2021年5月15日土曜日

花だより 障がいのある子を持つ親の心 ベコニア

 

  障がいのある子を持つ親の心
「この子をだれも守ってくれない。親が守るしかないしょ!」
「校長先生、毎晩夢を見るんです。この子がある日突然、話し出す夢を見るんです。他の子と一緒に仲よく遊んでいる夢を見るんです。大きく立派に成長している姿を見るんです。でも、それは夢なんです。」
 特別支援の子の中には複雑で大変な家庭がある。障がいを受け入れ懸命に生きている親子もいれば、話して分かるような親ではない場合もあります。でも、私たちは、その子と親に寄り添っていかなければなりません。
 大学時代に特別支援学級で2週間の実習経験があります。重度の障がい児を受け入れている学級でした。実習の最終日に「ああ~、これで終わった。大変だったけど、いい勉強になった。」と実習生同士で話していると、指導教官が「君たちは、今日で終わりだけれど、親は一生この子たちと共に生きていくんだ。この子たちが、この教室にいるときだけが、ホッとする時間なんだ。君たちには、そんな親の気持ち、特に母親の気持ちは、分からないだろうなあ。」と話されたのです。この言葉は、今でも覚えています。指導教官が私たち教育実習生に一番伝えたいことだったのだと思います。
 子どもはどの子も敏感です。自分が担任の先生から好かれていないと思っていたら、そこに教育は成り立ちません。子どもは、好きな人や尊敬する人からしか学ぼうとしないからです。つまり、“信頼されている”“よさを認めてくれている”“自分を見ていてくれる”という心が通じていなければ教育は成立しないのです。親との関係も同じです。特別支援教育は特にそれが肝心です。私たち教師には、正しい認識とスキルアップ(適切な指導法を身に付ける)が臨まれていますが、根底にある「信頼関係づくり」をまず大切にしなければならないと改めて感じています。「信頼」は「共感」することから始まります。

 

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