2020年10月31日土曜日

花だより 学校の統廃合問題の今 オギナタコウジュ カボチャ

 

 学校の統廃合問題の今
 北海道特にオホーツク管内は小規模校が多い。20年前は約180校の小中学校があったが、現在は125校まで減ってしまった。減った55校の大半は小規模・へき地複式校である。廃校になった地域の人は、「運動会も学芸会もなくなって寂しくなった。お祭りには、神社の境内ですもうをとったり、子ども神輿もあったり、楽しかったよねえ~。」と話す。
 児童数の減少は、小規模ゆえに目立つ。その変化に気付いた保護者たちが、町中の大規模校へ(今は町中にも大規模校は存在しない)といち早く子どもを自ら移そうとしている。そうやって減っていった後で最後に残った少数の子どもの親たちの間では、「早く統廃合を進めて、子どもたちが大きな学校で学べるようにしてほしい。」と行政に訴えるようになる。どうもそういうことが起きている。
 要するに、学校統廃合の起因は、自治体財政の減少やその学校の教育内容にあるのではなく、人々の不安の増大のようだ。
 もちろん、中には子どもの数がみるみる減っていく現状を見かねて、市町村側から進める統廃合もあるが、そうしたケースでもやはり、その底流に保護者たちの不安があるから統廃合が進むわけで、地域から「学校を残してほしい」という抵抗の声が強く出れば、行政は無理な統廃合を進めず様子を見守るのがふつうである。そうして残った学校も数年後には統廃合となったケースをいくつも知っている。しかし、最近は、こうした統廃合をめぐる背景が大きく変わりはじめた。
「こども園で一緒だった友だちと1年生になるとき別れてしまう。そして、中学校でまた一緒になる。中学校の大人数の中でなじめるか、いじめに合うのではないか心配。」という親の声がある。
 オホーツク管内の3市以外は、ほとんど小学校と中学校が1校である。1学年1学級でクラス替えもない。こども園も一か所しかないと2歳から預けられた子は、中学を卒業するまで14年間、同じ集団で過ごすことになる。
 中学3年生に「なぜ、地元の高校に進学しないのか?」と尋ねると、「高校生活くらい新しい仲間と過ごしたい。」と答えた。地元の高校に進学すると17年間環境は変わらないのだ。地方の町は、学校の統廃合と地元高校の存続問題も抱えている。
 小規模校には、大規模校にはない良さがある。特認校のようにあえて小規模校を選択する親もいる。小規模校の教員は、その特色を生かした学校づくりに努力している。小規模校から市内の中学校に進学した子は、基本的な生活習慣がしっかり身についている。生徒会や部活動で活躍している子が多い。と聞くことがよくある。学校の規模だけで良し悪しは決められないのだが、今の保護者には伝わらないのか?



2020年10月30日金曜日

花だより “いのち”を伝える ツルウメモドキ 椎茸

 

  “いのち”を伝える  秋田市大森山動物園長 小松 守 氏
💖長い間、動物園で動物の子育てを見続け,“いのち”を伝えることについて考えてきた。動物たちは自然が創りあげた巧妙な子育ての仕方を見失うことなく、淡々と命をつなぐ。お乳は、子の腹を満たすだけでなく、親子の触れ合いをつくり温もりで心にも栄養を与える。たっぷり愛情を受け、子は生きる力を身につけ成長する。やがて親になりじぶんが経験したことを子に伝える。実に単純だが、そこに大事なものがある。“Education”の語源に見つけた「お乳で育てる」とある。“いのち”の教育、その始まりは親子の触れ合いではないだろうか。“いのち”はイノチからしか伝わらないのだ。
 ~2年生の教室にうさぎ(生活科の学習)~
👌低学年の生活科に小動物を飼う学習があります。そのねらいは、生き物をただ眺めて観察するだけでなく、手で触ってみたり、抱いたり、水や餌をやったりという活動から、生命をもっていることや成長していることに気付き、生き物への親しみをもち、大切にすることができるようにするものです。乗馬で心身の回復を図るなど、生き物との接触が心の安定に良いことはよく知られているところです。優しい心はこんな活動から、自然に生まれてくるものです。
😃この学習には、“うさぎ”が適しています。子どもたちは、「うわあ~、かわいい。ふさふさで気持ちいい。」とうさぎに直接触れます。ところが思った以上に筋肉や骨でごつごつしていることに気づきます。心臓の鼓動を感じます。餌の食べ方、うんこの仕方まで詳しく観察します。ずっと観ていても飽きません。子どもたちは目を細めて観ています。これまで若松小では、うさぎを飼う施設や環境になかったのでこうした学習はしていませんでしたが、川東学園から1ヶ月レンタルしました。




2020年10月29日木曜日

花だより 3つの「あ」を大切に センブリ 銀杏

 

《3つの「あ」を大切に》~おたよりに感謝を込めて~
 🤷‍♂️今日もらってきたプリントに「あいさつで人を大切に」とありましたが、“1年生でさえするのに高学年の方があいさつができないなあ。”と思います。私は、あいさつは本当に大事だと思っているので学校長にも話してみて下さい。~とお便り帳に書いてくれた保護者の方がいました。
 3つの「あ」を大切について
👍校長になった年の4月の道新「読者の声」に退職した前田八郎という校長先生の投稿が載っていました。
~この3月に定年退職を迎えます。長い間「あいさつで人を大切に」「あんぜんで命を大切に」「あとしまつで物を大切に」と子どもたちに語り続けてきました。この「3つのあ」がいつも笑顔で実行できたら素晴らしいことだと思っています。昨年末、この「3つのあ」のことを本校の5年生の女子が「みらい君の広場」(道新)に投稿し、掲載されました。その直後、これを読んだという苫小牧の主婦の方の投稿が「『3つのあ』を読み、気持ち和やかに」というタイトルで「読者の声」に載りました。新年になると「3つのあ」をテーマにした手作りカレンダーが、匿名の方から送られてきました。知人の教員からも「新聞読みました。『3つのあ』引き継ぎます」と声を掛けていただきました。大変うれしいことです。教員生活37年間のご褒美をいただいた思いです。「3つのあ」がつなげてくれた多くのご縁に感謝します。~
😃わかりやすく、いい言葉なので私も真似をすることにしました。それ以来この“「3つのあ」を大切に”を子どもたちに語っています。 
「あいさつ」は、簡単なようでできないものです。
 毎日交差点に立って交通安全指導をしてくれている葛西さんから、“全員に「おはよう!」と声をかけるけれど、あいさつが返ってこない子が何人かいる。それでも毎日しつこく声を掛けていれば、「おはよう」と言うようになってきたよ。”と言われました。
 業務主事の湊さんと塩田さんも毎朝、子どもたちに声を掛けて、返事がなければ「どうした?返事がないぞ!」と言ってくれています。
🤩過日、北見のある中学校を訪れたとき、グラウンドで野球部が練習をしていました。練習の様子を眺めていると、一人が私に気付き、「こんにちは」とあいさつをしてくれました。それに合わせて全員が練習を中断し、帽子を取り、深々と礼をするあいさつを受けました。
🤷‍♂️校長室に入りその話をすると、「うちの野球部は、毎年優勝候補にあがる強豪チームなんです。うちの学校は、お陰様で、いじめや不登校がないんですよ。」と自慢しました。私は、改めて「あいさつ」の大切さを知りました。
👀潮見小学校も、多くの子が「校長先生、おはようございます。」と言います。そのあいさつがどんどん広がるように努力したいと思っています。貴重なご意見ありがとうございました。


2020年10月28日水曜日

花だより 石森じいちゃんの手 ヨメナ 紅葉

 

  石森じいちゃんの手
🤷‍♂️「おじいさんの手汚いよ。ちゃんと石けんつけて洗っているの?」
1年生が石森じいちゃんに言いました。すると「あのね。いくら洗ってもとれないんだよ。何年も何年も百姓をしているからね。土が手にしみこんでいるんだよ。」
 石森じいちゃんは、ごっつい手を見せながら、やさしくその子に話しました。 
「今年の畑(若松小学校の教材園)は、雑草もあまり無く、いい畑だ!」と石森じいちゃんに褒められました。私も夏休みに草取りをしましたと言うと、石森じいちゃんに「わずかな面積の草取りをして畑仕事をしたとは言えない。」と言われました。
 学校での菜園活動は、植物を育て、継続的に世話をすることで、生きていることの尊さや素晴らしさ、枯れたり死んだりすることの悲しさや恐ろしさ、農家の方の苦労などを自らの体験を通して学ぶことをとねらいとしています。また、こうした体験活動は、今問題になっているいじめ問題対策の“心の教育”につながるものです。
 今年も収穫祭ができました。関わっていただいた方への感謝と収穫の喜びとこれまでの活動を振り返るものです。教材園で採れた野菜は給食のカレーの食材になりました。
😃「俺は90を過ぎたけど、まだまだ元気だ。来年の収穫祭も来るからな!」と颯爽と自転車こいで帰っていきました。



