デジタル教科書(普及よりも課題の検証が先だ)
文科省の有識者会議が、2020年夏から、学者や学校、デジタル業界の関係者らが普及に向けて議論してきたデジタル教科書の活用に関する中間まとめ案を策定した。2024年度の本格導入の契機と位置づけ、学校教育の質を高めるために、積極活用が必要だと指摘した。デジタル化を掲げている菅首相の方針を受け、早期にわかりやすい成果が必要なのだろうが、結論ありきの感は否めない。
子どもの視力低下や通信環境の確保に加え、書く時間の減少など、現場は不安を抱えている。なぜデジタル化が必要なのか、どのような教育効果があるのか、教員や保護者への説明が不可欠だ。
文科省は新年度から、デジタル教科書を無制限に使えるようにする方針だ。全国の小中学校で実証事業を行うというが、積極活用を促した後で効果を検証するというのでは、順序が逆ではないか。
米国の神経科学者メリアン・ウルフ氏の研究によると、デジタル機器より紙媒体で読む方が理解度が高かったという。「教育では、ゆっくり考え、共感力や批判的な分析力を身に着けさせる必要がある。」と述べ、脳の発達には紙媒体での学習が望ましいと指摘する。
著書「スマホ脳」で知らせれる精神科医アンデシュ・ハンセン氏もデジタル化には慎重で、「やみくもに取り入れた自国スウェーデンでは学習効果が落ちた。新しいというだけで優れていると思わない方がいい。」と警告している。
紙とデジタルには、それぞれ良さがある。デジタルを補助教材として生かすことも選択肢に加え、学年や教科、子どもの個性に応じた活用方法を模索すべきだ。
指導法やトラブル対応など教員研修の充実も重要だ。本格導入の前に、やるべきことは多い。(2月25日 読売新聞の社説から 牧野要約)
😜生活科が誕生するとき、猛反発が起きた。教育界は特に保守的である。反対勢力は必ずいる。前にも書いたが、日本の得意芸であるハイブリッドがいい。「やるなら今でしょ!」
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