~ 心 打 つ 手 紙 ~ (平成20年)
「南部先生(大学の指導教官)が還暦を迎えるので、当時の研究室生でお祝いをしたい。」と大学の後輩から案内が届きました。場所は、支笏湖畔、久しぶりの先生や仲間との再会を楽しみにしていましたが、こちらの会議と重なり、残念ながら参加することができませんでした。
研究室は日本史で、南部 昇先生は古代史が専門でした。当時先生は28歳、“北大から短期間限定で派遣されてきた駆け出しの生意気な先生”というイメージで我々学生は見ていました。しかし、指導は厳しく、赴任早々、日本書紀や岩波新書などの購読会が週に2度有り、その都度レポートの提出を課せられました。おかげで、大学生活が人生の中で一番机の前に座っている時間が長かったかもしれません。
“先生に出席できなくて残念です”と手紙を出しましたら、お返事をいただきました。その中に、
“今、校長(教育者)は大変だ。上にも下にも、横にも斜めにも気を遣わなければならない。上だけに気を遣う人は楽だが、牧野はそうゆうタイプじゃないから…”とありました。
ちょうど様々な課題を抱え悩んでいるときでしたので、この言葉に勇気づけられましたし、反面、下や斜めにもきちんと気を配っていただろうかと反省もしました。いくつになっても先生は先生。教え子のことをよく観ているものだ。と感心させられました。
「會古通今」桑原翆邦先生の書が校長室に掛けてあります。なるほど校長室に掛けてある意味がやっと分かりました。
文章を書くのは、だれだって好きじゃない。「筆無精は、一生の損」ということわざがあるように、私もこの歳になって、そのことを痛感しています。上手な文章を書きたいと思っていましたが、読み手の心を打つ文章が大切だと言うことを改めて学びました。
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