2020年1月28日火曜日

花だより お帰り寅さん 蜜柑


 お帰り寅さん
 テレビのバラエティ番組に、山田洋次監督と倍賞千恵子、前田 吟が揃って出演していた。映画の番宣らしい。そこで“男はつらいよ”シリーズ開始から50周年、50作目の集大成として「男はつらいよ お帰り寅さん」が上映されることを知った。
 ちょうど我々の世代の映画なのだが、残念ながら劇場で観たのは2~3本だけで、あとはテレビで何度も何度も観たものだ。
 最近は、映画を見るのは年に一度か二度、しかし、これは観なければと思い、休日の朝、スマホでイオンシネマHPを確認すると、午前9時30分からの一日一度の上演のみであることを確認、朝食もとらずに慌てて出かけた。
 タッチパネル式のチケット売り場の前は、すでに老若男女の列がつながっていた。その中でお年寄り夫婦が、機械での購入をあきらめ受付のお姉さんを相手にチケットを購入していた。案の定、寅さんの客だった。
 場内が暗転になり、「男はつらいよ」の題字がスクリーンいっぱいに現れ、お馴染みのテーマ音楽が響いた。「これだよ。これ!」一瞬場内にドヨメキが起きた。いくら大画面のテレビでもこの迫力は味わえない。
 何とお馴染みのオープニングで桑田佳祐が寅さんの衣装で主題歌を歌っているのには、若干違和感があった。
 今回の物語の進行役は、今は小説家になったさくらの息子満男(吉岡秀隆)と初恋相手の泉(後藤久美子)である。倍賞千恵子、前田 吟、寅さんの永遠の恋人リリー役の浅丘ルリ子など、なじみの俳優も顔をそろえた。回想シーンの中で寅さん(渥美 清)はもちろんだが、歴代のマドンナも全員登場するなど、笑いと涙につつまれ、前席に座っていた老夫婦の手が何度も目に当てられていた。
 スマホで改めて、“お帰り寅さん”を検索すると、視聴者の評価が載っていた。「久しぶりに笑って、泣いた。感動の名作が戻ってきて、うれしい!」と星4つから5つの高評価もあれば、「桑田佳祐のオープニングを唄うシーンはいらない。」「後久美の台本棒読みの演技はいただけない。」などの酷評もあった。
 「桑田佳祐は、きっと寅さんの大ファンだったのだろう?」「後久美もよく出演してくれたなあ?歳をとっても相変わらずきれいだなあ~。」私は、そんなことを思いながら観ていた。同じ映画を観ても感じ方はそれぞれだ。
 山田洋次監督は、こう語っている。『男はつらいよ』は、日本が高度成長期の時代背景の中で、野放図な発想の軽やかさ、はた迷惑を顧みない自由奔放な行動を渥美清さんが演じて、作者のぼくが当惑するような人気作品になった。そして今、先行き不透明で重く停滞した気分のこの国に生きるぼくたちは、もう一度寅さんに会いたい。
 寅さんの台詞にあるように「生まれてきてよかったと思うことがそのうちあるさ」と切実に願って第50作を製作することを決意した。
 私は映画館で、寅さんやさくら、歴代マドンナ、おいちゃん、おばちゃんに、また会えたことだけでうれしい。劇中では、寅さんの生死について触れられていない。再度、寅さんに会えるのだろうか?

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