2017年1月19日木曜日

花だより 林檎 生活・総合の重要性


【平成20年度 斜里町立朝日小学校 校長室便り(進化)より】
 ~全国生活科・総合的な学習教育研究大会札幌大会《参加報告》 
     パネルディスカッションから~ 要約:牧 野 
  
  文部科学省初等中等教育局教科調査官 田 村  学 氏
 21世紀は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、いわゆる「知識基盤社会」の時代であると言われている。知識基盤社会化やグローバル化は、アイディアなどの知識そのものや人材をめぐる国際競争が加速されるとともに、異なる文化・文明との共存や国際協力の必要性なども大きくなっている。
 また、個人は他者や社会などとのかかわりの中で生きているものですから、一人一人の個人には興味・関心、持ち味に違いがある。したがって変化の激しい社会の中では、他者や社会の中で切磋琢磨しつつも、自己と対話しながら、自分自身を深めることも大切な時代になってきている。このような社会の構造的な変化の中では、変化に対応する資質や能力及び態度が求められており、次代に必要な資質や能力を一言で示すとすれば、まさに「生きる力」であり、「生きる力」の申し子である生活科・総合的な学習の時間の重要性はますます高まるばかりである。

   文教大学教育学部教授(前主任調査官) 嶋 野 道 弘 氏 
 教育は、柔軟で、ゆるぎのないものであることが望まれる。それは大いなる創意工夫であるが、地に足が着いて軸がぶれないということ。一人一人の子供の学びには何らかの背景がある。したがって、教育は十把一絡げ、というわけにはいかない。一律の、画一した教育の予期の成果を期待するのは難しい。子供に応じ、学校に応じ、学校の置かれている地域に応じ、教師の持ち味等に応じて独創的であるべき。同時に、一定の水準と共通性も保証されなければならない。独創性を独断的に、共通性を画一的にしない精神と形が必要。それは主体的で自立的な教師にとっては、とてもやりがいのある取組になるはず。

  福岡教育大学教授 寺 尾 慎 一 氏 
 この度の学習指導要領改訂では、「生きる力」の理念が再び掲げられた。この「生きる力」については、それを答申した中央教育審議会答申の文言によれば「将来の職業や生活を見通して、社会において自立的に生きるために必要とされる力」であると述べている。そこでは重ねて「これからの学校は、進学や就職について子供たちの希望を成就させるだけではその責任を果たしたことにはならない。」とまで言っている。
 また、「我が国の子供たちにとって課題となっている思考力・判断力・表現力等をはぐくむためには、(中略)観察・実験やレポートの作成、論述といった知識・技能を活用する学習活動を行う必要がある」と述べ、さらに、「自分に自信が持てず、自らの将来や人間関係に不安を抱えているといった子供たちの現状を踏まえると、コミュニケーションや感性・情緒・知的活動の基盤である国語をはじめとした言語能力を重視した体験活動の充実を図ることにより、子供たちに他者、社会、自然、環境とのかかわりの中で、これと共に生きる自分への自信を持たせる必要がある。」と指摘している。再度掲げた「生きる力」を、今度こそ、真に子供たちが身に付けられるようにしなければならない。
*大会前日のレセプションで挨拶した嶋野先生は、「生活科・総合が根付かない国家は滅びる!」と言い切りました。
 

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