2020年1月31日金曜日

花だより 子どもが教師に求める「けじめ」 猫柳

 子どもが教師に求める「けじめ」
                  全国教育文化研究所 重 水 健 介
《授業の終了時間のけじめ》
 何時に登校してもよい。好きな時間に食事をしてもよい。授業に遅れてきても、途中で退席してもよい…。こうなると学校は機能しなくなるので、教師は、生徒に厳しく時間厳守を指導します。
 一方、教師の時間厳守はどうなっているでしょうか?
 子どもからの不平不満の一番は、終了時刻が過ぎても授業が終わらないことです。自由に過ごせるわずかな休み時間を奪われるからです。
《職員室での飲食に「けじめ」を!》
 学校で子どもたちは、勝手にお菓子を食べたり、ジュースを飲んだりすることはできません。
遠足で子どもたちが浮かれるのは、学校生活の中で自由におやつを食べられるという非日常体験ができるからです。
 ところで教師は?食委員室でお菓子を食べたり、コーヒーを飲んだりしている学校も多いはずです。飲食をすべて禁止すべきだとは言いませんが、休み時間や放課後など、子どもたちが職員室を出入りする時間帯だけでも控えるよう、職員間で決めるべきではないでしょうか。
《言葉遣いに「けじめ」!》
 子どもが教師に「ため口」をきき、ぞんざいな言葉で話しかけてきたら、教師は言い直させるはずです。しかし、逆に、子どもに対する教師の言葉遣いが問われるケースは稀です。
「来い!」「急げ!」「この野郎」「バカ」…など、聞くに堪えない言葉遣いをする教師を見たことがあります。こうした教師は例外でしょうが、子どもや保護者は「丁寧な優しい言葉で話してほしい」と言葉遣いの「けじめ」を求めるものです。
《机上の整理・整頓に「けじめ」を!》
 「机の中やロッカーを整理・整頓しろ!と先生は注意するが、職員室の自分の机は書類や本が散らかっている」と子どもの声を聞いたことがあります。整理・整頓の「けじめ」が求められています。
《教師の服装にも「けじめ」を!》
 「ズボンを下げて『腰パン』にしたり、靴のかかとを踏みつけたりすると注意される。Tシャツ短パンで授業する先生もいるのに」子どもからこうした「服装のけじめを求める」意見を聞いたこともあります。
 こうして列挙すると、子どもが教師に求める「けじめ」は、「自分たちに求めるけじめを、先生たちも守ってほしい」という素朴な要求のように見えます。
 子どもの声を素直に聞いて、自分の言動を振り返り、良くない点は改める。こんな教師の姿勢こそ、生徒指導の第一歩だと思います。

2020年1月30日木曜日

花だより 体に合ったものを選ぶ ハナアナナス

体に合ったものを選ぶ
 子どもの頃(小学校3年か4年頃)、友だちが自転車を買ってもらったのがうらやましくて、親に「ぼくもほしい」と言うと「乗れるようになったら買ってやる」と言われました。ところが家にあったのは、大人用のそれもごっつい自転車で、どんなことをしてもつま先すら地面につきません。転んでばかりで膝や肘をすりむき血だらけになって練習したことを覚えています。当時自転車は高価なものでしたが、見かねた父は、「よしみつ!いいか。さびがつかないようにいつもきれいに磨くんだぞ!」それを条件に子供用の自転車を買ってくれました。
  時は過ぎ、娘の時代になると5歳の時、ミッキーマウスの補助輪付きの自転車が、孫可愛さから祖母からプレゼントされました。娘は、1週間ほどで補助輪を外して乗れるようになりました。
  スキーもスケート靴も何でもそうですが、道具は自分の体に合ったものが上達には一番です。それに安全でもあります。“大は小を兼ねる”と言いますが、特に自転車はそうはいきません。体の発達に合わせてサドルやハンドルは上げることはできても下げることはできないからです。“小は大を兼ねる”です。すぐ大きくなるので、その都度新品を買うのは、もったいないと思う人は、今はレンタルもあるし、メルカリもあります。 
 今は量販店に行くと安価な自転車がありますが、駅前には放置自転車が沢山あります。まだ使える中古の自転車が北朝鮮や中国に運ばれているそうです。豊かで便利になった反面、手入れをして大切に乗る習慣は薄れてきているように思います。自転車を買ってもらったとき、父から真っ先に手入れの仕方を教わりました。シーズンが終わって物置にしまうときくらいは、子どもにきちんと手入れをさせてからしまうようにさせましょう。

2020年1月29日水曜日

花だより 車は免許を取ってから、スマホは? えんどう豆

車は免許を取ってから、スマホは?
 自動車は、AI機能を搭載した自動車が公道を走る時代になり、自動車はさらに便利になりました。とは言っても交通法規遵守、マナーに至るまで、運転免許を取得して、自動車を乗りこなせる人が運転しています。
 スマホも便利です。しかし、スマホに免許制はありません。たとえが乱暴ですが、スマホを持っている人がゲーム依存やらSNSの弊害に陥っているのは、免許を持たずにいきなり公道を車で走っているようなものです。
 自動車に乗る前に、自転車に乗っていた時代があったと思います。幼少時、自転車の乗り方を親から教わっていたころ、何回も転んで膝小僧を擦りむいた経験があったでしょう。便利ですが、使いこなせるようになるには「ある種の痛み」も経験することが大切です。自動車に至っては、人名や財産までも奪ってしまう危険性を孕んでいることを自覚した上での運転です。
 「スマホを持つ・持たない」という論点は成立しない世の中になりつつあるというのが現状です。そうであるならば、スマホを持つ資格があるように子どもたちを育てていく必要があるという結論に達します。「スマホを持っているけれど日常生活でコントロールできる」子になるよう、幼いころから時間の使い方を学ばせることが大事です。そして、視野が広がってきたころ、ルールやマナーを逸脱すると責任が問われることなど、スマホの弊害を段階的に学ばせるのです。
 小学生から高校生に至る子どもたちが、いかにしてスマホを持ったか、それは、親が買って与ええているからです。購入代金を支払うことから各キャリアとネット契約を結ぶことなど、社会的な契約を交わしているということを教えてほしいと思います。

