【平成25年度 北見市立北小学校 学校だよりから】
プールの窓ガラスを割った高橋君の話
~9月10日(月)全校朝会 校長の話から~
全校朝会で思い出すことがあります。美幌小学校で1年生の担任をしていたときの話です。
~ある日曜日、1年4組の高橋君が学校のグラウンドでサッカーボールを蹴って遊んでいました。強く蹴ったボールがグラウンドの角にあるプールの窓ガラスに当たって割れてしまいました。高橋君はすぐ近くの校長住宅に行き、そのことを伝えて謝りました。家に戻ってお母さんに言うと、お母さんは、ホウキとチリトリを持って、子どもと一緒に学校に向かいました。まず校長住宅に行き「うちの息子が…・」と再度本人と謝罪しました。そして、私の家にも電話がきて、また謝罪をして顛末の報告を受けました。
次の日(月曜日)の全校朝会で校長先生が壇上で、「1年4組の高橋君、上がってきなさい。」と言いました。私はすぐあのことだと思い、“何も全校児童の前で言わなくてもいいじゃないか!”と思いました。すると校長先生は、「この1年生の高橋くんのキック力はたいしたものです。君はサッカー選手になりなさい。1年生でプールの窓ガラスを割ったのですから。あなたには、素質があります。もっとすごいのは、すぐ謝りに来たことです。」と800人の全校児童を前に高橋君を褒めたのです。ガラスを割って学校のヒーローになったのは彼くらいです。~
「どうしてガラスを割ったのに、校長先生に褒められたのでしょうか?」と聞くと、2年生の男子が「正直に話したからです。」と答えました。
普通の子であれば怖くなって逃げるものです。彼がすぐ校長住宅に向かった理由は、お母さんにあります。この子のお母さんは、一度謝った子どもと一緒にまた謝罪に行っています。それもホウキとチリトリを持ってです。そして、私の家にも電話を掛け、謝罪しています。親の姿を見て、子どもは育ちます。口だけで「悪いことをしたら正直に謝りなさい。」ではないのです。子どもは、どうしたらいいか分からないから、その場から逃げるのです。
「率先(そっせん)垂範(すいはん)」 親の背中を見て子どもは育つ。親の言うとおりに、親の育てた通りに子どもは育つのです。
《全校朝会のあった日の休み時間》
「校長先生あのね。ちょっと話したいことあるんだけど…。」と校長室にやってきた子がいました。
「校長先生おこらないよね。」と言うので「たぶんね。」と話を聞きました。
「あのね。校長先生が大事に育てている廊下の木さ、この前ぶつかって枝を折っちゃったんだよね。」
「う~ん、そうか…。正直に言ったから、許してあげるよ。」
「よかった。また、来るね!」
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