2023年9月19日火曜日

花だより 内閣改造と「良夫賢父」 ツユクサ ヒョウタン

 


 内閣改造が行われ、過去最多と並ぶ5人の女性閣僚起用など話題作りに腐心したが、副大臣、政務官の起用には女性は一人も入っていない。大臣5人では刷新感は感じない。そもそも自民党には、全体の12%の45人しか女性議員がいない。首相の「女性ならではの感性や、あるいは共感力を…、期待したい。」という発言に対し、「女性ならでは…。」という発言こそ古い男性が持つ差別発言ではないかと批判された。
「良妻賢母、良夫賢父」

   板東眞理子(昭和女子大学学長)「母の品格」より
 現代の良妻賢母に必要とされるものは、裁縫、調理、掃除などの家事能力だけでなく、家計を管理し、子どもを教育し、そして何より良きパートナーとして夫を理解し支える能力が必要である。将来が見えない社会でどういう子どもを育てるか、洞察力と子どもが社会人として職業人として生きていく力を与える人間性が求められる。
 一方儒教的な社会では男性に対しては良い夫であれとか、良い父親であれという特性は強調されなかった。むしろ忠義とか友人との信義(付き合い)が優先され、妻子の愛に引かれて進退を誤らないように、女性の色香に迷わないようにと教育された。家族に対する愛情のうちでは親に対する孝だけが推奨された。もともと儒教は国を治める官僚や組織の倫理が中心だからか、妻への貞節、信義は軽んじられ、子孫繁栄のために妾(めかけ)を持つことも正当化し、良妻は夫の浮気や妾に嫉妬しないことを期待された。儒教だけが悪いのではない。仏教も男女の愛や子どもへの愛は煩悩として退けた。こうした煩悩から解脱して悟りの境地に達するよう修行することが理想とされた。
 しかし、本来日本人は、万葉、平安時代の恋歌や物語に見るとおり、ものの哀れや男女の恋愛を尊重してきた。それを描くのが中国文学と異なる日本文学の特徴である。
 ところが、それが外来の儒教や仏教が重んじられるようになった。ここでもう一度日本男性に、本来のものの哀れを解し、妻や子への愛にあふれる生き方や価値観を取り戻してほしいと思う。 
                                   
  網走天都山の「花テント」
 

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