2020年1月28日火曜日

花だより お帰り寅さん 蜜柑


 お帰り寅さん
 テレビのバラエティ番組に、山田洋次監督と倍賞千恵子、前田 吟が揃って出演していた。映画の番宣らしい。そこで“男はつらいよ”シリーズ開始から50周年、50作目の集大成として「男はつらいよ お帰り寅さん」が上映されることを知った。
 ちょうど我々の世代の映画なのだが、残念ながら劇場で観たのは2~3本だけで、あとはテレビで何度も何度も観たものだ。
 最近は、映画を見るのは年に一度か二度、しかし、これは観なければと思い、休日の朝、スマホでイオンシネマHPを確認すると、午前9時30分からの一日一度の上演のみであることを確認、朝食もとらずに慌てて出かけた。
 タッチパネル式のチケット売り場の前は、すでに老若男女の列がつながっていた。その中でお年寄り夫婦が、機械での購入をあきらめ受付のお姉さんを相手にチケットを購入していた。案の定、寅さんの客だった。
 場内が暗転になり、「男はつらいよ」の題字がスクリーンいっぱいに現れ、お馴染みのテーマ音楽が響いた。「これだよ。これ!」一瞬場内にドヨメキが起きた。いくら大画面のテレビでもこの迫力は味わえない。
 何とお馴染みのオープニングで桑田佳祐が寅さんの衣装で主題歌を歌っているのには、若干違和感があった。
 今回の物語の進行役は、今は小説家になったさくらの息子満男(吉岡秀隆)と初恋相手の泉(後藤久美子)である。倍賞千恵子、前田 吟、寅さんの永遠の恋人リリー役の浅丘ルリ子など、なじみの俳優も顔をそろえた。回想シーンの中で寅さん(渥美 清)はもちろんだが、歴代のマドンナも全員登場するなど、笑いと涙につつまれ、前席に座っていた老夫婦の手が何度も目に当てられていた。
 スマホで改めて、“お帰り寅さん”を検索すると、視聴者の評価が載っていた。「久しぶりに笑って、泣いた。感動の名作が戻ってきて、うれしい!」と星4つから5つの高評価もあれば、「桑田佳祐のオープニングを唄うシーンはいらない。」「後久美の台本棒読みの演技はいただけない。」などの酷評もあった。
 「桑田佳祐は、きっと寅さんの大ファンだったのだろう?」「後久美もよく出演してくれたなあ?歳をとっても相変わらずきれいだなあ~。」私は、そんなことを思いながら観ていた。同じ映画を観ても感じ方はそれぞれだ。
 山田洋次監督は、こう語っている。『男はつらいよ』は、日本が高度成長期の時代背景の中で、野放図な発想の軽やかさ、はた迷惑を顧みない自由奔放な行動を渥美清さんが演じて、作者のぼくが当惑するような人気作品になった。そして今、先行き不透明で重く停滞した気分のこの国に生きるぼくたちは、もう一度寅さんに会いたい。
 寅さんの台詞にあるように「生まれてきてよかったと思うことがそのうちあるさ」と切実に願って第50作を製作することを決意した。
 私は映画館で、寅さんやさくら、歴代マドンナ、おいちゃん、おばちゃんに、また会えたことだけでうれしい。劇中では、寅さんの生死について触れられていない。再度、寅さんに会えるのだろうか?

2020年1月27日月曜日

花だより 心打つ手紙 ミスミソウ

   ~ 心 打 つ 手 紙 ~ (平成20年)
「南部先生(大学の指導教官)が還暦を迎えるので、当時の研究室生でお祝いをしたい。」と大学の後輩から案内が届きました。場所は、支笏湖畔、久しぶりの先生や仲間との再会を楽しみにしていましたが、こちらの会議と重なり、残念ながら参加することができませんでした。
 研究室は日本史で、南部 昇先生は古代史が専門でした。当時先生は28歳、“北大から短期間限定で派遣されてきた駆け出しの生意気な先生”というイメージで我々学生は見ていました。しかし、指導は厳しく、赴任早々、日本書紀や岩波新書などの購読会が週に2度有り、その都度レポートの提出を課せられました。おかげで、大学生活が人生の中で一番机の前に座っている時間が長かったかもしれません。
  “先生に出席できなくて残念です”と手紙を出しましたら、お返事をいただきました。その中に、
“今、校長(教育者)は大変だ。上にも下にも、横にも斜めにも気を遣わなければならない。上だけに気を遣う人は楽だが、牧野はそうゆうタイプじゃないから…”とありました。
  ちょうど様々な課題を抱え悩んでいるときでしたので、この言葉に勇気づけられましたし、反面、下や斜めにもきちんと気を配っていただろうかと反省もしました。いくつになっても先生は先生。教え子のことをよく観ているものだ。と感心させられました。
「會古通今」桑原翆邦先生の書が校長室に掛けてあります。なるほど校長室に掛けてある意味がやっと分かりました。
  文章を書くのは、だれだって好きじゃない。「筆無精は、一生の損」ということわざがあるように、私もこの歳になって、そのことを痛感しています。上手な文章を書きたいと思っていましたが、読み手の心を打つ文章が大切だと言うことを改めて学びました。

2020年1月26日日曜日

花だより 高校の入学説明会 何だ小学校と同じ? フウキギク


 高校の入学説明会 何だ小学校と同じ?
「入学に当たって保護者の皆さんにお願いします。お子さんには、基本的な生活習慣をきちんと身につけさせて下さい。自分のことは自分ですること、早寝早起きなど生活のリズムを崩さないようにしてください。スマホのルールをきちんと家庭で決めてください。それから、親子の会話を大切にして下さい。家庭での勉強は、最低でも学年×10分・・・」
「小学校に入学するとき同じことを言われたような気がする?」と疑問に思ったそうですが、小学生だろうと中学生だろうと基本的なこと(大事なこと)は同じだと納得したそうですが…?

2020年1月25日土曜日

花だより 「息子」という字 エリカ

しあわせ七変化
  自分が変われば 相手が変わる 相手が変われば 心が変わる
  心が変われば 言葉が変わる  言葉が変われば 態度が変わる
  態度が変われば 習慣が変わる 習慣が変われば 運が変わる
  運が変われば 人生が変わる 今 幸せな人は そのまんまでいいのです


 「息子」という字は、自らの心の子と書く
 親として 
 子どもにかけた期待を裏切られるほど 情けなく切ないことはない
 「このできそこないめ!」と子どもを怒鳴る 
 できそこないではなく 「育てそこなった」のだ
   息子という字は「自らの心の子」と書く
   なってもらいたいように 自らおこなってみたらどうだろう
   してもらいたくないことは  自らつつしむこと
   子どもは 親の通った道を 歩むもの

2020年1月24日金曜日

花だより 今どきの幼稚園 福寿草

  今どきの幼稚園   
  ~お便り帳の返事は、絵文字?~
・登園が遅い。10時、11時になって登園してくる。朝食も取ってこない。デザート類を食べている園児が目立つ。じっと座っていられなく、かみついたり、パンチをしたり、乱暴な言葉が目立つが、その母親も子どもを叱るときにはひどい口調である。
・早寝・早起きや道路を安全に歩くなど、指導には家庭との連携が必要だが、それが難しい。友だちとのトラブルでも加減が分からず、ケガを負わせてしまうことが多い。また、謝れば済むと思っている。相手を思いやる気持ちが薄い。「最初に戻せばいいんでしょ」という言葉が気になる。ゲームでリセットすればいいという現代の風潮を反映しているのではないか。
・夜型が多く、遅くまでテレビを見ている。早寝・早起きができない母親は、「自分も食べられないから」といって朝食を用意しない。
・カバンをチェックしない親、プリントも読まない親が増えている。保育園でプリントを読まない親は、学校へ行ったらプリントの量も増えるので、ますます読まないのではないか。
・堅い文章を読まない母親は、絵文字や顔文字で返事を書いてくる。
・プリントを読まないので、アドレスを登録してもらい、持ち物などの連絡は、メール送信をしている。園だよりも文字数を少なくシンプルな内容にしている。
・最近は、欠席の連絡が担任のスマホにメールで来るようになった。
・友だちとのコミュニケーション力の低下で、すぐ泣く、攻撃するなどの行動が目立つ。横のつな がりが薄く、友だちが困っていても助けない。最近は、自己主張の激しい子と何も言えない子に分かれているような感じがする。
****************************************
 教師に対して不信感を持っている保護者もいるでしょう。反面、教師が家庭のしつけまで学校任せにしていると親を批判していては、お互いの信頼関係を築くどころか、溝は深まるばかりです。
 学習の基盤は、生活習慣にあります。しつけのきちんとできている子は、勉強もできます。それでもできなければ教師の教え方が悪いと指摘して下さい。子どもの教育は、家庭と学校が共に手を取り合って・・・
 

