2019年10月31日木曜日

花だより 有田和正先生の講演 オケラ ハロウィーンカボチャ

  有田和正先生の講演  管内生活科・総合研究大会(網走市立潮見小学校会場)
 私が会長を務める研究団体の研究大会の講師に有田先生をお呼びしました。
~向山洋一氏、野口芳宏氏、そして有田和正氏は、おそらく不世出の3名人と呼ばれています。およそ、授業の名人は、片々の技術に多くの目が注がれがちですが、実のところ、その本質は、その人の生き方そのものにある気がします。いわば人生観であり、そこに、教師として同じ志を共有したい、同じ道を歩みたいと強く心惹かれてやまないのです。だからこそ、名人と称され、師とあおぐのです。~と言う人たちがいます。
 事実、有田先生が網走に来るというので遠くは比布や中標津からも参加者がありました。“おっかけ”ファンがいるのです。
“「追究の鬼」を育てる” 1999年に愛知教育大学退官後も日本の教育に携わり、現在は、教材・授業開発研究所代表、東北福祉大学子ども科学部特任教授を勤めています。
 《有田先生の有田先生たる代表的な語録を紹介します。》
◎追究の鬼を育てる。「教材開発」「授業のネタ」「はてな?」などの言葉を教育界でメジャーにしたのは、まぎれもなく有田先生です。有田先生の「はてな?帳」の実践は、よく知られているところです。
子どもは好奇心の固まりである。その好奇心を心地よく揺さぶり、育て、追究することの面白さを充分に体得させていくことで、子どもは追究し続ける。それにしても、「鬼」を育てるのですから、その指導力たるや並ではありません。有田先生の優れた指導を持ってして、初めて子どもは「追究の鬼」と化すのです。
◎授業は布石の連続である。「布石の連続」とは、毎日の一時間一時間の授業をきちんと行い、子どもに着実に力を付けていくということです。「布石」とは、囲碁から生まれた言葉であるが、布石があると、腕は確実に上達していくのです。授業もまた然りで、計画的・継続的にその時その時の基礎となるものをきちんと指導し、鍛えていくことが肝要なのです。
◎スイカはおいしいところから食べる。授業もまた同じ。スイカを食べるとき、端から食べる人がいるだろうか。大抵、まん中からガブリと食べる。有田先生は、授業もまたそれと同じであると言う。おいしいところをドーンと与えるからこそ、子どもは食いつき、熱中し、追究し続け、満足感を味わうのです。
◎材料七分に腕三分 授業は、教材の質にあると言う。質が悪ければ、子どもは全く食欲をそそられない。常に新鮮なネタを用意し、それを料理し、発問を工夫することで子どもは熱中して学びの虜となるのです。
◎知識は眼鏡である。知識がなければ物は見えない。昨今、基礎基本の重視が強く叫ばれていますが、有田先生は、ご自身が現場で教壇に立たれているときから、このことを実践の中で終始言い続けていました。基礎的な知識がなければ、いつまでたっても「何も見えず」のままなのです。
◎一時間で一回も笑いのない授業をした教師は逮捕する。有田先生は、常にユーモアのセンスを磨くことを教師修行・人間修行のひとつとして実践されてきました。一番大事なユーモアは、「笑うこと」だと言い切っておられます。 笑えるということは、面白いことを理解できる大事な能力なのです。 上記の言葉も、ユーモアを交えて我々教師へそのことを教えてくれています。
◎努力は人に見せるものではない。一流と言われる人は、みなそうです。有田先生は、今でもこの姿勢を貫かれている。有田先生の魅力の中枢は、実はこの人生観にあるのです。
◎鉛筆の先から煙が出るスピードで書きなさい。ノートは、学習を支える大切な道具。ノートは第2の脳みそだ。ノートがぐちゃぐちゃな子は、頭の中の整理もできていない。これじゃ賢くなれるわけがない。
 平成9年管内生活科研究大会(三輪小学校)に有田先生をお呼びしたことがあります。今回で2度目になりますが、管内は通算4度目になるそうです。有田先生は77歳になられましたが、お元気で、前日の懇親会でもよく食べ、よく飲み、よく語っていました。当日は、午後からの講演でしたので12時40分までに会場に来られる予定でしたが、時間になってもきませんでした。ホテルを出て、午前中に網走の監獄博物館とガラス工芸館、講演のネタ探しに地元のスーパーを回って来たというのです。旺盛な探求心と行動力は、まだまだ健在です。
 「有田先生は、講演でいつも同じことを言いますがなぜですか?」と質問した先生がいました。それに対して「プロ野球の選手でも、キャッチボールからはじめます。プロでも基礎基本は、大事なのです。大事なことは繰り返さないといけないのです。基礎基本(教師としての心構え)を疎かにするとよい教育はできません。」と答えました。
 新卒のK先生もこの研究会に参加しました。「あのおじいさんただ者じゃない!」と言いました。


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