2018年2月22日木曜日

花だより 白寒菊 先生はぼく(私)のこと嫌いなんだ


 「先生はボク(私)のことが嫌いなんだ」
                    山陰心理研究所臨床心理士 蔵 あすか
 ≪はじめに≫
 学級という容れ物は実にさまざまなものが内包している。30人の子どもがいれば、30通りの顔、体格があるように、同じ数の人格や特性、家庭的な背景がある。筆者はSC(スクールカウンセラー)として学校に関わり、教師とのコンサルテーション(教育の専門家である教師と心理の専門家であるSCが共通の課題に関して、お互いの専門性を活かして協議すること)、保護者や子どもとのカウンセリング、授業観察などを通して、そこに居る人たちとやりとりをする。そこで出会った子どもたちの声を取り上げながら、「先生はぼく(私)のことが嫌いなんだ」という思いを抱いている子どもがいたら、教師はどう理解し、どのように関わったらよいかを考えたい。
 ≪本人はそう感じている≫
 教師が意識をしてその子に対して発した言葉ではなくても、その子が敏感に感じてしまうこともある。例えば、宿題をしなかった子が数人いたので教師が学級全体に「宿題は必ずしてきましょう。してくるものです。」と声をかけたとする。その時に宿題をしてきた子が、自分はしてきたにもかかわらずその話をする教師と目が合ったので、「自分に言われている。分かってもらえていない。」「先生から認めてもらえていない。」と感じる。
 あるいは、元気がない時にいつも同じ教師の声かけをきつく感じることもある。あるケースでは、学校に来る前に親から準備に関して「遅い」と注意された子が、学校でも教師から「遅い」ことを指摘されて、「親からも教師からも認めてもらえていない」気持ちを訴えた。
 こういった子から聞こえてくるのは、「自分を見るときの先生の目が冷たい」「みんなの前で恥をかかされた」「自分にばかり厳しい」ので「先生はボク(私)のこと嫌いなんだ」という声である。
 *こんなタイプ(①叱責されることが多い ②あまり構われない ③問題にきちんと対応してもらえないと感じている ④教師にとって苦手なタイプ)の子は、自分が嫌われていると感じている。
 ≪教師ができること≫
① 想像力を働かせる
  学級に30人の子どもがいたらそれぞれ個性がある。教師が発した言葉や振る舞いが学級の子ども全員に同じように映っているわけではないことを前提にする。
  言葉で伝わるメッセージよりも、表情や声のトーン、振る舞いなどの方が教師の本心を表すこともある。言葉で「いいですよ」と言っても声の調子が合っていなければ本心ではないと相手に伝わることがある。子どもはそれを敏感に感じ取る。
② 同じルールで叱る
  子どもは、自分への対応だけでなく、他の子への対応など周囲との比較によっても大人からの注意の向けられ方が好意的なのか、そうでないのか、期待されているか、諦められているかを感じている。特に小学校中学年くらいからは大人の矛盾に厳しくなる。ただし、特別な支援を要する子が学級にいる場合は、ルールの基準が異なる場合がある。
③ 子どもの思いを知る 
「先生はボク(私)のこと、嫌いなんだ。」と直接聞くことはない。親あるいは、養護教諭やSCなどから、聞かされることが多いだろう。SCが出会う子の多くは、「こんなこと言ったら迷惑にならないか」「心配かけてしまう」よけい面倒なことになる」など複雑な思いを抱えている。こういった思いに対しても想像力を働かせてほしい。
*他に④話をよく聴いて整理する。⑤説明し、場合によっては謝ることが大切です。  



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