東京出張(全連小理事会) 平成27年2月
今年は、校長会(全国連合小学校長会理事会)用務で3回東京に行くことがありました。
今回の会場は、皇居のすぐ近くにあるKKRホテルで行われました。東京駅から近いというので案内板を頼りに周辺を散策しながら歩きました。
新しくなった東京駅の天井を暫し眺め、皇居の方へ向かいました。周辺には、三井物産ビル、丸紅本社などの一流会社の本社ビルが建ち並び、気象庁、東京消防庁の建物があり、行き交う人も他の街(浅草や渋谷、新宿)とは明らかに違います。
10階にある会場からは、皇居を見渡すことができ、その向こうに国会議事堂や霞ヶ関ビル、警視庁など高層ビル群を一望することができました。ここが日本の中枢なのかと思いました。
皇居特別参観 会議終了後、皇居の特別参観がありました。事前の心得として、服装に注意(倶知安から来た校長先生は、このために東京に来て黒い靴を買ったそうです。)するように言われました。もちろん写真撮影は禁止でした。中の様子を伝えるのは、難しいのですが、豪華絢爛だという先入観は見事に覆され、煌びやかな装飾は一切なく、シンプルで落ち着いた色合いの雰囲気のある宮殿でした。中庭は一面に玉砂利が引き詰められ、対角線の角に紅梅と白梅の木が一対あるだけです。(もう開花していました。)皇居内は、うっそうと茂った樹木に覆われ、これが大都市東京の中心なのかと静寂さに驚かされました。修学旅行で遠くから見た二重橋を実際に渡ることもできました。校長会の役員(北海道代表理事)だけの貴重な体験でした。
交 流 せっかくの機会なので、他県の校長先生との交流を図りました。
《東日本大震災その後》 宮城県校長会から、震災後の学校の様子について報告がありました。海岸沿いで被害の大きかった学校は、近くの学校に間借りしたり、プレハブで授業を行っていましたが、人口流出に歯止めがきかず児童数の激減(入学児童がいない。)して統廃合することが決まったそうです。そして、学校には防災主任を置き、防災教育に力を入れているそうです。復興、復旧には、まだまだ時間がかかるようです。
《授業時数の確保》 休憩時間に授業時数確保の話題になりました。他県では、長期休業日を50日から、45日としたところがありました。また、入学式4月6日、卒業式3月20日に固定するところもあるようです。これまで卒・入学式が日曜日と重なると4月8日、3月18日の変更(2日)を余儀なくされましたが、これを土曜日(土曜授業活用)に行って、振り替えなしとする学校もあるようです。
今年のように吹雪臨休が増えることが今後予想されます。湧別町の事故以来、大事をとって早めに道路閉鎖をするようになりました。テレビの天気予報も外出を控えるようにと注意を喚起する報道が多くなりました。そのため、統廃合が進みスクールバスを走らせている学校では、安全確保優先で臨休するケースが増えています。今年すでに管内では、6日間臨休にしている学校があります。それにインフルエンザ等による学級閉鎖が加わると授業時数を確保するのが難しくなり、連日6時間、土曜授業を行う学校も出ています。長期休業日の変更も真剣に検討する必要があります。(*別の交流会 浅草の居酒屋18:30から 行き帰りの交通手段が心配 酔ってる場合じゃない?)