2020年1月23日木曜日

花だより 慎(つつし)みはゆとりの心から シンビジウム


  心遣いが種まき 耳は聞いて喜ぶ   目は見て喜ぶ 口は人をほめて喜ばせ
   手足は、働きによって 傍々を楽にさせて 喜ばす
    喜びの種は 喜びの実となって 我が身に返ってくる


 慎(つつし)みはゆとりの心から (お葬式のお説教から) 
  肥大した欲望が、個人を、人類を押しつぶしかねない今日の世相です。感情をコントロールできない短絡的な行動(最近の悲惨な事件)に唖然とするばかりです。
  今は慎みという言葉は、死語になってしまったのではないでしょうか。慎みは我慢ではありません。弱気でもありません。心のゆとりから生まれてくるものです。
  目の前のことだけでなく、先を考える余裕、自分のことだけでなく、周りの人のことを考えるゆとりから出てくるものです。
  慎みある生き方が、結局のところ一番確かな、長続きする道だということを忘れてはなりません。豊かな時代だからこそ、子どもには、我慢することを覚えさせる必要があります。それが自分をコントロールする第一歩です。そのためにも、先ず大人が慎む姿勢をしめさなければなりません。
*宗教や宗派の違いに関係なく、大切なことだと思いました。最近、お説教を聞いて「ありがたなあ~」と思うようになりました。これも歳をとったせいでしょうか?  

2020年1月22日水曜日

花だより 焼酎は「小宇宙」 オンシジウム

鉢は大きければいいというものではない
「鉢が大きければ、根を張ろうとして葉や茎を大きくしようとしない。すると花も咲かない。今は冬で植物も休んでいる時期、水は2週間に一度くらいで十分。過保護にするのは良くないですよ。」と花屋さんに言われました。水さえやっていれば元気に育つと思っていたら大間違いです。植物の種類によっても育て方が違いますが、たとえば「クンシラン」、大事に育てて大輪の花を咲かせたいと思ったら、それに合った鉢を用意して、成長に合わせて鉢を変えていかなければなりません。それにしても子育てと相通じるところがあるように思いました。
 焼酎は「小宇宙」
             薩摩酒造(株)常務取締役  鮫 島 吉 廣 氏
 焼酎は、ウィスキーと同じ蒸留酒でありながら、不思議な酒である。とりたてて華やかな香りや濃醇な味わいがあるわけではない。それでいながら、生活の酒としてしっかり存在感を持っている。自分の好みに合わせて割って飲み、どんな料理にも合う。お湯で割っておいしさが増し、酔い覚めがいい。焼酎が九州の地酒にすぎなかったころ私は入社したが、これほどの焼酎ブームが来るとは想像もしていなかった。「針の穴も近づければ世界が見える」ちっぽけな穴も、目を近づければ広く豊かな世界が見えてくる。焼酎は小宇宙(しょううちゅう)につながっていた。

2020年1月21日火曜日

花だより ストレスコントロール(ストレスを生かす) ストック 市田柿

 ~今の学校は、子どもも教師もストレスでいっぱい~
◇教職員は多くのストレスを抱えている
○児童・生徒のいじめ、不登校、非行などが多発する状況で、教職員は非常にストレスフルな立場におかれている。
○教職員のストレスは、本人の悩みのみならず、ただちに児童・生徒の学習や人格の発達に深刻な影響を及ぼしかねない。
○教職員の精神衛生と児童・生徒の精神衛生は表裏一体である。
◇そもそも、なぜ、学校に行かねばならないのだろうか?
 学校に行く理由を、子どもが納得するレベルで明確に答えることは非常に難しい。
●能力や関心も異なる子どもを、大集団にして同じ進み具合で同じ内容を教え込むことに、そもそも不可能性を抱えている。
●近代化を達成した豊かな社会にあって、学校で勉強したところで輝かしい未来が保障されるわけではないと分かれば、無理のある場所に我慢して毎日通う理由が失われる。
●子どもが学校に行く力ではなく、学校の吸引力自体が衰弱している。
●子どもたちを学校につなげ止める力を失いつつある。
 *本来学校は、子どもたちにとって楽しくてしょうがないところであるはずなのです。
 不登校は、どの子にも起こりえる問題です。その原因は多様化し、様々な要因が複雑に絡み合っています。残念ながら、明確な対処法はありません。
  
◎応援者(親や教師)の基本姿勢
①姿勢・態度 ○向き合う ○ともに悩み、考える ○寄り添う
 それは決して、子どもの言うことを鵜呑みにして、子どもと同じ目線、子どもと同レベルではなく、大人として客観的に判断し、サポート(支援)することです。
②最終的な決定権(拒否権)を保障する。
 ○決めたことについては途中で投げ出さす、最後まで自分で請け負っていく、そのためのサポートをする。
◎応援者としての心得
①「認める」 ○応援者としてできることはそう多くないことを認める。
 ○解決するのではなく、解決に寄り添う。 ○凛として対応し、細かな出来事に振り回されない。
②「信じる」 ○本人の持っている力を信じる、回復を信じる。 ○目に見える形での成果をあまり早急に求めない。
③「任せる」 ○ある程度時間に任せる。ただし、何もしないで放任すると悪化の一途をたどる。
◎応援者として具体的にできること
①困っている人の話を聞く。
 ただし、自分の負担にならない程度に、「わかってやれるのは、自分だけだ」とは思わないこと
②中立的な立場を守る。
③情報を共有する。 家庭・学校・その他医療機関などとの報告・連絡・相談の共有化を図る。
    メンタルヘルス 心の健康 遊ぶことが大切  
 体が疲れてくると、風邪をひきやすくなったり、胃腸がうまく働かなくなったりします。それは「少し休みなさい」というサインです。そういうときは、仕事を早く切り上げて、薬を飲んだり、医者に診てもらって回復を図ります。しかし、心の疲れはどうでしょうか?体のようにすぐサインが現れないので、多少調子が悪くても無理に頑張ってしまいます。大人であればストレス解消に、パチンコをしたり、お酒を飲んだり、釣りに出かけたり、それぞれがストレス解消法を持っています。しかし、子どもはそれを知りません。自分ではどうすることもできず、それが問題行動として現れてきます。
 「みんな なかよし」小学校の教室によく掲示してある言葉です。しかし、これほど難しいことはありません。“いじめのある学級”と“まったくいじめのない学級”の子どものストレスは、“いじめのない学級”の方が強いと言われています。子どものストレス発散は、わがままな行動や自己中心的な行動として現れるのが特徴です。いじめているという意識がないままに、ある一定の子どもに攻撃的になったり、また、必要以上に親に甘えたりするのです。“いじめのない学級”には、先生や親の言うことをよく聞く、お利口さんが多いのです。
 お利口さんほどストレスが多い 高学年になるとお母さんにべったりくっついて甘えることもできない。友だちのいやがることをしてはいけない。先生の言うことは、きちんと聞かなければならない。親の期待に応えなければならない。いつも良い子でなければならない。と思えば思うほど子どもにストレスは、たまってきます。本来子どもは、休み時間汗びっしょりになって遊んだり、家に帰っても暗くなるまで外で遊んで、兄弟げんかをしたりしてストレスを発散するものなのです。
 ストレスコントロール(ストレスを生かす)    医学博士 中 島 一 憲
 ストレスコントロールとは、お酒を飲んだりしてストレスから逃げることではありません。人生をより充実させて生きていくために、ストレスを自分が成長するための糧として主体的に取り入れていく姿勢が大切です。ストレスと上手に向き合い、ストレスへの耐性を強化しながら、さらに上のレベルを目指していくことがストレスコントロールです。苦労を乗り越えた収穫ほど、人間的に成長させ、深みを増していきます。ストレス発散で他人に迷惑をかけてはいけない。ストレスのない快適な環境をつくる努力をするより、ストレスに耐える心を育てることが大切なのです。

