人間としての「眼」を育てる
村瀬千樫(元北海道教育大学教授)
いつの時代も人間は美しさを求める
「ヒトの眼に感性の働きが加わるとき人間の眼になる」と言われている。4億年という長い時間をかけてヒトの眼になり、その上に優しさやいたわりなど、人間味を加えた眼、つまり、人間性を持つ眼ができて初めて「人間」と言えるのである。
子どもたちは様々な環境の中で生まれ、育てられ、人間になっていく。しかし、この一人一人の子どもたちを取り巻く成長過程のその時々が、決して美しく、温かい環境ばかりではない。学校教育の中では、教科はもちろん、様々な学びを通して、自分の身の回り人々の優しさや思いやり、自然の美しさや崇高さなどを見る「目」を持った人間に育って欲しいと心から思う。
目は耳からの540倍の情報量が得られるという。目が情報獲得の窓であり、また、大脳と眼球は密接な関係にあることから創造力を育てると言われる所以である。
子どもたちには、「何を見るか、真実は何か、これを見て何を感じるか、どのような価値を持つか」など、目を育てる教育が求められている。
同時に、教師は包容力を持ちつつ、濁りのない素直な目で子どもたちを見つめる。そして、教育に関わる人間の「眼」を大切にし、感性を常に磨き続けなければならない。
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