2017年3月12日日曜日

花だより デイジー 卒業式3・11


【平成22年度 網走市立潮見小学校 学校便りから】
 ~平成22年度 卒業証書授与式 校長式辞~
 卒業式の1週間前に、東日本・太平洋沖地震が起きました。
 千年に一度という地震と津波は、未曾有の大災害となりました。被災地では肉親や家を失い、悲しみの中で避難生活を強いられています。「お母さんどこにいるの?」と叫ぶ子どもの声に胸が締め付けられます。日本に住む限り、誰もが被災者になり得るのです。千年に一度は明日かも知れないのです。
 ニュースに耳をすますたびに、何百人単位で犠牲者が増えています。被災地では、被災者が力を合わせて懸命に生きています。全国から自衛隊や警察、消防の皆さん、そして、海外からも救援隊が来て、救助活動をしています。そうした人たちの勇気と善意、使命感にすがる思いです。
自然の猛威は、人類の知恵と想像力を遥かに越えていました。想定外の地震や津波は、英知を結集した原子力発電所の安全神話をも崩壊させました。10mの防波堤も耐震を強化した建物も、天変地異の驚異には、為す術がありませんでした。
日本は65年前、戦後の焼け跡から奇跡的な復興を成し遂げ、平和な国を築きました。今回の震災はこれに匹敵する国難です。眼前の現実を学ばなければ、平穏な生活を断たれた人が浮かばれません。菅総理は国民に向けて「日本人は、必ずやこの国難から立ち上がるはずです」と力強く訴えました。自然の驚異から日本を守るには、これまで以上の日本人の知恵と想像力と努力が必要です。
 打ちのめされた人たちの心の絆を失ってはなりません。こんなときこそ、つなぐための手が、私たちの心にあると信じています。私たちはテレビを見ているだけで何も手助けできないもどかしさを感じています。しかし、被災者のことを思い、節電や節約などできるだけのことをしなければなりません。わがままな行動は自粛することです。我慢することです。そして、しっかり勉強して、人の痛みが分かる大人になることです。
 完全に復興するためには何十年もかかるでしょう。日本の将来の安全で安心な国づくりの担い手は、先生やお父さん・お母さん方ではなく、皆さん方なのです。そのことを肝に銘じてほしいのです。                                         ~以上 式辞から抜粋~
 「福寿草が咲く季節になりました。黄金に輝き、春を告げる縁起よい花です。…」という式辞を書いた直後に震災が起きました。テレビでは連日報道特番が流れ、各種イベントの中止も相次ぎました。子どもたちに最後、何を語るべきなのかと考え、式辞を読み返し、書き直すことにしました。
 被災地で行われた卒業式の様子がテレビで紹介されました。体育館が避難所になっているため家庭科室で、校長先生が作業着のまま卒業生に卒業証書を渡していました。被災地の学校のことを思うと立派な卒業式ができたことを改めて感謝したいと思います。

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