 

2020年1月19日日曜日

花だより 心の向きを変えてみる 君子蘭


 《保護者から》『いい言葉』見つけました。学校だよりの“心がホッとステーション”に載せてもらえませんか?
    ◇◇◇心の向きを変えてみる◇◇◇
 どんなに文明が進歩しても、病気をはじめ、家庭の不和、仕事上のトラブル・・・と、悩みの種はつきません。そうした状態になったとき、とかく私たちは不運を嘆き、相手を責め、周囲を恨んだりしがちなものです。しかし、何かのせいにしている間は、本当の意味で問題が解決することはありません。むしろ自分の心の向きを変えてみることで、解決へと動き出すことを知るべきです。
 これまでの心遣いを振り返り、切り替えることで、困難を却って運命を開くチャンスにすることだってできます。
 その第一歩は、自分中心の見方をしてこなかったかと反省することから始まります。
  ◇◇◇耐える力を身につける◇◇◇
 甘やかされ、わがままいっぱいに育った子どもは、何か思い通りにならないことがあると、たちまちパニック状態になります。しかし、世の中は一歩家の外に出ると、むしろ思い通りにならないのが当たり前です。
 誰しも学校、地域、職場と、世間の仕組みや周囲の人々と折り合いをつけながら人間的に成長していくものでしょう。
 家庭は子どもを育み、守ると共に、社会に適応できるように準備する場でもあります。そして、そのために欠かせないのが、耐える力をつけてやることです。
 豊かな時代だからこそ、我慢することを覚えさせる必要があります。それが自分をコントロールする第一歩です。
  心当たりがあるだけに、なるほどと感心する言葉です。      
  毎日の生活に追われ、大事なことを忘れがちです。自分のことしか考えられなくなり、相手のことを推しはかる奥床しさとか謙虚さを思い出させてくれる言葉です。言われるとなるほどと思うことがたくさんあります。こんないい言葉に出会うと“心がホッとステーション”です。

2020年1月18日土曜日

花だより 中国人の強かさ デコポン タラバガニ

  中国人の強か(したたか)さ  
  尖閣問題で 鄧小平の言葉 (1978年 記者会見の席上)
「尖閣諸島を中国では釣魚島と呼ぶ。名前からして違う。確かに尖閣諸島の領有問題については中日間双方に食い違いがある。国交正常化の際、両国はこれに触れないと約束した。中国人の知恵からしてこういう方法しか考えられない、というのは、この問題に触れるとはっきり言えなくなる。こういう問題は一時棚上げしても構わない、次の世代は我々より、もっと知恵があるだろう。皆が受け入れられるいい解決方法を見出せるだろう」と述べる。(会場から拍手がわき起こる。)
 欧米的なはっきり白黒つけるディベートのような討論に対して、この鄧小平の言葉は、実に東洋的な解決・判断の仕方です。人間社会において特に政治の世界では、割り切れないことが多いものです。トップリーダーの賢明な判断かもしれません。非常に成熟した大人のものの考え方だと思いますが、中国にも鄧小平のような大物政治家がいなくなったのでしょうか?
 学校現場でもこの尖閣問題と似たようなことがあるように思います。ただし、曖昧で玉虫色の決着は、大人の成熟した知恵と判断が条件となることを忘れてはなりません。非常に遠回しの言い方をしていますが、「校長は何が言いたいのか?」と思うでしょう。賢明な先生方には、行間を読み取り、相手の心を推しはかる想像力を発揮してみてください。

2020年1月17日金曜日

花だより 小学生に身に付けたい「表現力」 蕗の薹


 小学生に身に付けたい「表現力」 ところで「表現力」ってどんな力? 
 《そもそも表現力とはどんな力なのでしょうか?知っているようで意外に知らない》
○自分の気持ちや考えを表す。
○自分のイメージを具体的な形にする。
○相手を説得する。
 これらすべてに必要な「表現力」です。子供の日常生活はもちろん、学校や試験でも必要な力です。社会に出てからも求められます。
【表現力とは?】
 「これまでの経験をイメージ化し、それを基に自分の考えをまとめてきちんと話し、書ける力」 
【表現力が育ちにくい理由】
 多くの大人は、絵は写実的に描かなければならない。という固定観念にいまだ縛られています。そのために親や教師は、子供の自由な表現に接しても対応の仕方がわからず、戸惑っているのではないでしょうか?小学生の間に多くの経験をして、それを常に学校や家庭で楽しく言語化するよう促していれば、言葉の表現力は自ずと身に付くはずです。しかし、子供の話をきちんと聞かなかったり、威圧的になったりすると、子供は萎縮して自由な表現ができなくなります。
【作文で表れる「表現力」の目のつけどころ】
 ~子供の話を最後まで聞くことが大切~
 作文を書く際に大切なのは「表現したい」「伝えたい」という子供の気持ちを喚起させることです。そのために重要なポイントは、意外なことに日常生活で、親が子供の話をきちんと最後まで、真剣に根気よく聞くことなのです。
【低学年】言いたいことを時系列で書く
 低学年は語彙が少ないため、主語と述語のみを使った表現が多いものです。「誰が」「何を」「いつ」「どこで」「なぜ」「どうやったのか」という5W1Hを使った表現はまだ難しいものです。この時期に大切なポイントは、「だいたいがおさえられている」、また「時間の順序がまちがっていないか」という2つです。
 きちんと主語と述語を入れ、「走る」「見る」「食べる」「聞く」など、動詞を正しく使えるようにする。 
【中学年】構成に注意して書く
 語彙が増え、文章を書く基礎が完成する時期です。作文では「びゅうびゅう風がふく」「あたたかい服」などの形容詞があらわれ、文章にふくらみが出ますが、まだ上手にまとめられない。この時期の作文の観点は、「要点が抑えられているか」「はじめ、なか、おわりの構成で書けているか」「なかとおわりのつながりがいいか」です。
【高学年】相手のことや目的を考えて書く
 高学年になると、論理的思考力がついてきます。また、低学年で時系列だった順序が、感動の大きさの順序に変わってきます。作文では比喩的表現も増え、書き出しを工夫するなど高度な技術も使えるようになります。作文の観点は、「テーマは明確に論理的に書かれているか」「構成は工夫されているか」「できごとだけでなく気持ちが表現できているか」「相手のことや目的を考えて書かれているか」などです。