理事会・講演 毎回超一流の講師による講演も楽しみでした。
会議の中で27年度の活動方針が示されました。
~あらゆる分野での知識基盤社会への新たな進展やグローバル化の進行、世界に類を見ないスピードで進む少子高齢化により、先を見通すことが難しい時代を迎えている。さらに、持続可能な発展を実現できる社会への転換が求められている。こうした中にあって、確かな学力や豊かな心、健やかな体の調和を重視する「生きる力」を育む教育を実現するため、校長は明確なビジョンを掲げ、学校組織の活性化を図り、創意ある教育課程の編成・実施・評価・改善に努めなければならない。(以下略)~
1日目にこの活動方針が確認され、2日目は、
「時代を読む~なぜ今、国産飛行機なのか~」と題して、三菱航空機株式会社経営企画部長 岩佐一志氏の講演がありました。
岩佐氏は東大大学院卒、三菱重工から経営企画部長としてこのプロジェクトに加わりました。まず驚いたのは、超一流のプレゼンは、話し方、映像・資料がとても分かりやすくきれいだということです。
(~以下概略~)ジェット機は、意外にも日本製というのがありません。唯一あった国産飛行機「YS11」は、1965年にできたものでもう使われていません。それが急に降って沸いたように初の国産ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」が開発されました。最新鋭機ボーイング777の主要部分が日本で造られているように、日本の技術力を持ってすれば、どこにも負けないジェット機を造ることが可能なのです。日本の航空機技術は、かつて0戦を代表するように世界のトップクラスでしたが、戦後GHQの指導で航空機を製造できなくなり、その技術者が車などの他の産業へ移っていったという歴史があります。
航空機製造は、科学技術や安全性の最高峰にあります。MRJの成功は、未来の日本の産業を支えるものになるでしょう。しかし日本は、技術力はあるが、マーケティング(販売戦略)が弱い。そこで岩佐氏が招聘されたのです。徹底的な市場調査と販売戦略により、すでに国内外数社から、数百台の受注が決まっているそうです。
「MRJ」は小型ジェット機で、リージョナル・ジェットというこれから発達の見込まれるジャンルの飛行機です。リージョナル・ジェットというのは、比較的短い距離でも短時間で移動できる手段のことです。ジャンボジェットが新幹線だとすると、このリージョナル・ジェットは地下鉄のような存在かもしれません。
今回開発している飛行機は2タイプ「MRJ90」「MRJ70」とあるのですが、両方とも大きさは、全長約35m、幅約29m。乗客はそれぞれ78席と92席です。機能面での特徴は、・運行費の削減・エコ MRJの特徴は、燃費の良さ。これまでの飛行機に比べて約1/5だそうです。さらに騒音、排出ガスも削減できているため、環境にも優しいというものです。ボーイング社やエアーバス社は大型飛行機の製造が主流で、このクラスは、カナダとブラジルの会社が先行していますが、勝算は十分にあるということらしいです。
このリージョナル・ジェットという市場が伸びると、例えば、国内の移動などが、もっと安価に、そして、便数も多くなって移動しやすくなるかもしれませんね。そうなると沖縄や北海道旅行にも簡単にいけるかも?飛行機好きとしては、大いに期待したいところです。
ところでお値段は?とよく聞かれるそうですが、それは商談に乗っていただかないと言えませんとのことでしたが、B777で180~210億円と言われています。すでに数百台の受注を受けていますから“兆”のお金が動くことになります。
講演後、「これからの日本の教育にのぞむことは何ですか?」という質問に、こう答えました。
「私は教育の専門家ではないので、お答えできませんが、私たちのプロジェクトは、10年前に始まっていて、決して新しいものではありません。契約書は全て英語です。国産飛行機を造っていますが、スタッフの国籍は様々です。ですから会議は英語(当たり前)です。企業にとって優秀な人材を確保することがとても重要です。夢と希望とやる気のある子どもを育てて下さい。」
全連小が、岩佐氏を講師に招聘した理由がよく分かりました。教育改革は待ったなしなのです。~
こうして東京に行く機会を得て思うことは、今回示された大学入試制度改革、これから出る新学習指導要領の改訂は、これからの日本を見据えた新しいものではないということです。過去10年の日本の課題と言っていいでしょう。格差が問題になっていますが、中央と北海道の格差、さらに大きいオホーツクとの格差を実感せざるを得ません。「帰ったら、卒業式が待ってます?(課題)」と言うと「うちの県でも、15年か20年前は、課題でしたがねぇ~。」と話していました。帰り女満別空港に着いて、皇居見学用に履いた黒い革靴のまま、車に積もった雪かきをしました。2時間前は、コートを脱いで歩いていたのに世界地図では小さい日本ですが、こんなに差があります。
KKRホテルの窓から
東京駅