2019年10月29日火曜日

花だより 大学の史学で学んだこと ツルウメモドキ

長方形?or円?
 ある人は、「これは長方形だ。」と言い、ある人は、「円だ。」と言う。円柱を真横から見るか、真上から見るかによって、物の見え方が変わってくる。
 大学では日本史を専攻したので一応中学と高校と社会科の教員免許を持っている。日本史の担当教官の最初の講義が印象的で今も覚えている。文献史学の資料となる文献のほとんどは権力者側から書かれたものである。そこに書かれてあるものが全て史実であるとは限らない。その資料の信ぴょう性の検証、別な資料との比較、考古学からの裏付けが必要で、一つの資料だけで判断してはいけない。史学は学問である。歴史にロマンを求めるなら歴史小説を読んでいればいい。
横から見て、上から見て円柱と分かっても、底を見たら、穴があいているかもしれないし、全体的に汚れが付いている場合もある。さまざまな角度から考察していくのが歴史学である。これは教師になってから、子どもたちの見取り(児童理解)に大きく役立った。
 退職したらゆっくり本棚の整理をしようと思っていた。百科事典をはじめ、40年も前の専門書が棚を占拠している。今の時代、調べ物はスマホで済む。本を開くことはまずない。思い切ってすべて処分することにした。しかし、スマホで検索して、画面の最初に出てくるものがベストかというとそうでもないだろう?怪しいのもある。どんなに時代は変わっても物の見方は変えてはいけない。
  保護者からクレームあった場合、校長は、情報収集をして事実確認を行い、それに基づいて判断する。それにプラス速やかな対応が求められる。ほとんどは、我が子の言うことを鵜呑みにしているケースで、担任や子どもから事情聴取すると事実は異なることが多い。しかし、たとえ学校に否がなかったとしても、また、理不尽な要求でも、その対応は慎重にしなければならない。そこが学問との違いである。
 今、日本と韓国の関係がぎくしゃくしている。歴史認識の違いである。長方形でも円でもなく、円柱だけど底に穴があいていること、最近汚れが付いたことを冷静になって判断しなければならない。


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