2020年1月16日木曜日

花だより その子に合った言葉かけ カニサボテン

「その子に合った言葉かけ」
 「子供のために」と思って話したことが、相手に理解されず、糠に釘であったり無視されたり、時には反発されたりすることもあります。自分の言葉が相手の心に届き、自ら振り返ったり改善に努めてくれたりすると嬉しいのですが、なかなか上手くいかないことが多いものです。
 下のようなケースの場合、どのような言葉かけをするでしょうか。
【A教諭】
  「君は、自分が置かれている状況をどうして理解できないんだ。友達や先生がこれだけ心配しているのに、肝心の本人にやる気がないのなら何を言っても無駄だな。
後で泣きついても知らないからな。そうなったときのことを今から考えておきなさい。」
【B教諭】
 「もう、君には任せておけないので、今後やるべきことをプリントにまとめました。一緒に取り組んでいこう。まずは授業には教科書を用意すること、黒板の内容をきちんとノートに写して毎日私に見せること。それから、課題の締め切りは明後日だけど、どこまで終わっているんだい。」
【C教諭】
 「以前、英語が好きだから、将来はそっちの方に進みたいって言ってたよね。君ならできると思うよ。だけど、数学は嫌いだからといって、授業中におしゃべりをしたり寝てしまったりするのはまずいぞ。夢を叶えるために、今やるべきことは何だろう。私も応援するから頑張って夢を実現させようよ。」
 やる気が起きず、真剣に取り組めないM男のような生徒の親や担任の先生は、きっと頭を抱えていることでしょう。いくら言葉で「気持ちを入れ替えろ。」、「やる気のスイッチを入れろよ。」と言っても、M男は、「おれの心はCDじゃない。そんなに簡単に入れ替えなんかできないよ」、「おれは蛍光灯じゃないんだ。スイッチ一つでやる気の光なんか点くものか。」なんて思っているかもしれません。
 3人の先生の言葉を分析
 A教諭は、周囲の人たちが心配して、どんなに言っても全く変わらないM男にとうとう愛想を尽かしてしまったようです。そして、これ以上指導することをやめ、突き放すことで自ら気付かせようと方針を変えました。また、痛い目に遭うことではじめて自覚できるとも考えました。
 しかし、この言い方は少し乱暴かもしれません。M男には、果たして自分だけで取り組む力があるのでしょうか。「どうせおれは何をやっても駄目なんだ。」と投げ出してしまうことはないでしょうか。
 このような手荒な指導は、生徒との信頼関係を十分に深めていないと失敗します。また、試験の結果が悪かった時のフォローも考えておく必要があります。よほど指導力がないと難しい方法でしょう。
 B教諭は、これまで行ってきたような働きかけでは、M男にやる気を起こさせることは難しいと考え、このような方法を提案しました。一つ一つやるべきことを具体的に指示して取り組ませることにしました。しかし、これでは自分で考えることができず、指示したことしかできない生徒になってしまいます。その結果、自分の行動に責任が持てず、「先生が言わなかったから・・・。」などと、責任転嫁する恐れがあります。
 担任が一方的に与えるのではなく、M男に考えさせながら一緒に計画を立てて、自主的に取り組めるよう導いていくことが望ましいのではないでしょうか。
 C教諭は、M男の得意分野や将来の夢を話題にして自信を持たせようとしました。そして、今の問題点を指摘し、どうすべきかを考えさせようとしています。
 担任は、要所要所で適切なアドバイスに心がけ、M男に少しでも変化が見られたら、声かけや学習の進行状況を確認するなど、応援していることを伝え、やる気を継続させたいと考えているようです。
 いずれの場合でも、保護者との連携も重要なポイントとなります。M男の生活態度や学習状況をしっかりと理解してもらい、担任として何とかしたいという気持ちを強く訴えて協力をお願いします。時には、あらかじめ保護者と作戦を練ってから本人と面談することも考えられます。
 ところで、やる気のスイッチが入らない生徒には、様々なタイプがあります。それぞれのタイプに合った働きかけをしなければ、なかなか相手には伝わらないものです。そこで、例えば以下のような考え方はいかがでしょうか。
① 何とかなるだろうとか、先生や親が何とかしてくれるだろうという他力本願的なタイプにはA教諭のような言葉かけを。
② 勉強の仕方がわからず、やり始めてもすぐに諦めてやる気をなくすタイプにはB教諭のような言葉かけを。
③ やればできるはずなのに、勉強以外のことに夢中だったり、低い目標設定でがんばろうとしなかったりするタイプにはC教諭の言葉かけを。
 いずれにしても主役は生徒ですから、担任は裏方として、生徒の自主性を育み、自覚を促すためにはどのような働きかけが効果的なのか、研鑽、工夫に心がけたいものです。

2020年1月15日水曜日

花だより 母親の無意識が子供の自立を阻害している セントウソウ


 「自立できない子どもを育て上げている」 
 子育て真っ最中のお母さんと言えば、昭和50年代~平成10年代生まれの方がほとんどだと思いますが、この時代は、ひと言で言えば「豊か」でした。そんな時代に育ったお母さん世代の子育てに対する考え方と、家電などの普及により家事に時間がかからなくなった環境、そして情報過多となっている子育て情報など、さまざまな要因が重なり、無意識のうちに「自立できない子ども」を育てあげていると言われています。このままいけば、国の行く末にも影響が出てくるのではないかとも不安視されています。このような悪い連鎖は、いつか断ち切らなければ大変なことになります。
 田中喜美子著『母子密着と育児障害』を参考に、“母親の無意識が子供の自立を阻害している”その無意識な行動についてお伝えします。
《母が育ってきた環境が、自立できない子どもを育てる》
 豊かさゆえに「我慢を教えられず育った環境」「自立を促されずに育った環境」と言えると思います。そのような環境の中で育ってきたことが、今の子育てに大きな影響を与えています。
 子育てをしているお母さんが我慢を知らず、自立を促されずに大切に育てられれば、そのお母さんもまた同じような子育てをしてしまうのは自然の流れであり、当たり前のことなので、そこを否定するつもりはありません。
 しかし、我慢知らずで自立の仕方を知らない、いわば自立していないお母さんが無意識に自立できない子どもを育ててしまうことは、社会にとって悪い連鎖となります。心では「自立できる子に育てなければ」と思いつつも、自分の育ってきた環境が当たり前という考えの中で育児をすることが、無意識のうちに子どもの自立を阻害している可能性があることを再認識していただきたい。
《余る時間を全て子どもに費やすという事実》
 昔は掃除、洗濯、炊事など「家事」と呼ばれる仕事は、多くの女性が大量の時間を使ってこなしていた重労働でした。
 しかし最近では、家電製品などの発達により、家事にかける時間が昔とは比べものにならないほど時間短縮されるようになりましたが、時間短縮され、余る時間を今のお母さんたちはどこに費やすのか。それは、「子どもの生活すべて」です。
 子どもを取り巻く衣食住すべてにつき、手回しよく面倒がみられ、危険がないよう配慮するのです。その結果、子どもにとって母がいないとダメな環境を無意識に作り上げ、母も自身の存在意義をそこで保とうとします。
 生活に不自由がなく便利が当たり前、そして失敗がないよう先回りした配慮環境が、子どもの自立を阻害しているということです。
 《情報過多の子育て情報・子育て教育にとって、それは今も昔も変わらない》
 近年の育児本や雑誌、インターネットなどの情報を見ていると、「叱らない子育て」や「褒めて伸ばす子育て」そして「母子密着子育て」が推奨されているように感じます。
確かに母子密着の生活の中で、叱らず褒めて成長する子どももいると思いますが、田中喜美子さんは、母に守られた環境の中、叱らず褒めまくる環境が、逆に我慢ができず、生きる力のない子どもを育ててしまうと言います。
「叱らない子育て」と言えば教育評論家の尾木ママこと尾木直樹さんが有名ですが、教育評論家があの柔らかい笑顔と口調で「お母さん、お子さんを叱らないでもっと褒めてあげてください」と言えば、勘違いもするでしょう。
 その勘違いとは、本来叱らない子育てとは「頭ごなしに怒ったり、人格否定したりせず、叱る前にちゃんと子どもの考えや気持ちを聞き入れ、その上でダメだと思うことは言い聞かせる」ですが、人に迷惑を掛けたり、傷つけたり、危険なことをしても「叱らない」という勘違いです。
 ダメなことをやっても叱られない環境の中で生活する子どもは、やりたい放題の我慢知らずが当たり前となり、協調性を持たず育ってしまうため、生きる力のない人間になってしまいます。子どもの考えや気持ちに耳を傾けず、感情的に叱ってしまうことはいけませんが、やってはいけないことをちゃんと教えることは親の役目です。
 情報過多の現代では、意識的に情報を得ようとしなくても、テレビや雑誌などから無意識のうちに情報が入ってくる環境です。しかし、その情報を断片的にとらえ勘違いし、行動してしまっているかもしれないことを再認識することです。
《まとめ》
 全ての家庭において当てはまるとは限りませんが、「母の育ってきた豊かな環境」「家事に時間を要しなくなり、余る時間を全て子どもに向けられるようになったこと」「日本の子育て教育の問題」の3つが、無意識のうちに子どもの自立を阻害していると田中喜美子さんは言います。
 母の育ってきた環境や、今の家事環境を変えることはできませんが、今まで無意識だったところを少し意識することで、自立した子どもを育てる環境づくりに気が向けられるのではないでしょうか。(要約:牧野)

