界を知り、自分の価値観をつくっていき
ます。
5 人格の力
親に叩かれて育った子は、他者に対しても暴力的に接しがちです。負の面だけでな
く、親の肯定的な言動も子どもの性格や行動に良い影響を与えます。子どもは親をまね
て育ちます。子どもは育ってほしいようには育たない。育てたように育つのです。
「人格の力」と言っても気負うことはありません。いつも地道に働いている。親同士が
仲良く、互いに労わり合う飾らない姿を示せばいいのです。
(全国教育文化研究所 重水 健介)
ここにあげられていることは、ごく普通のことです。しかし、これができていない家庭が増えてきているのです。
11月24日 美幌峠からの斜里岳
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