2021年5月2日日曜日

花だより 忘れないで「言語活動の充実」 ナデシコ 土筆

 

 ちょっと前まで、学校の研修課題は、「言語活動の充実」でした。ところがコロナにより、GIGAスクール構想での一人一台の端末が整備されることになって、どの学校もそれを使いこなすための校内研修に切れ替えました。「言語活動の充実」とは真逆の方向へ行っているような気がします。
 全教科・領域等で体験を通じて「言葉の力」を育てる「言語活動の充実」は、「言葉の力を育てる活動の充実」と言い換えた方がわかりやすいかもしれません。これからの社会は、環境問題をはじめとしたさまざまな問題が山積みとなっています。そうした社会で大切なことは、論理的な思考や感性を働かせながら問題解決の方策を探り、自分の考えを自分の言葉で表現する能力だと言われています。PISAでも読解力を「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」と定義しています。自己実現や社会参加のための重要な道具として、言語を活用できる能力を獲得することが不可欠となるわけです。
「言語活動」というと一般的には「国語科での行うべきもの」と考えがちですが、低学年では、生活科こそ地域の人とのかかわりや自然観察などの体験を通して、「言葉の力」を伸ばす絶好の教科です。同じようなことが他の教科でも言えます。もちろん、「言葉の力」を育てる上で軸になるのは国語科です。しかし、「言葉の力」は単に言葉を学べば身に付くものではありません。国語科の学びが、「言葉を通して言葉の力を育成」であるのに対して、他教科・領域の学びは「体験を通した言葉の力の育成」であり、「言葉の力の育成」においては、その両方が重要です。「言語活動の充実」において全教科・領域等で取り組むことには、そうした意味があります。コロナ禍にあっても、このことは大切にしてもらいたいものです。



0 件のコメント:

コメントを投稿