2020年10月26日月曜日

花だより 吉田沙保里選手から学ぶ リョウビュ

 


 ~吉田沙保里選手から学ぶ 悔し涙が次の努力につながる~
 女子レスリング界最強と言われた吉田沙保里選手、アテネ、北京大会に続き、ロンドンでも圧倒的な強さで金メダルを獲得しました。まさに盤石の姿勢で3個目の金メダルを手にしたように見えます。しかし、実際はそうではなかったのです。女王はかつてないほどに追いつめられていたといいます。試合後、感極まり人目をはばからず号泣したそうです。
 「プレッシャーは今までで一番きつかった。試合前に眠れなくなることなんて初めてだった。正直、このオリンピックは厳しい。自分の進退問題も考えないといけないと思っていた。」というのです。それほど吉田選手は4年ぶりに喫した5月のワールドカップでの敗北が尾を引き、「トンネルを抜け切らない状態」だったといいます。
 負けを知ることで、いろんなことを勉強させてもらった。
 攻め続けていたこれまでとは違った「賢いレスリング」をした。4年ぶりの敗戦は、吉田選手のレスリングを狂わせていた。しかし、一方では「今まで研究をするということが少なかった。」という吉田選手は、頭で考えるレスリングを学んだのです。
「負けを知って、いろんなことを勉強させてもらって気付かされました。勉強したことや良いことはどんどん自分に取り入れていって、負けることがあったら勉強して、それを繰り返して人は賢くなっていくと思う。明日からまたトレーニングしたい。」と語ったそうです。
 勝ち続けてきた女王だからこそ知ることができた敗戦の重み、そこから得る進化への糧。吉田選手に限らず、オリンピック選手は、人並み外れた才能の持ち主ばかりです。しかし、才能だけでは、メダルを取ることはできないのです。血のにじむ努力の積み重ねと多くの挫折を乗り越えてきたことを子どもたちには知ってほしいものです。
 敗者とは、最後にゴールするランナーではない。最初から、出場を諦める人だ!
 南アフリカの義足ランナー、オスカー・ピストリウス選手の母親の言葉です。“スポーツに限らず、何事にも精いっぱい努力する人であって欲しい!” オリンピックを観戦して改めて思いました。
惜しくも敗者となった選手からも、「これまで支えてくれた多くの人に感謝します。」というコメントが多かったように思います。家族はもちろんのこと、個人競技の選手もチームメイトやスタッフに対する感謝の言葉がありました。
 日本は東日本大震災以後、人と人との「絆」とか「支え合う」ということが大事にされました。仲間はずれやいじめとは無縁の世界です。オリンピックから多くのことを学ぶことができます。何とか来年、東京でオリンピックを開催したいものです。


2020年10月25日日曜日

花だより マスクの効果 ダンギク 栗

 


 ~マスクの効果~
🤦‍♂️「新型コロナウイルスの感染防止にマスクは効果がない。」と言っていた大統領がピンチに立っています。欧米と比べて爆発的感染が日本で押えられているのは、日常的にキスやハグをする文化がないこと、コロナ以前からマスクをする習慣があったことが挙げられています。これまでは外国人から見て、日常的にマスクをする日本人を見て奇異に映っていたようです。まだしばらくはマスクを外すことはできません。 
 風邪をひいたときにするマスクには3つの効果があるそうです。
👌一つは、人から風邪をうつされないため 二つ目は、人に風邪をうつさないため 三つ目は、マスクをすることによって「わたしは風邪をひいています。」と回りの人に知らせるためです。
😒「風邪をひいている子どもを学校に来させるな」と行ってくる親がいます。自分の子に風邪をうつされたくないからです。一方で「子どもは熱があるのですが、私は仕事に行かなければならないので、学校に行かせますからよろしく」と電話を掛けてくるお母さんもいます。“学校で何とか看病して下さい”ということなのでしょうか。でも、電話してくるお母さんは、まだいい方です。熱でふらふらしているのに学校に来る子もいます。電話をして迎えに来てもらおうとしても家族が留守。ということがよくあります。
🤷‍♂️みんな自分の立場だけを主張して、責任を人に押しつけてしまっているようです。言えば学校が何とかしてくれるだろうということなでしょうが、それを考えるのは学校ではありません。それぞれの家庭で考えることです。
😉子どもたちは、先生も含めて集団生活をしているのですから、風邪をうつしたりうつされたりすることは「おたがいさま」でやむを得ないことです。そうやって免疫力を高め風邪をひきにくい体をつくっていくわけですから、悪いことばかりではありません。みんなおたがいさまなのだと考え、ちょっとだけ相手の立場に立って考えてみることができないでしょうか。
👀これからインフルエンザの流行する季節を迎えます。マスクをするエチケットに加えて、心のエチケットも必要です。




2020年10月24日土曜日

花だより 家庭内暴力(母子カプセル化) カッコウアザミ シシャモ

 


 🤷‍♂️小中学生の問題行動の中で、集団的な暴力がすっかり影をひそめ、家庭内暴力、特に母親に対する暴力が増えています。
  家庭内暴力 暴力はなぜ母親に向かうのか?
 警視庁が出している「少年の家庭内暴力は誰に向けられているのか」という統計で、家庭内暴力の約6割が母親に向けられているそうです。一方、父親に暴力を振るうのは全体の約1割程度ですが、最近では少し比率が上がってきています。ちなみにこの統計は、19歳以下を対象としたものですが、それ以上の年齢層であっても、やはり多くの家庭で母親が暴力のターゲットにされていることがほとんどです。
1 なぜ母親がターゲットになるのか?
(1)母親の方が子どもと向き合っている時間が長い。
 子どもの中で感情のマグマが溜まっていき、ある日突然何かのきっかけで爆発する時、目の前にいる母親に対して矛先が向かうからです。
(2)母親への「依存と甘え」が挙げられます。
子どもの人生が母親の生きがいになっているという母子カプセル化ケースなどでは、特にこの「依存と甘え」が表出します。
子どもにとって自分を生み育ててくれた母親というものは、いつまで経っても「依存と甘え」の対象になりやすいのですが、この母親へ向かう「依存と甘え」にメスを入れる役割は父親にあります。
 ところが、父親が家庭に無関心であったり、母親へのDVを繰り返している場合には、自然と母子関係が強くなりすぎてしまう傾向にあります。
 そうなると母親への執着が生まれ、べったりと寄り添うあまり離れられなくなってしまうのです。時には弱音を吐いたり、愚痴を吐いたりする母親に対して、代理人としてその対象を攻撃したり、復讐したりして母親への強い味方意識を持ってしまいます。
(3)現実と空想世界の区別がつかなくなり、パーソナリティ障害の症状へ向かう
 子どもが心の混乱状態の中で、もし母親が少しでも子どもから離れたり、逃げ出したりしようものなら、執拗に追いかけては探し出し、暴力を振るってしまうことも少なくありません。年齢なども一切関係なく、40歳前後の成人であっても、60~70歳の母親に対して追いかけまわし、暴力を振るっているケースも実際に存在します。
2 罪悪感と暴力
 しかし、根底では子どもは母親想いであり、母親のことを愛しています。ですから暴力を振るってしまった後で、必ずと言っていいほど母親に対して「申し訳ないことをしてしまった・・・」と深く反省の念も抱いています。
「こんな暴力ばかり振るっているダメな自分を絶対に見捨てずにいてくれるのか?」という不安の中、暴力を続けることで母親を試し続けていくのです。どんなに殴っても母親は逃げないし、倒れないという幻想を心から思い続けて、より一層暴力はエスカレートしていってしまいます。彼らは、「母親だけは絶対に離したくない存在」として全精力をかけて、その愛というものを確かめたいと切望しているのです。
 😒以前は、暴走族のような集団による問題行動が主流でしたが、今は個別化し、陰にこもる問題行動が増えてきました。昔やんちゃだった子が、今では立派な社長さん!になっていたりすることもあります。しかし、母親に暴力をふるう子は、40歳過ぎても治らないなら、社会に出ることさえできません。早い段階で何とかしなければならないのですが、学校では暴力を振るうこともないので発見が遅れてしまいます。さらに、そうした母親に限って、自分の恥だと思うのでしょうか?事実を隠し、誰かに相談しようとも思わないのです。母親だけのせいではありません。お父さんしっかりして!!




