「担任の先生が嫌いだ」
葛飾区教育委員会事務局指導室指導主事 木村 文彦
≪はじめに≫
好き嫌いは、誰にでもある。大人にも子どもにもある。内閣府の『平成25年度 小学生・中学生の意識に関する調査』によると、「先生との関係がうまくいっているか」との問いに否定的に回答している割合は6.5%である。また、文科省の『平成29年度 全国学力・学習状況調査』によると、「先生は、あなたのよいところを認めてくれていると思いますか」との問いに否定的に回答している割合は14%である。
さらに、内閣府が平成13年度に行った『第2回青少年の生活と意識に関する基本調査』によると、「あなたは、今の学校生活で、何か困ったことや嫌なことはありますか」との問いに、「嫌いな先生がいる」と回答している割合は10%という結果が出ている。
いずれも、先生に対する否定的な意識を持つ子どもが存在しているということを表している。どこかの学級ではなく、すべての学級に当てはまる結果であると受け止めてなければならない。
≪子どもが「嫌いな先生」≫
子どもにとって、先生を嫌いになる理由は様々である。成育歴の中で大人不信になり、先生が嫌いな子どもがいる。叱られたことがきっかけで、先生が嫌いになる子どもがいる。期待していたとおりに先生が反応してくれなかったから、授業が分からないから、厳しすぎるから、えこひいきするから…、子どもたちは自分たちの感じる様々なことを理由に、先生を嫌いになる。
先生を嫌いになるのは、子どもの一方的な理由かもしれない。しかし、私たちは先生を好きだと感じている子どもも、嫌いだと感じている子どもも、すべての子どもたちを大きく包み込み成長を願い続ける「先生」というやりがいのある仕事をしている。
≪まとめ≫
子どもが先生を好きだろうが、嫌いだろうが、先生の仕事は、子どもの健やかな成長を願い、教え育むことである。
「育む」の語源は、「羽くくむ」であるという。「くくむ」は「包む」の古語。親鳥が羽でひなを包み込む姿に由来するという。どのような子どもであれ親鳥が羽でひなを包み込むように、先生が子どもを包み込み、安心感の中で、子ども自身が自分の可能性を開いていくことができるようにしていきたい。先生こそが、子どもにとって最大の環境であることを信じ、目の前の状況に翻弄されず、恐れず、子どもたちの未来を開くために努力していきたい。 (牧野:要約)
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