~吉田沙保里選手から学ぶ 悔し涙が次の努力につながる~
女子レスリング界最強と言われた吉田沙保里選手、アテネ、北京大会に続き、ロンドンでも圧倒的な強さで金メダルを獲得しました。まさに盤石の姿勢で3個目の金メダルを手にしたように見えます。しかし、実際はそうではなかったのです。女王はかつてないほどに追いつめられていたといいます。試合後、感極まり人目をはばからず号泣したそうです。
「プレッシャーは今までで一番きつかった。試合前に眠れなくなることなんて初めてだった。正直、このオリンピックは厳しい。自分の進退問題も考えないといけないと思っていた。」というのです。それほど吉田選手は4年ぶりに喫した5月のワールドカップでの敗北が尾を引き、「トンネルを抜け切らない状態」だったといいます。
負けを知ることで、いろんなことを勉強させてもらった。
攻め続けていたこれまでとは違った「賢いレスリング」をした。4年ぶりの敗戦は、吉田選手のレスリングを狂わせていた。しかし、一方では「今まで研究をするということが少なかった。」という吉田選手は、頭で考えるレスリングを学んだのです。
「負けを知って、いろんなことを勉強させてもらって気付かされました。勉強したことや良いことはどんどん自分に取り入れていって、負けることがあったら勉強して、それを繰り返して人は賢くなっていくと思う。明日からまたトレーニングしたい。」と語ったそうです。
勝ち続けてきた女王だからこそ知ることができた敗戦の重み、そこから得る進化への糧。吉田選手に限らず、オリンピック選手は、人並み外れた才能の持ち主ばかりです。しかし、才能だけでは、メダルを取ることはできないのです。血のにじむ努力の積み重ねと多くの挫折を乗り越えてきたことを子どもたちには知ってほしいものです。
敗者とは、最後にゴールするランナーではない。最初から、出場を諦める人だ!
南アフリカの義足ランナー、オスカー・ピストリウス選手の母親の言葉です。“スポーツに限らず、何事にも精いっぱい努力する人であって欲しい!” オリンピックを観戦して改めて思いました。
惜しくも敗者となった選手からも、「これまで支えてくれた多くの人に感謝します。」というコメントが多かったように思います。家族はもちろんのこと、個人競技の選手もチームメイトやスタッフに対する感謝の言葉がありました。
日本は東日本大震災以後、人と人との「絆」とか「支え合う」ということが大事にされました。仲間はずれやいじめとは無縁の世界です。オリンピックから多くのことを学ぶことができます。何とか来年、東京でオリンピックを開催したいものです。
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