2020年10月23日金曜日

花だより 世界無形文化遺産「和食」 シコンボタン

 


 世界無形文化遺産「和食」 
 その土地の美味しいモノを食べるのも旅の楽しみの一つです。財布のひもも緩みがちになり、ちょっと背伸びしたお店に入ってしまいます。そして、この歳になると和食の選択になります。東京や京都、山口や熊本に行くと、北海道(オホーツク)とは違った店の佇まいがあります。風情のある中庭、いかにも高級そうな置物や掛け軸、そして器に洗練された盛りつけの料理とおもてなしに豊かな気持ちになります。なるほど和食は世界遺産です。
 料理人として伝えたいこと        
   土山 憲幸氏 (元赤坂プリンスホテル総料理長) 
 おもてなし 料理の力は30%で、あとは雰囲気や環境、そして「おもてなし」が大きな役割を占めます。料理人は、季節にあった新鮮な食材を、その持ち味を生かすように調理し、盛り付け、取り合わせ、器との調和など見た目の美しさも考え、温かいものは温かく、冷たいものは冷たくお出しし、最高のおもてなしをするように心がけます。人に対する暖かな気遣いが「おもてなし」の基本です。
3センチ 日本人の平均的な口の大きさは約3センチだと言われています。ですから料理をつくるときには、約3センチに切ってお出しします。刺身、お新香、煮物でも基本は3センチです。それ以上のものは箸で崩せる硬さにします。例えば、がんもどきは耳たぶくらいの硬さ、焼き魚も切り身して箸で崩せる硬さに焼き上げてお出しします。
五味(酸・苦・甘・辛・塩) 昔は、冬は保存食の味噌漬けや醤油漬けなどを食べていました。塩分を摂りすぎると腎臓に負担がかかりますから、春先に酸っぱいものやえぐみのある山菜などを食べて冬に身体に溜まった毒素を出します。日本は「苦み」を重視する傾向があり、これは他の国の料理と違うところです。
 季節に合った旬のものを食べることや五味をバランスよく食べることが身体のためにもいいのです。五味が全て入っている食物が「味噌」です。味噌汁の中に五色の食材を入れたのが御御御付け(おみおつけ)です。「御」という文字が3つも付いた、たいへん身体に良い食物です。
 料理はバランスをとることが大切です。まるい器には四角く盛り、四角い器には丸く盛ります。そうするとバランスがとれて心が落ち着き、きれいで、美味しそうになります。
 夏は薄い器やガラスの器を使って涼しそうに盛り、冬は厚ぼったい皿になだらかに盛ってあげると温かく見えます。これが盛りつけの基本です。 
 「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。これは料理だけでなく、食べ物に関わる生活様式や自然の中に生かされていることを感謝しながら生活する日本人の食文化も含まれます。
 料理で一番大事なのは「自然」だと思います。自然が保たれていないと美味しい野菜や魚、肉は育ちません。人間は全てのものに感謝と思いやりの気持ちを持ち、もっと謙虚に生きなければならないと思います。「いただきます」「ごちそうさま」と、食前、食後に手を合わせる習慣も大事にしていきたいと思っています。


2020年10月22日木曜日

花だより お風呂の入り方で親の教育力が分かる アキチョウジ 柿

 


 ~お風呂の入り方で親の教育力が分かる~ 
 「俺はこうやって育てられたんだ!」「私の家では、そんなこと教えられなかったわ!」
夫婦の間で、子育ての方針について、衝突することは多々あります。ごはんの食べ方や寝る時間、かたづけの仕方など挙げればきりがありません。些細なことや日頃の生活習慣すべてで考え方の違いが出てきます。
 人は自分の体験をベースに子育てをします。当然、家庭によってさまざまだから、夫婦でぶつかるのも当たり前です。
 その家庭がどんな子育てをしているかが、手に取るように分かるのが「お風呂」です。
温泉で親子連れを見ると気になることがよくあります。子どものお風呂の入り方で親の姿が見えてきます。きちんと体と足を洗ってから湯船に入る子ももちろんいるけれど、中には脱衣室からそのままドボンと飛び込む子、立ったままシャンプーして、シャワーを周囲にまき散らして頭を洗う子もいます。旅番組でタレントさんが温泉に入るシーンを見て、バスタオルを巻いたまま入ることがマナーだと誤解している子どもさえいます。一緒に入っている周りの人のことを、全然気にしていません。「いつも家でそういうふうにやっているの?」と聞くと、必ず「はい」と答えます。その家庭の子育て文化が子どもにしっかり根付いています。
 確かに最近は街中の銭湯もなくなり、公衆浴場で大人からマナーを学ぶ機会が減っています。でも、親が“まわりの人のことをきちんと考えられるように”という育て方の方針をしっかり持っていれば、たとえ銭湯に行かなくても子どもは自分で気づくものです。
 今一度立ち止まって、自分の子育てを振り返ってみるべきです。「お風呂に入るときは、まず体を洗ってからね。体を洗うときは、まわりの人にしぶきがかからないように注意して、座って流そうね。」
 お風呂の入り方を教えることは、優しくまわりを気遣える子どもになる大切な機会です。




2020年10月21日水曜日

花だより 「男はつらいよ」寅さんシリーズ オヤマリンドウ 胡桃

 




 ~「男はつらいよ」寅さんシリーズ~
 BSテレビで寅さんシリーズ「男はつらいよ」が何度も放映されています。なぜ、寅さんは日本人に愛されているのでしょうか?映画監督の山田洋次氏は、今の教育についてこう語っています。
 ~家族同士のコミュニケーションの欠落でしょうね。核家族化がはじまって20~30年が過ぎ、その中で育った子どもたちが親になって、本格的な家族の断絶が起きているのではないでしょうか。寅さんの映画を作っていた時代は、「そうなんだ、こんな風に人と人が愛し合い、仲良くなるための面倒な努力をしながら社会が成り立つんだな。」という思いで観客は満足してくれた。けれども、今の若者たちとその思いを共有できるのだろうか?と不安になるのです。何故か、日本人は毎日ゆとりなく過ごしていて、人と人が深く関わり合う時間がない。それは学校の先生にも言えることで、先生って、学校で子どもと仲よくしているのが仕事なはずなのに、それができない状況にあるようです。子どもは先生の生活を一人占めしていたいと願うものではないでしょうか。
 寅さん役の渥美清さんは、小中学校を通して成績は、一番ビリか、ビリから二番目だったそうです。だから彼には成績の悪い子どもの気持ちがよくわかるんですね。ロケーション中に、渥美さんの周りには不良少年が不思議と集まってくる。この人は味方だと。寅さんの役だからというのではなくて、渥美さんの人柄を一目で見取ってしまう。この人はエリートや秀才より俺らの側に立っている人なんだと。渥美さんのような、できの悪い子の味方になってくれる先生が、学校に二人くらいいたら、子どもたちはどんなに学校が楽しくなるでしょうね。~ 
  寅さんシリーズには、私たち日本人が忘れかけている「人情」がテーマになっています。次の展開が分かるくらい何度も見ていますが、毎回、笑って、泣いて、見ています。


2020年10月20日火曜日

花だより 子どもの夢や希望に耳を傾ける アキノキリンソウ

 


 ~子どもの夢や希望に耳を傾け励ます~
 不登校の原因が分からない女の子がいました。離婚が原因で不登校になる子が多くいますが、ところがその子は、離婚を機に学校に来るようになったのです。よく話を聞くと、離婚をする前は、夫婦仲が悪く、父親は家に帰って来なくなり、母親はいつもイライラしていた。子育てどころではなかったのです。考えた挙句一人で子どもを育てる決意して離婚しました。新しい生活を始まり、母親の精神状態が安定すると、子どもの精神状態も安定して学校に来るようになったのです。
 今の子どもは冷めています。将来の夢や希望を持たず、難しい目標はチャレンジする前にあきらめてしまうと言われています。「将来の夢は、公務員になって、退職したら年金でのんびり暮らす。」とこたえた子がいましたが、今の子どもたちが年金をもらう頃、年金制度がどうなっているかわかりません。しかし、子どもは子どもなりに夢や希望を持っています。どんなに小さく、どんなに変に思えるものでも、その夢や希望に耳を傾けましょう。
 また自分の経験や長い間にわたって苦労して夢を実現した人々の生き方などを折に触れて話しましょう。そして、人生の目標は汗を流し、失敗を重ねながら達成していくものだと、励まし、あたたかく見守りましょう。「オリンピック選手になるんだ!」「アイドル歌手になりたい。」と言っても「そんな夢みたいな話をするんじゃない!」と言わないことです。人類は「月に行きたい。」という夢を持ったから、現在の宇宙開発があります。    
スペースシャトルディスカバリーの日本人女性宇宙飛行士山崎直子さんは「宇宙戦艦ヤマト」を見て、宇宙飛行士になる夢を持ったそうです。どうせ持つなら、大きな夢を持つべきです。それを受け止めてやるのが親の役目です。
~深まる秋~パークゴルフ場



2020年10月19日月曜日

花だより 避難訓練の講評~狩 野  亮 選手のちょっとイイ話~ オオケダテ

 