2020年1月14日火曜日

花だより 教師の常識10カ条 クリンコザクラ 椿


「教師の常識10カ条」
1.児童理解は子どもと遊ぶ中で見えてくる。特に、問題を抱えた子との信頼関係を築くためにも休み時間は子どもと遊ぶ。
2.退勤前には必ず教室を見回る。明日の子どもの顔を思い浮かべて。整理整頓された教室で迎えよう。見えるところを整頓できない人間に、見えない心を育てることは不可能。
3.授業が勝負と考える。特に新しい単元に入るときは、教材研究を欠かさない。
4.自分の実践記録を整理する。得意分野の整理をしている先生は普通の先生、不得意な分野の整理もしている先生は成長する先生である。
5.勤務校以外に研究仲間をつくる。研究団体、公開研究会、進んで実践発表をする。「忙しくて時間がない」は「私には知恵がありません」と言っているようなもの。
6.保護者を味方にする具体的な方策をもつ。クレームの多くは、担任(考え方)を理解してもらうことで減少する。
7.笑顔を忘れず、誠実に対応する。保護者は、教師の表情、言動から心を見ている。そしてその見方は、非常に正確である。
8.いつでも善悪を見極め、物事の値打ちを考えて行動する。そこに確かな価値や筋道が潜んでいるのがプロの教師。「叱る」と「怒る」の違いをどれほど感じて指導しているか。感じ方の中に教師としての品性・品格が現れる。
9.報告・連絡・相談は職業人としての常識と考える。情報は正確かつ迅速、相談は包み隠さない。
10.いつでも、どこでも明るい挨拶をする。「挨拶は一番短い会話」

2020年1月12日日曜日

花だより シャンプーボトルのギザギザとリフレーミング 寒桜


  シャンプーボトルのギザギザ ~思いやりの心を育てる~
 シャンプーボトルの側面にギザギザ(刻み)が付いているのをご存じでしょうか?
 目の不自由な方が、手で触ってシャンプーとリンスを識別できるように、このような工夫がされています。この刻みが付けられたきっかけは、目の不自由な妹さんをもつ消費者の方が、ボトルに輪ゴムを付けるなどして、シャンプーとリンスを区別している。なんとか触っただけで識別できるボトルはできないだろうか。そこで大手メーカーの「花王」では、新しい金型を作り、シャンプーのボトルに〈刻み〉をつけた。さらにこれを業界全体の財産にしようと各社に呼びかけ、現在では、ほとんどのメーカーがシャンプーに〈刻み〉をつけている。
 シャンプーの〈刻み〉誕生の背景には、このような多くの人の願いや苦労や工夫があったのです。目が不自由な妹さんをもつ方からの手紙。それに応えようとした「花王」の企業姿勢。そして、それを業界の共有財産とした各メーカーの方々。どれを取り上げても、心温まるエピソードです。
 この話を子どもたちは、どう受け止めるでしょうか?今の子どもたちは、自己中心的な考え方が強いと言われています。このような話をたくさんしてあげることが大切かもしれません。
 ◇リフレーミング(短所も見方を変えると長所に?)
 こんな子も見方を変えると 
 ○「責任感がない」→無邪気な、自由な 
 ○「だらしない」→こだわらない、おおらか 
 ○「調子に乗りやすい」→雰囲気を明るくする 
 ○「のんき」→ 細かいことにこだわらないマイペースな子と見ることもできます。
  それでは問題
 次のような子は見方を変えるとどうなるでしょうか?
 ①甘えん坊な → (   ) 
 ②あきっぽい → (   ) 
 ③おしゃべり → (   )
 ④おっとりした →(   ) 
 ⑤しつこい  → (   )  
 ⑥せっかちな → (   )
 ***リフレーミングの答え***
  ①人にかわいがられる ②好奇心旺盛な ③社交的な ④細かいことにこだわらない
  ⑤ねばり強い ⑥行動的な となります。
 逆に「お宅のお子さんは、社交的で・・・」と言われたら、遠回しに「おしゃべりでうるさい」言っていると思った方がいいかもしれません。

2020年1月11日土曜日

花だより もうすぐ1年生 胡蝶蘭


 もうすぐ1年生 ランドセル商戦は、すでに終盤を迎えているそうです。  
 ~陰山英男先生の「入学の心得」 
 《基本は「早寝・早起き・朝ごはん」》
 学力低下が話題になっていますが、学力低下の最大の理由は、社会の夜型化にともなう、生活習慣の崩れによる脳の機能低下だということです。
 朝起きたとき、脳のエネルギーは空っぽです。そのまま学校に行っても授業に集中することはできません。ですから、朝ごはんはしっかりとらなければなりません。朝ご飯を食べるには、早く起きる必要があります。ご飯の1時間前には起きて、体を目覚めさせないと食欲がわきませんし、ゆっくり食べる時間もありません。そのためには夜はやく寝ることです。1年生なら9時間は寝ないと疲れは取れません。このように逆算していくと「早寝、早起き、朝ごはん」の大切さがよく分かります。しっかり眠り、何をどう食べるかということは、人生そのものを決するのです。
 「早寝・早起き・朝ごはん」は、家庭環境のバロメーターそのものです。家庭がしっかりしているかどうかが問われます。
 《教育とは「型」にはめること》
 教育の最終目標は自立させることです。将来の自立に向けて、1年生から身に付けておきたいことは、「礼儀作法」、「時間厳守」、「整理整頓」の3つです。
 今の子どもは礼儀を知らないと言われますが、そうではなく、「型」を教わっていないのです。思いを伝える型を知っていれば安心して生活できます。友だちや目上の人にもかわいがってもらえます。
 「時間の大切さ」も大変重要です。社会は時間に沿って行動します。時間は貧富の差に関係なく、だれにでも平等に与えられています。相手の時間を尊重し、自分の時間も大切に使わなくてはなりません。時間を有効に使い、気持ちよく生活するために必要となるのが、3つめの「整理整頓」です。整理整頓は、頭の中や身の回りを整え、次の行動をすばやく起こすための時間管理です。
 この3つは理屈ではなく「型」として子どもたちに教え込んでしまうものです。型を知り、型にはまってこそ、社会の中で自由に生活できるのです。それを自立といいます。
  ・・・1年生の親でなくても、今一度確認してみてください。・・・
 入学前に思っていたこと、気を付けていたこと、期待感、夢や目標など、薄れていませんか?

