2023年7月23日日曜日

花だより なぜ「知床」を訪れるのか? ナデシコ ニッコウキスゲ

 

   
 風の音、木々のざわめき、小鳥のさえずり、自然は、生き生けるもののあふれんばかりの生命力である。勢いよく生い茂った深緑に包まれていると、身体まで緑に染まって、新たな力が体内に満ちてくるようだ。
 
人は、なぜ「知床」を訪れるのか?
 知床は、流氷が接岸する世界最南端の地である。流氷の下で生息するプランクトンは、豊かな動植物の源となっている。河川には、サケ・マスが遡上し、その恵みがヒグマやエゾシカ、キタキツネ、シマフクロウなどの野生動物、更には森林の木々にもたらされている。
 観光船事故で落ち込んだ観光客も回復傾向にある。
 いつか何かに追い立てられ、急かされてあわただしく時を過ごしているうちに、人はともするとゆとりを失い、気持ちをいらつかす。自分のことは棚に上げ、他の人に当たり散らすこともある。あるいは自分の殻に閉じこもって悶々と過ごすこともあるかもしれない。
 ときには自然の声に耳を傾け、身をゆだねてみたい。時間が静かに流れ始め、自分を振り返る余裕や物事に感動を持って受け止めるみずみずしい心がよみがえってくるはずである。それまでのとらわれにふと気づき、対処する道が見えてくることもある。人間は自然の中の一部なのである。こんな時代だから、知床が世界自然遺産になり、人々が多く訪れるのかもしれません。
 ただし、知床はただの観光地ではない。時には、恐ろしい牙をむくことを忘れてはならない。
収穫を迎えた訓子府の麦畑



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