明日は「母の日」です。
「子どもを伸ばすお母さんのふしぎな力」
慶応大学医学部小児科教室 渡辺 久子著より
赤ちゃんの心の研究者パブゼク博士は、親には「直接的な育児能力」(本能的に子どもを育てる力)があると言います。お母さんは赤ちゃんが幸せな気持ちで興味が湧くように、明るく優しいリズムや調子を選んであやしたりします。これは知識で教えられるものではなく、幼い頃に愛された体験を基盤に親になると自然に湧いてくるものです。直接的育児能力は、未開発国に豊かに見られ、高度に発達した文明社会の母親が高等教育により、頭でっかちになるとだめになるとも警告しています。
洗濯機がなかったころは、お母さんは、素手でせっせと家事と育児をこなしていたのを覚えています。子どもの病気も多く、真心と祈りだけがよりどころだったときは、おそらく直接的育児能力は豊かだったのでしょう。
日本は世界最低の乳児死亡率と最高の平均寿命を誇りながら、子どもたちはかつてなく苦しんでいます。いじめ、不登校、自殺。仲間と心ゆくまで遊びながら自然に鍛え合う、幸せな子どもの発達環境が破壊されているのです。
しかし、不思議なことに、どんなひどい心の傷を負い絶望している子でも、お母さんが真心をこめてわが子を理解するようになると、水を得た魚のように蘇るのを何度も見てきました。お母さんには、子どもの心を癒す不思議な力があるのです。
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