2020年1月10日金曜日

花だより 作家:小檜山 博 講演会 常盤小桜

作家 小檜山 博 講演会
 小檜山 博氏は、1937年(昭和12生まれ)北海道滝上町雄柏の炭焼小屋で生まれました。
 両親は、会津から北海道滝上町の奥、中雄柏へ入植した貧しい農民です。この両親の歴史は作品「光る大雪」にくわしく書かれています。
 雄柏中学校(全校生が10数人)へ入学した博少年は、規模の大きい学校で勉強したいと、2年生のとき滝上中学校へ転校します。「風少年」はこの時代のことを書いた小説です。 
 両親から「勉強より家業が大事だ」中学校を卒業したら家業(当時は農業)を手伝うよう強く言われました。 “ぼく”は学校から帰るとすぐ畑仕事にかかります。一週間に一日は学校を休んで手伝えとも言われます。勉強は怠け者がするものだと親たちは言うのです。
 滝上中学校までは、片道14キロ、3時間も通学にかかりますが、 めげませんでした。でも冬になると積雪のため、片道5時間もかかるようになりました。さすが両親も見かねて仕方なく、冬の間だけ、滝上の親戚に下宿させます。“ぼく”はそこに居る間は労働から開放されます。「ゆっくり勉強できるなんて、何と幸せなんだろう」としみじみ思いました。
 高校進学は無理でも、せめて受験だけでもと受けた結果、網走管内40校の受験生中、一番だったと新聞に載ります。それで兄たちの援助で就職率の高い高校に進学。1956(昭和31)年苫小牧工業高等学校電気科を卒業することができました。卒業前に北海道新聞社に入社が決まり、入社後は勤務のかたわら小説を書きます。「文学界」「新潮」「すばる」などの文芸誌に作品を次々に発表しました。
 講演内容は、小檜山氏の少年時代を取りまく厳しい自然、労働、そして温かい教師との出会い、貧しい中にも真っすぐに、シャイで逞しく成長していく姿を淡々と話されました。今の時代、勉強することに幸せを感じる子どもが果しているでしょうか。恵まれすぎた今の子供たちの環境を憂い、挫折を味わう大切さを訴えていました。

2020年1月9日木曜日

花だより 恋文 寒椿



 ~恋 文~ 全校朝会で
 「今、皆さんは『書く』勉強をしています。大きくなったら、素敵なラブレターが書ける人になって下さい。素敵なラブレターを書くためには、どうやったら相手に気持ちが伝わるか①文章の構成を考えること ②言葉をたくさん知っていること ③字を間違わないこと ④ひらがなばかりだと笑われます。漢字を覚えること ⑤そして、何より大切なことは、誰かを好きになることです。 
 それでは、ここで素敵なラブレターを紹介します。
 先日、お会いして以来、あなたの顔を忘れることができません。
 ぼくは、昔から女の人と話すのが苦手でした。ところが、あなたと話していると一行に疲れません。むしろ、心がウキウキする感じがします。これほど自分にあった女性が他にいるとは思えません。
 今すぐにでもプロポーズしたいところですが、ぼくの一方的な気持ちをあなたに押しつけることになります。それでも、どうかぼくと結婚を前提にお付き合いしていただけないでしょうか。そして、ぼくという人間をあなたによく知ってもらいたいと思うのです。よいお返事をお待ちしております。

《返 信》 
 あなたの気持ちは、前々から何となく感じておりました。
私も以前から、あなたに好意以上の感情を持っておりました。あなたのお言葉がどれほどうれしく感じたことか、大げさではなく、天にも昇る気持ちでした。汗だくになってプロポーズするあなたが愛しくてなりません。
 私を選んでくださってありがとうございました。あなたと一緒にこれからの人生を歩んでいける喜びを、今、噛みしめています。

 全校朝会が終わって、ある子が校長室に来て言いました。「校長先生、ラブレター書くのうまいね!」
「これは、校長先生が書いたんじゃないからね!」
「えっ!それじゃ、〇〇先生かな?」
ある女の先生が言いました。「プロポーズは、メールじゃイヤだけど、目の前で言って欲しいです。」(そういう男性が早く見つかることを願っています。)

2020年1月8日水曜日

花だより 自己責任 テンドロビウム

自己責任
 大人は、子どもを危険からできるだけ遠ざけようとします。落ちたらいけないと池に柵を巡らせたり、けがをするからと遊具器具を撤去したりします。
“転ばぬ先の杖”はもちろん大切ですが、あれもこれも危ないと、事前に危険の芽を摘むことが、危険を察知して回避する能力や注意力を鈍らせ、逆に事故を招いていることもあるのではないでしょうか?
 世の中にはいたるところに危険が潜んでいます。その全てを事前に取り除くことは不可能です。とすれば、大人がすべきことは、危険の芽を摘むことではなく、世の中の現実の姿を教えることです。
 自らの安全は、自らの責任で守るもの。そんな当たり前のことを大人から子どもまで誰もが忘れてしまい、安閑と日を過ごしてはいませんか。そして、事故が起こると、他に責任を転嫁する。そうした姿がいたるところで最近見られるようになりました。“自己責任”この言葉を改めて心に刻みたいものです。

2020年1月7日火曜日

花だより 天才じゃなくても夢をつかめる法則 ハコベ

「天才じゃなくても夢をつかめる法則」 
 プロゴルファー石川 遼どのように育てられたか
 石川の父親は、子どもが興味を持つことなら何でも挑戦させた。母親は、子どもを叱るときはきびしく接し、時には手を挙げることもあったといいます。これらの実例から「子どもが夢中になることはやらせてみる。」「叱るときは、厳しく短く」が大切だということがわかります。そして、「一万時間で一流になれる」という法則です。石川は5歳の時からゴルフを始めました。一日3時間の練習をすると10年で約1万時間になって、この法則が成り立つのです。これはスポーツ限ったことではありません。
 最年少の15才で冬季五輪(スピードスケート)に出場した幕別町の高木美帆選手 
   彼女もまた5才からスケートを始めてちょうど10年目になります。彼女の場合は、スケートだけでなくサッカー選手としても将来を嘱望されている逸材でした。また、趣味はヒップホップダンスで、片道10㎞あるダンス教室まで自転車で通っていたそうです。そして、学校の成績も優秀でした。なるほど高木選手もこの法則がぴったり当てはまります。しかし、サッカーとダンスの指導者は、「彼女を天才ではなく、努力家である。」と言います。
“天才じゃなくても夢をつかめる” 一番大切なのは、本人の努力を支える親の温かな愛情が必要です。