  避難訓練の講評~消防士さんから狩 野  亮 選手のちょっとイイ話~
 バンクーバーパラリンピック金メダリスト狩野 亮選手が網走一中在学中の避難訓練のときの話です。2階から避難するとき、同級生4人が車いすを持ちあげて階段を降りてきたのを見ました。避難訓練に決まったマニュアルはありません。そのとき、その場で的確な判断ができるかどうか、特に学校の場合は、みんなで協力して避難することが大切です。
 夢を持つと人は強くなる 
  冬季バンクーバーパラリンピック金・銅メダリスト 狩 野  亮 選手(網走市出身)
 私は、斜里町立朝日小学校で亮くんのお母さんと一緒でした。お父さんは斜里中学校で野球部の顧問。お母さんは、専門が体育で陸上の選手でした。アスリートの血を受け継いだ亮君でしたが、小学生のとき交通事故で下半身不随になりました。狩野先生は、苦労話など他人にする人ではありませんでした。いつも笑顔で優しく子どもたちや保護者に接し、誰からも好かれ信頼されていました。亮君がワールドカップで優勝し、バンクーバーパラリンピックの日本代表選手に選ばれたとき狩野先生は「交通事故で下半身を失ったのに、なぜこんな危ない競技をするのか。猛スピードで滑走し、もし転倒したら、取り返しのつかないことになるのに、と毎回毎回祈る思いで見ていました。いろいろあったけれど・・・。神様からご褒美をもらった気分です。」と話されていたことを思い出しました。亮君はもちろんすごいですが、それを支え続けたご両親にも特大の金メダルを贈りたいです。
 人は 泣いたぶんだけ やさしくなれます。笑ったぶんだけ 幸せになります。


2020年10月18日日曜日

花だより 児童センターの子どもたち ナナカマド ホトトギス

 


 子どもたちの多くが、授業が終わると児童センターにやってくる。お迎えは18時を過ぎる。土曜日も朝からやってくる。中には、2歳からこども園に預けられている子もいる。児童センターに来る子は、きまって支援員の膝を奪うようにして乗って甘える。聞くと、学校や家庭では、そんなことはないという。女性の社会進出に子育ては、社会全体で行うことで行政は、子育て支援が手厚くなった。選挙になると「子育て対策」は、必ず公約に入る。児童センターには、支援を要する子も多い。「お母さんは、気の休まるときはないだろうから、少しでも手助けができたら…。ここは学校でも家でもない。子どもたちにとって一番居心地のいい場所になればいい。」と児童センターの職員は言う。
 人間の教育は、誕生から始まり、
    母親こそ人生最初の教師である
            だっこやひざの上からはじまる。
 赤ちゃんの心の研究者パブゼク博士は、親には「直接的な育児能力」(本能的に子どもを育てる力)があると言います。お母さんは赤ちゃんが幸せな気持ちで興味が湧くように、明るく優しいリズムや調子を選んであやしたりします。これは知識で教えられるものではなく、幼い頃に愛された体験を基盤に親になると自然に湧いてくるものです。この直接的育児能力は、未開発国に豊かに見られ、高度に発達した文明社会の母親は高等教育により、頭でっかちになるとだめになるとも警告しています。
 戦後のベビーブームに生まれた世代の人は、母親が洗濯機もなく、素手でせっせと家事と育児をこなしていたのを見て育ちました。子どもの病気も多く、真心と祈りだけがよりどころのその頃の母親は、おそらく直接的育児能力は豊かだったはずです。ところが、今の日本は世界最低の乳児死亡率と最高の平均寿命を誇りながら、子どもたちは苦しんでいます。いじめ、不登校、自殺。仲間と心ゆくまで遊びながら自然に鍛え合う、幸せな子どもの発達環境が破壊されているのです。
 しかし、どんなひどい心の傷を負い絶望している子でも、お母さんが真心をこめてわが子を理解するようになると、水を得た魚のように蘇るのです。お母さんには、子どもの心を癒す不思議な力があります。母親とは偉大な存在です。どのお母さんもこの力を持っていることに気付いて欲しいです。
 午後6時過ぎ、制服姿の母親が「遅くんなってごめんね。」走って児童センターにやって来る。「遅いよ!」と文句を言いながらも母親にとびつく。中には、きれいに着飾ったお母さんもやってくる。聞くと農家だという。農作業が終わって、シャワーを浴びて、着替えて、お化粧をしてからやってくるそうだ。時代は変わった。しかし、お母さんの不思議な力は変わらない。 



2020年10月17日土曜日

花だより 痛快スカッとジャパン フジバカマ 

 


 フジテレビの番組「痛快スカッとジャパン」高視聴率らしい。
🤷‍♂️世の中にあふれる理不尽なクレーマーやマナーの悪い客など、身近にいる意地悪で身勝手な人たちを、ナイスなアイディアと機転の利いたとんちや手の込んだ頭脳作戦で撃退するスカッとする話をショートドラマで展開する番組。こんな番組ができるのも世の中に身勝手な人が多くなった証拠です。日本人の品格はどこへ行ったのでしょうか?
 「品格」とは、気取った話し方やすました態度のことをいうのではなくて、稟とした清々しい心のもちようなのだということです。「品格」のない若いお母さんたちをあちこちで見かけるようになりました。スーパーマーケットで売られているぶどうを一粒とって、そのまま口に入れた子どもがいました。その様子を見ていたお母さんがこう言ったそうです。「あっ、ダメ。洗っていないから汚いでしょ!」
 そばにいた店員が見かねて「そんなことされたら困ります。」と注意をすると「食べられて困るなら、きちんとラップして売って下さい。」と食ってかかったといいます。
 なんとも殺伐とした光景ですが、最近こんなお母さんがわりとたくさんいるようです。
「自分の子どもは悪くない。悪いのは周りの人たち」という理屈にならない理屈をふりまわして、子どもをかばっているお母さんたちです。
「ぼく(わたし)悪くないもん」という未熟な精神状態のまま大人になってしまった人たちが、はたしてこの国を支えていけるかと考えると、気持ちが悪くなります。マナーを身に付けない、そして、ルールを守れない子ども、わがまま放題で自由をはき違えた子どもが再生産されていくことになります。
「品格」のある人間とは、しっかりとしたマナーを身に付け、きちんとルールを守れる人をいいます。人に対する優しい気持ちや世の中のルールを教えられるのは家庭しかありません。それを子どもに身に付けさせるのが「しつけ」なのです。学校は、家庭でしっかりしたしつけがなされていることを前提にして運営されているのです。やっていいことと悪いことの区別を教えられるのは何をおいても家庭なのだということを是非わかっていただきたい。 (多湖 輝著の「母の品格」より)





2020年10月16日金曜日

花だより 文化の継承 モノから学ぶ ヒヨドリバナ

 


 🤦‍♂️テレビ東京「和風総本家」の終了が残念 
 日本の伝統文化や職人、世界に進出している日本の技術を紹介している番組で毎回欠かさず見ていました。風土や歴史から生まれた日本独特の文化は外国人からも高く評価され、興味を持たれています。この番組から、グローバル社会の中で外を向きがちですが、日本の文化をもっと知るべきと思います。
 文化の継承 モノから学ぶ  彫刻家(仏像) 吉水 快聞 
 昨今、盗作疑惑というモノが騒がれる。インターネットの普及により情報がグローバル化し、一般人でも画像検索をかければ世界中の類似のモノに容易にたどりつくことができるようになった。そして、それに対して個人がSNSを利用して「パクリだ」と発信し広がっていく。
 著作権は守られるべき権利で盗作を肯定するつもりはないが、ちょっと待ってもらいたい。優れた作品というモノが、ある日突然何もないところから現れるのだろうか。過去の影響を受けていない作品というモノはないと考える。学問もそうであるが先行研究があるから次につながっていくわけで、すべてをリセットしてゼロから生み出すというのは途方もない労力を要する。芸術にしても過去の優れた作品、技術があるからこそ新しいことにつなげていける。そうでなければ「文化」は断片的になってしまい、成長していかない。文化は過去に学び、次につなげることで確立していき、やがてそれは伝統と呼ばれるようになっていく。
 「学ぶ」ということについて 
 近年教育現場では「自ら学ぶ力を育てる」ということが話題になっている。自ら学ぶとはどういうことなのか。
①人から教わる これは人から直接教えを乞うということである。学校の授業など、最も一般的な方法である。しかし、教える側の主観が強すぎたり、一方的になりがちで自ら学ぶという姿勢は少なくなる可能性がある。
②人から盗む これは職人など実技が伴う業界でよく言われることである。芸術などの分野では言葉で伝えられることは限られているため、手取り足取り教えてくれるのは希であり、師匠や先生を見て勝手に学んでいくモノである。
③書物から学ぶ 技術書など文字化されたものを読むことで実際に本人を前にしていなくても学ぶことができる。ただ、文字で表されたことは伝わりにくいことも多い。
④モノから学ぶ これは文字や言葉でなく実際に存在するモノを通して、学ぶということである。結果は目の前にあるが、高低は分からないので推測していくことになる。
⑤経験から学ぶ これはおそらく一番身に付く学習方法かもしれない。自分自身の経験を基に学習していく。特に失敗による学習が重要である。失敗した原因を探りそれを改善し次につなげる。
 以上のようにそれぞれ長所短所があるが少なくとも学ぶという行為は自ら興味を持ち、研鑽を深めていかなければ身に付かないものである。私自身は④と⑤によって学んだという側面が強い。
 👀人から教わる授業は、あまり効果がないということです。授業改善のヒントはこんなところにもあります。今盛んに言われているアクティブ・ラーニングは、こうした考えに基づいています。今は、①~⑤の他にYouTubeやリモートから学ぶというのも追加されたようです?





