~平成12年の作品~
【平成22年度 網走市立潮見小学校 「校長室花だより」から】
「改革」は、過去の全てを破壊してもいけないし、
また、過去の大部分を温存してもいけない。
「教育は“未完のプロジェクト”完成することのないプロジェクトである。どのような制度をつくっても、それでよくなるというものではない。豊かな教育が保証されるというものはない。しかし、絶えず改善を積み重ね、誠実に努力を積み重ね、支え続けてこそ、それなりの成功を確かなものにすることができる。教育とはそういう営みである。」(東大教授 藤田英典先生 著書「義務教育を問い直す」より)若松小学校時代にお会いした先生の言葉です。
橋本教務主任から新年度教育課程編成の相談を受けました。とても大胆な提案です。
教育改革の必要性は、20年前から叫ばれていましたが。「教育改革は、学校の廊下までは来ているが、なかなか教室まで入ることができない。」と言われています。
政権交代で「官僚主導」から「政治主導」へ、「コンクリート」から「人」への変革が進められています。そこには官僚的な前例主義を打破した新しい発想が求まれています。
小泉首相は、「古い自民党をぶっ潰す」と言って国民から支持を得ました。しかし、結局自民党は変わらず、選挙で敗北してしまいました。親方日の丸最後のJALもついに会社更生法の適応を受ける事態となりました。時代は変わり、古い体質のままだと生き延びることができないのです。
TOYOTAは今、アクセルペダルの不具合でリコールを受けていますが、さすがだと思うのは、いち早くハイブリッド車の開発に成功したことです。そして、電気自動車の開発を進めようとしています。今、政治家や企業家には、先見性が求められています。
「いやいややらされている人は、不平や不満を口にするが、自ら改革の必要性を感じている人は、積極的に取り組む。」これはトヨタの社長の言葉です。
無駄をなくし、効率を上げることが改革のように言われますが、「行き過ぎたリストラで職場の和がなくなり、企業が活力を失っている面がある」と企業経営者が反省しています。
学校でも、完全学校週5日制の影響として、5日間に仕事が圧縮され、1日の勤務時間が増加し帰宅時間が遅くなった。またそれだけでは間に合わず、土日の出勤が増えた。会議を開く時間が無く、会話をする時間も少なくなり共通理解が図りにくくなった。などなど・・・批判的な反応が多いのも確かです。その対応として、休み時間が短縮されたり、学校行事が削られたりしました。また、職員朝会をなくした学校もあると聞きます。諸会議も減らされることが多く、結果的に精選され、合理化が図られたように見えます。 しかし、言い訳的な取りつくろったような取り組を設定し、教科だけを重点的に指導したり、各領域での活動をバラバラに行っても、子どもたちの意欲と自信は形成されません。また、成果が上がらなかった原因を子どもの能力、家庭の背景、地域の実情や制度に押しつけようとするならば、学校としての無能さを露呈することになります。
学校はラインではなく、スタッフで構成される組織(チーム学校)です。情緒的な要素も大切にしなければ、組織の活性化は図られることはできません。
「全ては、子どもたちのために」です。教育課程の改編(橋本案)の根底には、そんな思いが込められているように思います。一方的にやらされるのではなく、自らその必要性を感じることが一番大切だと思います。
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