「悪いのは相手」という考え方をしない。
小さい子は、「ぼく(わたし)は悪くないもん」とよく言います。自分の身をかばいたいという気持ちは小さい子どもほどあります。これは人間の本能です。こんなとき親が子どもに同調して「そう、あなたは悪くないわよ。」と迎合するようなことは言っていけません。そんなときは、こんなふうに言ってみてはどうでしょうか。
「本当に自分が悪くないかどうか、相手の気持ちになってもう一度よく考えてごらんなさい。あとでもう一度話を聞きます。」ここで大切なことは、子どもがどんな話をするかではなく、小さい頃から、立ち止まって考える時間を身に付けさせることです。
品格のあるお母さんは、そう簡単に子どもに迎合したりしないものです。簡単に迎合すると子どもは自分のやることは何でも正しいと思い、単純に悪いのは相手だと思ってしまうのです。
これは交渉のテクニックのように、相手にすべて責任を押しつけて、悪いのは相手と決めつけて交渉をはじめるやり方です。最後まで自分の落ち度を認めようとしない。こんなことを交渉テクニックだと思って続けていると、自己中心的な人間になってしまいます。そんな人がだんだん増えてきて世の中がギスギスしているような感じもします。
子どものケンカやトラブルは、よほどのことがない限り100%相手が悪いということはありえません。立ち止まって考える時間をもてばわかるはずです。当たり前のことですが、親が悪いのは、相手と決めつけるような考え方や話し方をしないことです。子どもには立ち止まって考える時間が持てるようにしつけていきましょう。「しつけ」とは仕向けることです。
多湖 輝著「母の品格」より
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