2020年10月15日木曜日

花だより 教師は話しすぎない! 授業改善に取り組む シオン 

 


 教師は話しすぎない! 授業改善に取り組む
 全国学力調査で長文読解力、記述式問題の正答率が極めて低い。(特にB問題、国語、算数ともに)考える力、思考力、判断力、表現力が弱いという結果が出ています。これは学力調査が始まって以来、変わりません。B問題の学力UPは、これからの課題です。
🤦‍♂️そのためには授業を見直すことです。国語の時間にどれだけ本を読み、どれだけ考え、発表する時間が補償されているかということです。先生が1時間のほとんどを話し、子どもの発表を先生が補足して、まとめて、板書して、それを聞いて書き写し、「わかりましたか?」これでは力が付きません。課題解決(的な)学習にはなりません。
 5年生の授業研(国語「まんがの方法」)がありました。説明文の読み取りの発展から、自分でマンガを選び、表現方法の工夫を探し、それを交流・発表する内容でした。これはB問題の読解、記述式につながるものです。こうした授業の工夫・改善が学力向上につながることを期待します。
 授業反省では、仮説に結びつけて、自ら課題意識を持ち、意欲的に活動することができたか。自分の考えをまとめて、かつ発表することができたか、そこに焦点を当てるべきという意見が出ました。
 どの研究でも仮説や研究内容は立派だが、その取組の結果、子どもたちはどう変わったか?その検証が曖昧です。「教育は、すぐに結果は出ない。」そんな逃げはもう許されません。
👀5年国語の教科書「まんがの方法」の中に“まんがは理屈ぬきにおもしろい”でも、よく調べてみると独特の表現手法や作者の工夫が見られる。それを理解するとさらにまんがを楽しく読むことができる。美味しい料理も理屈抜きに美味しい。そこには伝統・文化から生まれた洗練された「おもてなし」のこころがある。子どもたちは、読み取ることができたでしょうか?
東陵公園


2020年10月14日水曜日

花だより 西の京「おいでませ山口」 ユウゼンギク

 


  おいでませ山口
 平成27年10月22・23日 全国連合小学校長研究協議会山口大会
   全国から2,600人の小学校長が集まる!
「お客さん、どこからお見えですか?」 
“北海道はオホーツクです。”
「それまた遠いところから、ようこそ、おいでませ山口へ」
「何日かかって、来られましたか?」
「朝、9:30に女満別空港を発って、羽田で乗り換えて、山口宇部空港に着いたのは14:30でした。」
「へえ~、そんなんで来るんかい?」
 公園や道路沿いには、ソテツが植えられ、バラやキョウチクトウの花が咲いていました。滞在した3日間は天気に恵まれ、気温は25度以上、山口は南国でした。
 朝7:50、新山口駅発JRローカル線の電車で会場へ向かいました。普段は2両編成らしいのですが、校長会に合わせて、この2日間は4両編成となっていました。それでも車内は東京のラッシュ並の混雑で、気の毒だったのは、通学時刻と重なった女子校生です。
「何?このスーツ姿のおじさん集団!」というひそひそ話が聞こえました。そんな中、純朴そうな女子校生は、古典の試験があるのか下二段活用をぶつぶつと唱えていました。
 15分ほどで会場に近い矢原駅に到着。周りは田んぼに囲まれたプラットホームしかない無人駅、車内の校長から「ええ~?」と驚きの声。会場はさらに徒歩15分ほどの場所。地図を広げて会場の確認をしようとしましたが、そんな心配は無用でした。黒いスーツのおじさん集団の列がずっとつながっていて、前の人についていくと、会場となっているスポーツセンターや陸上競技場などの施設が建ち並ぶ維新公園に到着したのです。馴染みの校長が何人かいて、暫し旧交を温めました。
 開催地である山口県は、時代ごとに伝統文化の華を咲かせたことから「西の京」と言われており、「進取気鋭の志」をもって明治維新という新しい時代を切り拓いた「維新のふるさと」でもあります。日本を取り巻く諸外国の事情に通じ、物事を鋭敏に観察し、新たな社会を創造していくなどの先人の気質は、よき風土として継承され、現在も山口県教育の振興に脈づいているのです。




2020年10月13日火曜日

花だより 手とり足とりの指導 サルビア ジャガイモ

 


 手とり足とりの指導
 昔の職人さんは、弟子入りをして、「見て覚えろ!技を盗め!」と言われたものです。学校では集団の中での学習効果を期待されます。それはそれで効果はありますが、技術(スキル)を身に付ける最も効果的な方法は、個人レッスンです。現在活躍している野球選手やゴルファー、テニス、卓球の選手などのスポーツ選手は、3~4歳のころから、親の手取り足取りの徹底した個人指導によって超一流になりました。
 書道の指導では、運筆、筆の入り、止め、はらいなど、口で説明してもなかなかその通りには書けないものです。力の入れ方、筆を運ぶスピードは、手を取って一緒に書くことで感覚的に身に付くものです。しかし、授業中に全員にそれをするのは無理です。
 北小では、授業改善推進チーム事業、指導工夫改善加配、退職教員活用事業時間講師、北見市学力向上支援講師などを活用して、1つのクラスに複数の先生が入って指導しています。また、つまずきに応じて少人数に分けて指導したり、通級による“個別指導”もしています。10年ほど前までは、クラスを分けて指導するのは、「差別教育だ!」という人がいましたが、今ではそのようなことをいう人はいません。分からないことをそのままにしておく方が問題です。その子に合った指導方法で、全員に確かな学力を身に付けさせることが大切です。




2020年10月12日月曜日

花だより ロボットの時代 ショウメイギク

 


 ロボットの時代
 私の子どもの頃見た「鉄腕アトム」というマンガは、ロボットが人間に変わっていろいろなことをやってくれる時代の話でした。ちなみにノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏は、子どもの頃、アトムをつくった“お茶の水博士”のような科学者になろうと夢見たそうです。
 家の掃除は“ルンバ”がやってくれます。自動車は、電気自動車に代わり、自動運転車(ドライバーがハンドルやアクセル、ブレーキを操作しなくても走行する)の実用化が目の前に迫っています。鉄腕アトムのような時代が来ることなんか、夢のまた夢と思っていましたが、工場には人がいなくなり、産業用ロボットが作業しています。そして、人型ロボットも登場する時代になりました。今や「アトムの時代」が現実のものになりつつあります。
 もうスピードの技術革新と社会の変化により、今の小学校1年生が大人になる15~20年後は、今はない新しい職業に就く割合が70~80%ではないか?と言われています。どんな職業が残るかと言えば、科学者とか裁判官、弁護士、医者、小説家、スポーツ選手、歌手、俳優などです。
🤷‍♂️「大きくなったら何になりたい?」と聞くと、最近は、「ユーチューバー!」と答える子が多いそうです。ウイズコロナで、時代の変化はさらに加速しそうです。


2020年10月11日日曜日

花だより 型にはめる ダリア 松茸

 


 《「型」にはめる》
 剣道の昇段試験は、基本の打ち込み、実戦形式の試験の他、剣道型という試験があります。華道や茶道、日本舞踊などにも流派があって、それぞれ型があります。まずは、その型を習得しなければなりません。
 個性が尊重されて、みんな違ってそれでいいわけではありません。教育も同じで、教育の最終目標は自立させることです。将来の自立に向けて、1年生から身に付けておきたいことは、「礼儀作法」、「時間厳守」、「整理整頓」の3つです。
 今の子どもは礼儀を知らないと言われますが、そうではなく、「型」を教わっていないのです。思いを伝える型を知っていれば安心して生活できます。友だちや目上の人にもかわいがってもらえます。
 「時間の大切さ」も大変重要です。社会は時間に沿って行動します。時間は貧富の差に関係なく、だれにでも平等に与えられています。相手の時間を尊重し、自分の時間も大切に使わなくてはなりません。時間を有効に使い、気持ちよく生活するために必要となるのが、3つめの「整理整頓」です。整理整頓は、頭の中や身の回りを整え、次の行動をすばやく起こすための時間管理です。
 この3つは理屈ではなく「型」として子どもたちに教え込むことが重要です。型を知り、型にはまってこそ、社会の中で自由に生活できるのです。それを自立といいます。






2020年10月10日土曜日

花だより 全国連合小学校長会研究協議会埼玉(大宮市)大会 ハマギク

 