2020年1月6日月曜日

花だより 風邪をひかない丈夫な身体 カンアオイ


 風邪をひかない丈夫な身体
 “身体を鍛えている人は、風邪をひかない”というのは本当?
 お相撲さんは、よく風邪をひくそうです。オリンピック選手も体調を崩して、メダルを逃すケースがよくあります。体力の限界まで練習するアスリートは、身体が疲れているので風邪をひきやすいのだそうです。こんな話をすると「何だ!それなら家の中でゴロゴロしている方が病気にならないんだ」という子がいました。
 冬休みは、適度な運動と規則正しい生活をする
 健康で暮らすためには、“疲れをためない”ということです。そのためには、適度な運動をすること、十分な睡眠をとること、好き嫌いをしないで3度の食事をとること、つまり早寝、早起きなど規則正しい生活をすることです。
 せっかく学校で体力つくりをしても、不規則な生活をしていては何にもなりません。規則正しく健康な人は、ウィルスが体内に入って発症しても、軽い症状ですぐ治ります。
 “健康は人生の目的ではないが、一番の条件である”
という格言があります。また、先の通信でもお知らせしましたが、規則正しい生活は、「いじめ」も防ぎます。冬休みは、正月休みで生活が不規則になりがちです。十分気を付けて下さい。
 

2020年1月5日日曜日

花だより 元旦からお金を使うものではない 梅

~お正月~
 昔は、「元旦からお金を使うものではない」と言われたものです。それに元旦はどのお店も休みでしたが、今は大手スーパーの元旦初売り広告チラシが31日の新聞にたくさん入っています。我が家は、「そんな商戦には乗らない。出かけない」と決めていましたが、31日腕時計が電池切れで止まってしまい。元旦早々出かけることになってしまいました。まず、車の多さにビックリ、店内の人の多さにビックリです。店先で小さい子どもが「何見るの?何見るの?」とお母さんに聞いていました。きっと車の中で「いいかい、見るだけだからね。見るだけで何も買わないからね。」とお母さんから言われたのでしょう。あまりの人多さに電池交換だけして早々に帰ってきました。
 元日から働いている皆さん 本当にご苦労様です。
  あっ?校長先生だ! (北見東部ダイエー店で)
 ぶらぶらしてゲームコーナーまで行くと、パチンコ台がピカピカ光っていました。見るとやっているのは大人で大当たりを出していました。
 “100円で150発お正月サービス”と書いてあり、隣があいていたので座ろうととした瞬間。後ろから「校長先生。おめでとうございます。」とあいさつされました。1年生の男の子でした。「校長先生、何しているの?」と言われ、「うん!ちょっとねぇ~。お年玉たくさんもらったから、買い物に来たのかい?無駄遣いしたらダメだよ!」と言うと「校長先生もね!」と言われました。

2020年1月4日土曜日

花だより 互譲の心を耕す 乙女小桜

いじめは、子どもと子どもとの協力や助け合い
        互譲の精神を考え、行動することから防ぐことができる
 子どもと子どもとの協力や助け合い、互譲の心を耕すということは、単に机上の理論としてではなく、共に行動し、共に汗を流し、そこで人間性が磨かれ豊かな心を育むということです。子どもと子どもとの様々な触れ合いを通して、友だちのよさや協力や助け合い、互譲の心を身につけていくのです。親や教師は、その時々を任せっきりにせず、共に汗を流したり、泣いたり、考えたり、叱咤激励することが大切で、あらゆることに看過しない方がよいのです。
 冬休み中、『小学生30人31脚 全国大会』というテレビ番組を見ました。30人もいれば足の速い子もいれば、遅い子もいます。本戦の走りより、先生の指導の下、みんなで助け合い、励まし合って練習に励んでいる様子に感動しました。
  若松小学校がリコーダーの全道大会に出場しました。ある小学校の演奏が終わって、一人の子が隣の子の手を引いて、舞台を去るのを目にしました。よく見るとその子は目が不自由なようでした。ごく自然なふるまいでしたので、毎日の練習の時から、その子の面倒を見ているのが分かりました。
    互譲の心とは、共に汗を流し、協力・助け合う。そこから豊かな心が生まれる
 いじめをゆるさない心は、野球やサッカーなどのスポーツやリコーダーの合奏など音楽活動を通しても養われるものだと思います。若松小学校は、リコーダーの全道大会で金賞をいただきました。音楽的評価ばかりでなく、こうした心の教育にも役だったと思っています。
 

2020年1月3日金曜日

花だより おとなになりきれない オモト スノードロップ



      東北地方では、子どもを叱るときにお尻を『この宝物、この宝物!』と言いながら叩く
 よく「いつまでも子どもの心を失わないでいたい」と言う人がいます。打算や駆け引きが行き交う社会では、子どものような純真でいることは確かに希有なことであり、貴重なことだといえましょう。
 しかし、子どもの心は一面、事の善悪や分別を知らない無知な心、未熟な心でもあります。していいことと悪いことの区別がつかず、自分の感情のおもむくままに行動したりもします。だから子どもの心だけでは良好な人間関係は結べないのです。おとなの分別があってこそ、それは輝くのです。
 今日、おとなになりきれない人が増え、ものの考え方や心の在り方が幼稚化する傾向がますます強まってきています。他人がどう思うかなどまったく意識の外にあって、周囲への配慮に欠けた行為やおとなげないわがままなふるまいが目にあまります。このままでは、戦後70年営々と築き上げてきたこの豊かな社会は遠からず衰退していきます。おとなの心、おとなの分別を取り戻してほしい。そのためには教育の充実が必要です。新しい年を、真の成熟に向けた第一歩の年としたいものです。


2020年1月2日木曜日

花だより 年越ウォッチング 黒松 蜜柑

 年越ウォッチング 
 “除夜の鐘” 大晦日だけは、夜更かしをしてもいい!
 大晦日(おおみそか)、大晦(おおつごもり)、年越し、年取り、除夜などともいいます。この日の夜は、あちこちのお寺から除夜の鐘が響いてきます。
 大晦日には、除夜の鐘を聞きながら、1年間をしみじみと反省してみるよい機会です。勉強のこと、運動のこと、お友達のこと、家族のことなど振り返ってみたでしょうか?
 除夜の鐘は百八つ鳴らします。仏教では、人間に百八つの心をなやます、煩悩(ぼんのう)があるといいます。この煩悩を一つ一つの鐘の音が消してくれて、光明に満ちた新年を迎えることができるというのです。鐘のつき方をよく聞いていると、代わる代わるに強く54点、弱く54点ついています。そして、107点までは今年のうちについて、108点目で新しい年が明けたことになります。
 子どもの頃は、NHKの紅白歌合戦を見終わって、家族全員で初詣に出かけたとき、除夜の鐘が鳴り響くのを聞いたものです。しかし、それも今は様変わりしました。渋谷のスクランブル交差点に大勢の若者が集まり、バカ騒ぎをして新年を迎えるのです。
 年賀状も手紙はほとんどなくなりました。パソコンにインプットした住所録でプリントアウトする時代です。
 最近は、元旦営業は当たり前になっていましたが、今年は、働き方改革と人手不足で、元旦を休業する店が増えたそうです。それにプラスチックごみを減らす取り組みが進み、買い物袋が復活しています。年寄りには、大歓迎です。