2019年5月24日金曜日

花だより シャクヤク 明日は運動会


 運動会シーズンを迎えました。近年、全国の小中学校で広がっているのが、午前中もしくは昼食時間を設けずに午後の早い時間までに終了する“時短運動会”です。札幌市内の小学校では、全体の6割超が「昼まで開催」の予定だという。
 運動会といえば、学校行事というより、地域の行事で、家族だけでなく親戚縁者が集まるので、そのために場所取りが必要でした。お母さんは、前日からお弁当作りで大変でした。徒競走や選抜リレーのほか、玉入れや綱引き、騎馬戦、組体操、ダンスなど様々種目の他に、地域や保護者の種目もが用意され、午後3時、4時ごろまで行われていましたが、時代の流れとともに運動会の趣旨も様変わりした。
 運動会の目的を改めて議論すべき  教育評論家 石川幸夫氏
「組体操や棒倒しなどは子どもたちがケガをして危ないということで、ほとんどの学校で禁止になりましたし、順位で優劣をつけないために、徒競走の『手つなぎゴール』や短距離の『全員リレー』にルール変更する学校も増えました。本来の“競う”運動会から、日ごろの体力づくりやチームワークなどを保護者に“披露する”だけの機会に変わりつつあるのです。」
 時短化が進んでいるのは、単にこうした禁止・変更種目が増えたからだけではありません。今年はゴールデンウイークが10連休もあって、ダンスなど運動会に向けた練習をする時間がほとんどなかったうえに、6月になると高学年は修学旅行があるので、その準備も大変。また、来年からは学習指導要綱の改定で、小学3年生以上の英語の授業数が増えます。あまり運動会にばかり時間を割いていられないのが現状です。
 働き過ぎとの指摘も多い学校教員の“負担軽減策”として運動会の規模縮小が図られている背景もあります。
 一方保護者は、「ウチは共働きで、毎年、朝早くにお弁当を作るのも面倒ですし、夫も明け方から場所取りのために校門前に並ぶ“恒例行事”に疲れてしまって……。今年は開会式ギリギリに行って、校庭が見えない後ろでも座れる場所を確保して、子どもの出番の時だけ前のほうで見る予定です。もう午前中だけの運動会になってもいいと思います。」
 弁当要らずの時短化となれば、こうした共働き夫婦の負担を減らすこともできるが、最近は午後まで運動会を開催する学校でも、あえて親と子が別々に昼食を食べる時間を設けているケースもあります。これは弁当を作れない共働き夫婦や、母子・父子家庭への配慮だけが理由ではありません。
「親はまだしも子どもは応援合戦などでずっと直射日光を浴びているので、長時間の運動会で熱中症にでもなったら、すぐクレームに繋がります。そうした問題を起こさないためにも、屋内での昼食や、運動会自体の時間見直しは仕方のないこと。逆に小雨で順延になっても学校に『なんでやらないんだ!』とクレームの電話がかかってくる時代です。
 教育関係者の中には、「時短化してまで続けるくらいなら、いっそ運動会自体をやめてしまったほうが学校も保護者も楽になるのでは」と廃止論まで飛び出す始末です。そこには運動会の主役である子どもたちの存在が完全に無視されています。
 子どもの中には、勉強だけでなく運動が得意な子だって当然いますし、応援合戦やダンスなど表現活動に秀でた子もいる。運動会の時短化や廃止は、子どもたちからそうした能力を発揮する大事な場を奪うことになります
 学校や親の都合、事なかれ主義ばかりではなく、教育的配慮から運動会の目的を改めて議論すべき時期にきているのではないでしょうか。

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