 全国連合小学校長会研究協議会埼玉(大宮市)大会
      全国の小学校長2,900人集まる(平成28年9月)
 豊かな自然、産業、文化に恵まれた「彩の国さいまた」首都東京に隣接し、大きな発展を遂げてきた、若い世代の多い活力ある埼玉県
  ◇人口~715万人(オホーツク32万人) ◇面積~3,797k㎡(オホーツク10,690k㎡) 
      野球~西武球場(西武ライオンズ)vs札幌ドーム(日本ハムファイターズ)  
      サッカー~埼玉スタジアム(浦和レッズ):大宮公園サッカー場(大宮アルディージャ)
      厚別競技場・札幌ドーム(コンサドーレ札幌) 
 全国連合小学校長会長の挨拶の要旨 
  2020年東京オリンピックを契機に日本の教育は大きく変わる! 
 国の教育改革の動向に目を転じると、様々な議論を経て、教育委員会制度の新たな姿が示され、小中一貫教育、小学校英語教育、道徳の教科化など、日本の新たな教育の形を支える制度が整いました。さらに教員免許や養成制度の見直しなど、政府の教育再生実行会議の議論を基にした学制改革の動きも活発化し、年内のまとめを目指してその動きを早めています。こうした状況の中、校長に求められているのは、その動向について強い関心をもち、正しく理解するために自ら情報収集に取り組むことと具体的な内容について正しい理解に努めることです。そのためには、校長は情報の収集力、分析力を磨き、これからの学校教育で求められることを明確に理解する必要があります。変化の時代だからこそ、教職員に対して、今後の動向を正しく伝え、先の見通しをもたせ、一体となって改革に取り組めるようにすることが重要です。
🤷‍♂️このときは、東京オリンピックで日本の教育は大きく変わると言っていましたが、まさかコロナでさらに大きく変わるとは?
 全国の校長と交流することで、北海道(オホーツク)の特殊性が浮き彫りに
 例えば新体力テストの全学年・全種目の実施は他都府県では当たり前。また、学力向上にも精力的に取り組んでいる。長期休業中の補習、教員の研修など、勤務対応にも違いがあります。
○それぞれの地域には、その風土に根ざした教育があります。他の都府県の様子を知り交流を図ることで改めて北海道を見つめ、北海道らしさとは何だろうかと考えさせられる機会となりました。
○校長として今日的な課題に全力で取り組むことはもちろん大切ですが、そのことで視野が狭くなっていることはないだろうか。より大きな視点、例えば社会の中で教育が持つ役割や人が人として豊かな人生を送ることと教育の関わりなど幅広いものの見方をしなければ気付かぬうちに方向がずれてしまうこともあります。
 北海道の当たり前は他府県での当たり前ではなく、学校の当たり前も世間の当たり前でないことも多い。また今の当たり前が将来はそうでないかもしれない。そんなことを考えさせられた研究大会でした。
😃~♪白い光りの中に 山なみは萌えて 遙かな空の果てまでも 君は飛び立つ …♪~
閉会式では、埼玉県秩父市立影森中学校の教員によって作られた今や卒業式の定番になった合唱曲「旅立ちの日に」を参加者全員で大合唱しました。


2020年10月9日金曜日

花だより 新しい時代の良妻賢母 ショウカイドウ おもちゃカボチャ

 


 🤦‍♀️町の福祉担当者が言うには、母親は、子どもがある程度大きくなるまでは、家に居てもらいたいと思うのだが、人口が減少して働き手がいない現状では、小さい子のいる母親にも働いてもらわなければならない。そうなると行政としては、こども園や児童センターを充実が必要。町長の公約にもあるし…。そこで働く先生や支援員を確保しなければならない。
「良妻賢母」 板東眞理子(昭和女子大学学長)「母の品格」の著者
 良妻賢母というと古色蒼然たる時代遅れのイメージがある。
慎ましやかに夫を立て、料理、裁縫、掃除をぬかりなく相勤める賢女は、儒教では期待される女性像だが、人間的魅力に乏しく人生を建前だけで生きているのではないかと現代の女性から人気がない。
 言うまでもなく良妻賢母は立派な女性である。妻として夫を助け、賢い母として子どもを教育するのは、素晴らしいことである。
しかし、現代の女性は妻であり、母であるだけでなく、職業人であり、社会人であり、また、趣味人であり、友人であり、というようにいろいろな顔を持つ。
 それなのにたった二つだけの役割に活動を押し込めてしまうのは不自然である。だから、「良妻賢母を目指しなさい」と言われると女性は反感を抱いてしまう。私は戦前における女性教育は良妻賢母でよかったけれど、現代はそれに加えいろいろな役割を果たす専門的知識やスキルも身に付けなければいけないと言っている。また、現代の良妻賢母に必要とされるものは、裁縫、調理、掃除などの家事能力だけでなく、家計を管理し、子どもを教育し、そして何より良きパートナーとして夫を理解し支える能力が必要である。将来が見えない社会でどういう子どもを育てるか、洞察力と子どもが社会人として職業人として生きていく力を与える人間性が求められる。
               



2020年10月8日木曜日

花だより 中央教育審議会 コロナで急展開 サラシナショウマ 胡桃

 


  中央教育審議会 コロナで急展開
 文科省中央教育審議会は、新型コロナウイルス感染症対策に迫られることになった。そこで「新型コロナウイルス感染症を踏まえた、初等中等教育におけるこれからの学びの在り方について~遠隔・オンライン教育を含むICT活用を中心とした~」急遽取りまとめた。
《初等中等教育の本質的な役割》 
◎役 割
・家庭の経済的な状況や地域等に関わりなく、学習機会を保障する。
・全人的な発達・成長を保障する。
・学校は、身体的、精神的な健康を保障する安全安心な居場所である。
◎日本型学校教育の特徴
・教師が学習指導のみならず生徒指導等の面でも主要な役割を担い、児童生徒の状況を総合的に把握し、知・徳・体を一体的に育てる。
・学校や地域社会で様々な集団活動を行い、多様な他者と関わり、対話することで通じて人を育てる。
◎AI技術が高度に発達するSociety5.0時代
・教師による対面指導や児童生徒同士による学び合い、地域社会での多様な学習経験が重要。
・教師は、ICTを活用しながら、児童生徒の対話的、協働的な学びを実現し、多様な他者と共に問題の発見や解決に挑む資質・能力を育成する。
👀*オンライン授業がどんなに普及したとしても、学校が不必要ということにならない。
《今後の初等中等教育の在り方について》
◎感染症対策を講じつつ、協働的な学び合い、健やかな学びの保障に取り組む。
◎非常時の対応として、遠隔・オンライン教育やICT等を活用した家庭学習、地域社会の専門機関等と連携など。あらゆる手段を引き続き講じる。
◎新型コロナウイルス感染症が収束した後
・初等中等教育の本質的な役割を踏まえつつ、遠隔・オンライン教育等を積極的に取り入れていく。
・多様な子どもたちをだれ一人取り残すことのないように、個別最適化された学びと社会とつながる協働的・探究的な学びを実現していく。
◎遠隔・オンライン教育等の成果と課題
・様々な学習支援コンテンツを利用することで多様な学習ができる。
・教師と児童生徒がICTを活用しつながることで心身の健康状態や学習状況の把握が可能になる。
・学校再開後の学習活動が円滑に進められる。
・発達段階や習熟度の違い、障害の状態等により自発的な学習が困難な場合がある。
・家庭環境により学習の状況・成果に差が生じる。
《必要な取組》
 ポストコロナにおける新たな学びの実現のための取り組みとして、ICTの活用や対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリット化による指導が示された。
《基本的な方針》
・教師がICTを活用しながら、児童生徒に対話的、協働的な学びを実現することが必要である。
・ICTを活用しつつ、教師が対面指導と家庭や地域社会と連携した遠隔・オンライン教育とを使いこなす(ハイブリット化する)ことで協働的な学びを展開する。
・その際、義務教育と高等学校における教育の違いにも留意する必要がある。
・履修主義と修得主義等の考え方を適切に組む合わせることで、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのないよう、個別最適化された学びと、社会とつながる協働的・探究的な学びを実現する。
《取組事項》
①学習履歴(スタディ・ログ)を活用した個別最適化された学び
②教師の対面指導と遠隔授業等を融合した授業づくり
③高等学校における遠隔授業の要件の見直し
④デジタル教科書・教材の普及促進と使用基準や教材との連携の在り方の検討
⑤児童生徒の特性の応じた細やかな対応
⑥個々の才能を存分に伸ばせる高度な学びの機会など新たな学びへの対応
《新しい時代の学びを支える環境整備》
●基本的な方針
「GIGAスクール構想」の実現を前提とした新しい時代の学びを支える学校教育の環境整備を図る。
●取組事項
①新しい時代の学びを支える教室環境の整備
・情報端末・教科書・ノートの等の教材・教具を常時活用できる教室用机、「1人1台の端末」や遠隔・オンライン教育に適合した教室環境
②新しい時代の教室環境に応じた指導体制
・少人数編成、教科担任制
 国としての明確な方針がこれまでになく迅速に示された。今後は、文科省、教育委員会、学校と関係企業や団体等が、これらの実現に向かって具体策を講じることが求められる。
《コロナ禍で何が変わったのか、変わるのか》
🤷‍♂️文科省の今後に向けた方針は、決して目新しいものではない。すでに、どこかで誰かがその必要性を訴えていたものばかりである。





2020年10月7日水曜日

花だより 保護者対応は慎重に 失敗事例に学ぶ コスモス ドングリ

 

 ~失敗から学ぶ~ 保護者対応は慎重に
🤷‍♂️最近の校長の業務で一番気を遣うのは、「保護者対応」ではないだろうか。日頃から保護者との相互理解を深め、クライシス・マネジメントの発動に陥らないように努力すべきことは言うまでもない。先輩校長から「校長の仕事は教職員が安心して勤務できる防波堤になること」と言われた。しかし、実態を正確に把握しないまま中途半端な対応をすると、かえって問題をこじらせることになる。
 【失敗事例】
🤦‍♂️教頭から、Aさんの息子が体育の時間にケガをした際に、担任の対応が不適切ではなかったか、という報告があった。さらに普段からクレームが多い保護者だという旨の報告を受けた。跳び箱の学習で、着地の際にねん挫したのだが、教員が適切な処置を怠った、というのである。
 担任に確認したところ、軽いねん挫のようであったため、保健室に行くように指示したということであった。ベテランの教員であったため、「保護者に会って話す」と対応を引き受け「教員に事実確認したが、対応には問題がないように思われる。」と伝えた。
 しかし、Aさんは納得せず、息子と同級生から聞き取りをして、実際は放置に近い対応であり、友人が保健室に同行したことが明らかになった。
 Aさんの態度はそれを機に一変し、連日ように苦情の面会や電話が来た。感情的に激高され、約半年間に及んだ。
👀その間に、さまざまな状況を調べると、Aさんは学級担任の平素からの指導に強い不満を持っており、そのことを担任に相談したが納得できる対応がなされず、そのうえ、管理職の対応も不誠実だと怒りを募らせたようであった。状況を十分に理解せずに、安易に教員からの伝聞をAさんに伝えたのが災いしたのである。
 さまざまな情報を収集し、状況をよく把握したうえで、校長自ら保護者に誠実に対応することが肝要であると反省した。Aさんの件で、間に入ってとりなしてくれたのは他の保護者であったことも、私に大切なことを再認識させてくれた。





2020年10月5日月曜日

花だより 無理なものは無理と自覚 イタドリ

 


「すべての子どもとよい関係をつくろう」という幻想
     公立高等学校教諭(臨床心理士) 寺島 達也
 すべての学校、教師にとって、子どもの成長と発達が基本的な教育目標のはずです。けれども教師によって、その対応に差が生じてしまいます。
 子どもへの関心と心配を重視する教師もいます。また、子どもの不安を誘発し、敵意を抱かせてしまう教師もいれば、そうでない教師もいます。ある教師には常に反抗的で、感情を逆なでるような態度をとる子どもが、他の教師には協力的であったり従順であったりすることもしばしばあります。
 このように、教師と子どもとの関係は固定化されたものではなく、状況に応じてしばしば変化します。
 無理なものは無理と自覚
 そもそも「教師は、すべての子どもとよい関係を持たなくてはならない」といった発想自体が、幻想ではないでしょうか。
 もちろん、教師が特定の子どもに対して一方的に反感や嫌悪感を持つことは好ましいとは言えません。けれども教師も人間である以上、どうしても馬が合わない、うまくつきあっていけない子どもがいても当然です。問題は、それを教師が自覚しているかどうかです。
 学校にはさまざまなタイプの教師と子どもがいます。「たとえ自分がうまくつきあえない子どもがいたとしても、ほかの教師がその分をフォローしてくれればそれでよい。」くらいの気持ちでいれば、感情的な衝突のかなりの部分は防げます。ところがなんとか二者間で解決を図ろうとして無理をすると事態はややこしくなります。(牧野要約)
🤷‍♂️教師の働き方改革は、教師の高等テクニックに頼るのではなく、組織で対応することが求められています。無理なものは無理と自覚するのも大切なことです。


2020年10月4日日曜日

花だより 生き残るウサギになろう アシタバ

        


 敏感で傷つきやすい子(HSC)」について
            弘前医療福祉大学教授 小玉 有子
🤷‍♂️昨今は「鈍感力」が多くの人にとって強みになっています。しかし、「鈍感力」を磨きたくても自分の特性から逃れられず、どんどん自己肯定感が低下してしまう子がたくさんいます。~敏感にいろいろな情報をキャッチしてしまうために、些細なことにもビクビクして日々を過ごしている子がいます。教室ではいつも誰かに見られているようで緊張しているとか、グループ作業すると細かいことが気になって集中できないとか、さまざまな困難さに直面しています。さらに、「気にしすぎだよ」「大げさだよね」「面倒くさい人」等、友だちや教師からのネガティブな表現に、傷ついているのです。世の中には、繊細な敏感な感受性の高い人は、5人に1人くらいの割合で存在していると言われています。また、自閉傾向がある人たちにも感覚過敏がみられます。最近ではエンパス体質(自分のことのように、相手の気持ちが理解できる)という言葉もよく聞かれるようになりました。
 HSPとHSC 
 HSP(person)は、日本では「とても繊細な人」「敏感すぎる人」「ひといちばい敏感な人」等と訳されていて、子どもの場合はHSC(child)と呼ばれています。遺伝的な特性としての敏感さを持つと言うことで、これは生まれつき持つものであり、正常な特性です。病気ではありません。人口の15~20%の人にみられます。生物学的には、この特性は人間だけでなく、昆虫から霊長類に及び100以上の種にもみられるということがわかっています。そして、どの種についても、刺激に対して「より敏感に反応するもの」の比率はだいたい同じで、全体の15~20%だと言われています。
 HSP・HSCを障害とはっきり分けて考えていますが、自閉特性と区別するのが難しいケースや両方の特性を重視して持っている場合も考えられるので、十分な観察が必要です。4つの特性「DOES」D:深く考える O:過剰に刺激を受けやすい E:共感力が高い S:些細な刺激を察知する自閉傾向に見られる感覚過敏・触覚過敏 ・聴覚過敏 ・視覚過敏 ・臭覚過敏 ・味覚過敏 ・食感過敏HSP,HSCと区別するためには、👀発達障害の特性も十分理解しておいた方がいいでしょう。
 鈍感力と敏感力
 渡辺淳一氏が『鈍感力』というエッセイを書いて以来、「鈍感力」という言葉はすっかり市民権を得ました。「鈍感力」とは、些細なことを気にせずに、ポジティブに物事を考える力のことを指します。他人の視線や世間での自分の評判などをいちいち気にしすぎるのではなく、自分に自信をもって堂々と過ごすための能力です。昨今は「鈍感力」が多くの人にとって強みになっています。しかし、「鈍感力」を磨きたくても、自分の特性から逃れられず、どんどん自己肯定感が低下してしまう子もたくさんいるのです。「敏感(繊細)は、文化によって異なった評価を受ける。敏感であることに価値を置かない文化では、HSPは低い自尊心を持つ傾向にある」と言われています。しかし、👌例えば、ライオンに狙われているウサギを想像してみてください。ライオンの視線や気配、足音等に敏感に気づくことができる個体こそ、生き残る可能性が高いのです。
 生き残るウサギになろう
 HSCの子に「あなたの脳は、他の人より敏感で、いろいろな情報をキャッチしすぎるのかもしれない。でも、あなたの敏感力はあなたの強みでもある。気になる視線が安全かどうかを判断できるのもあなた自身です。」と話しました。同級生の視線を感じたら、顔をあげてその視線の元を確認し、○か×か、判断してみることを提案しました。🤩「もし、あなたがHSCなら、あなたは生き残るウサギになれるよ」 
 その子は、はじめて笑顔を見せました。子どもたちが「敏感力」を強みにするために、そして自己肯定感を育むために、われわれ大人はどのように支援できるのでしょうか。どのような言葉かけをすべきなのか、👀教師も保護者も、今一度立ち止まって、考えてみる必要がありそうです。(牧野要約)

2020年10月3日土曜日

花だより 高倉 健主演『あなたへ』 吾亦紅 林檎

 


  高倉 健主演『あなたへ』  
 亡くなった妻から届いた絵手紙。そこには今まで知らされることのなかった、"故郷の海へ散骨して欲しい"という妻の想いが記されていました。妻の真意を知るために旅を始める主人公。一期一会1200キロの旅の中に、夫婦の愛と様々な人々の人生を丁寧に綴った感動の物語。高倉 健205本目の出演映画です。
「大人の映画をつくりたい」
 NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」に高倉健が出演、はじめてインタビューを受けるなど、素顔の高倉健がテレビ画面に登場したことで、この映画を2倍楽しむことができました。 
「私ほど、囚人服を多く着た俳優はいない。」と自分で言うほど「網走番外地」シリーズが大ヒット。若い人は知らないでしょうが、やくざものに多く出演している日本映画界の大スター“高倉 健”ですが、私たちが想像する映画スターの私生活とは全くかけ離れています。博打、賭け事は一切しない。麻雀も知らなければ、銀座に飲みに行ったことは一度もないといいます。また、私生活を見せないことで有名ですが、生き方が芝居に出る。ふだんどんな生活をしているか、どんな人と付き合っているか、何に感動し、何に感謝をするか、そうした役者個人の生き方が芝居に出るというのが持論で派手なイメージの映画俳優とは全く異なります。
 “81歳にして、最高の心と体を保つ” 数年に一度しか映画に出演しない、日常のほとんどは人目に触れない。しかし、どんなときであろうと映画に出演できるように体調管理を徹底している。そして、体調管理以上に心を砕くのが、気持ちを常に繊細で感じやすい状態に置いておく、映画、小説、音楽のお気に入りはもちろん、美術品に触れ、海外に出て心をさらす。自分の感性に磨きをかける。
 私生活を見せない高倉が、なぜテレビに出演したのか?「若い人やこれから映画に携わっていく人に、私の経験が少しでも役に立てばと思ったからですよ。私もあと何本の映画に出られるか分かりません。そんな歳になったということですかね。」と語りました。
 私も65歳になり、高齢者の仲間入りです。何を残せるのか?健さんのようにかっこよくはいきません。



2020年10月2日金曜日

花だより 何故 秋休みはできたのか? キンモクセイ

 


 今年はコロナ禍で「秋休み」をなくした学校が多いようです。 
 何故 秋休みはできたのか?
 秋休みは、正式には「学期間休業日」といいます。(夏休みは「夏季休業日」、冬休みは「冬季休業日」、春休みは「学年末・学年始休業日」といいます。)お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんの時代からずっと、夏休み、冬休み、春休みで学期を区切る3学期制でした。終業式で通知表もらって休みに入るのが当たり前のようになっていました。
それが学校週5日制(平成14年)になって授業日数が減ったことから、3学期の授業時数が極端に短くなり評価しづらい。夏休み前、冬休み前の評価事務の時期に行事が組めない。教科書は10月を目途に上・下巻に分かれている。児童会の役員も前期・後期で交代します。(大学、会社などもそうです。)などの理由で、2期制に移行することで教育課程(学校の教育計画)を抜本的に見直し、授業時数を確保し、ゆとりある教育を行うことを目的に全国に広まり、北小学校(北見市)は、2006年(平成18年)から現在の2期制を導入しました。
 秋休みの期間と休みの目的は何ですか?
 「夏季休業日」と「冬季休業日」を「長期休業日」といい、夏冬合わせて年間50日以内と決まっています。北海道では多くの学校で半分の25日ずつを夏・冬に分けていますが、東京あたりは、夏休みが40日で冬休みは10日となっています。
 秋休み(学期間休業日)ができたことで、夏休み、冬休みをそれぞれ1日削って、9月の最終か10月の最初の土日に付けて4日間の秋休みを設ける学校が多くなりました。
 2期制に移行するとき、旅行会社や大型スーパーから、「学校の秋休みは、いつから何日間とるのか?」という問い合わせがありました。学校の休みが商売になるのです。また、これに合わせて野球やサッカーなどの大会を開催するという動きもありましたが、それぞれの学校で休みを取る時期や期間が異なったため、そのもくろみは不意になりました。また、児童館の対応も変わるなど、さまざまなところに影響が出ました。
 そもそも秋休みは「学期間休業日」ですので、長期休業日と違って休みに何かするというものではありません。区切りをつける。前期を振り返り、後期の新たな目標を持つ。一度気持ちをリセットするものです。
 現在では、オホーツク管内ほとんどの学校が2期制になりました。当初は、9月や10月の連休に合わせて5日間を秋休みにした学校もありましたが、学校の休みは、家庭などに大きな影響を与えることから、現在では9月30日までを前期、10月1日から後期とし、秋休みを設けない、または土日だけとしている学校が増えています。秋休みは、一度リセットし、新たな気持ちで新しい目標を持って再スタートするためのものです。通知表を見ながら、よく反省してください。
👀おじいちゃん、おばあちゃんからは、「通知表を持って、お盆やお正月にやってくるのを楽しみにしていたのにねえ~。」と言われます。できれば、おじいちゃん、おばあちゃんにも前期の様子を知らせてあげてください。


2020年10月1日木曜日

花だより 特別支援教育の難しさ マツムシソウ

 


 ▼△▼特別支援教育の難しさ▼△▼
《嫌悪感と増悪感》 発達に偏りのある子どもは様々な問題行動を起こします。そこで決まってわき起こるのがその子どもへの嫌悪感・増悪感です。発達に偏りがあるのが分かっていても、この感情が抑えきれなくなります。多くの教員はこの感情を心の奥底に押しやろうと努力します。そして、次にわき起こるのが、「学校ではここまでやっているのに、親は何をしているのだ」という保護者への嫌悪感や増悪感です。ところがこの感情も仕舞い込んでいると、次に来るのが自分自身への嫌悪感・増悪感です。教員としての能力に疑問を感じ苦悩するのです。このストレスに耐えられなくなると、子ども自身が困っていることや保護者も苦しんでいることを察することができなくなり、子どもへの暴言や家庭への責任転嫁に行き着くこともあるのです。
《保護者も陥る嫌悪感と増悪感》 これは保護者も同じです。「いくら勉強を教えてもできない、授業中立ち歩いている。」こう担任から指摘を受けると、子どもへの嫌悪感・増悪感がわき起こってきます。「私ががんばらなくては!」と耐え続けても、子どもはよくなるとは限りません。こうしたストレスが溜まると、子どもへの虐待や学校への執拗な抗議になるのです。
《心の奥底に秘められた教育観》 教員や保護者がこのような嫌悪感や増悪感を抱いてしまう理由は、私たちの持つ独特な教育観にあります。ひとつは「頑張れば皆同じようにできる」という努力主義、もう一つは「能力は皆同じように備わっている」という能力平等主義です。私たちの多くは、これらを支えに頑張ってきました。「練習は裏切らない」とハッパをかけられ、私たちは純粋にそれを信じ頑張ってきたと思います。
 この二つの教育観がまるで呪縛のように心の奥底から私たちの思考回路をコントロールしているような気がしてなりません。特別支援教育では、本人の努力だけでは克服できないことや、年齢が同じでも皆違うことを分かっています。むしろ学校という環境に不都合がある場合は、その環境そのものが障害であるという考え方をしなくてはならなくなりました。努力主義や能力平等主義を信じてしまうと、目の前の子どもが見えなくなり、学校と保護者の関係がうまくいかなるのです。
《大きな意識改革》 勉強が苦手な子ども、人間関係が難しい子どもが皆と生活できるようになる標準化されたプログラムを残念ながら学校も行政も持ち合わせていません。また、いくら研修を積んでも、結局自信(教員や保護者)の心が追いついていない。という大きな二つの課題を抱えているのです。
 できない子がいると、その理由について科学的根拠をもった説明と指導の成果を出さなければならない時がきています。確かに難しい課題です。(特定非営利活動法人CEセンター理事 野田弘一氏)
《学校はどう変わるべきか?》 現在、通常学級をはじめとして、特別支援のニーズがある子どもたちは、学校・幼稚園・保育所・家庭などに点在しています。また、診断から支援につながっているケースばかりでなく、保護者の支援に対する理解が得られない、支援者同士(関係者)の連携がうまくとれないなど、多くの困難事例があり、その対応に多くの学校が苦慮しています。
 平成24年度の文科省の調査によると、小中学校の通常学級における発達障害の疑いのある児童生徒は、全体で約6.5%、小学校1年で約9.8%と報告されています。特別な支援を必要とする児童生徒の数は、増加傾向にあります。このような状況になると、「診断のある子どもを支援する」という考え方では追いつかず、子どもに関する誰もが、困っている子どものために、自分のできる小さなことから、学校全体で特別支援教育に取り組んでいくという発想の転換が求められています。
《対象児だけでない》 特別支援教育は、対象児だけでなく、子どもに関わるすべての人が基礎的な支援方法を理解しなければ、本当の意味での支援は難しいのです。例えば、対象児がコミュニケーションスキルを学んだとしても、学級の子どもが、言葉の勘違いをからかい、仲間はずれにしていては、特別支援教育はできません。また、近年では、地域から家族が孤立しているケース、教員と保護者が対立し、問題行動が悪化するケース、さらに教員が孤立し、退職してしまうケースなども少なくありません。そこで学校も対象児だけでなく、学級の子ども、保護者、地域など、周囲の人々への理解・啓発に積極的に取り組む必要があります。学級担任に任せきりにせず、学校全体で取り組む努力が必要です。(明星大学 教授 星山麻木氏)
 特別支援教育の研修会に参加して、いつも思うことは理念は素晴らしい。しかし、現場は厳しい。