~平成12年度の作品~
【平成22年度 網走市立潮見小学校 学校便りから】
「21世紀を考える教育講演会」
講師 作家 小檜山 博 氏
小檜山 博氏は、1937年(昭和12)生まれ、北海道滝上町雄柏の炭焼小屋で生まれました。
両親は、会津から北海道滝上町の奥、中雄柏へ入植した貧しい農民です。この両親の歴史は作品「光る大雪」にくわしく書かれています。
柏中学校(全校生が10数人)へ入学した博少年は、規模の大きい学校で勉強したいと、2年生のとき滝上中学校へ転校します。「風少年」はこの時代のことを書いた小説です。
両親から、中学校を卒業したら家業(当時は農業)を手伝うよう強く言われました。勉強より家業が大事だと言います。 “ぼく”は学校から帰るとすぐ畑仕事にかかります。一週間に一日は学校を休んで手伝えとも言われます。勉強は怠け者がするものだと親たちは言うのです。
滝上中学校までは、片道14キロ、3時間も通学にかかりますが、 めげませんでした。でも冬になると積雪のため、片道5時間もかかるようになりました。さすが両親も見かねて仕方なく、冬の間だけ、滝上の親戚に下宿させます。“ぼく”はそこに居る間は労働から開放されます。「ゆっくり勉強できるなんて、何と幸せなんだろう」としみじみ思いました。
高校進学は無理でも、せめて受験だけでもと受けた結果、網走管内40校の受験生中、一番だったと新聞に載ります。それで兄たちの援助で就職率の高い高校に進学。1956(昭和31)年苫小牧工業高等学校電気科を卒業することができました。卒業前に北海道新聞社に入社が決まり、入社後は勤務のかたわら小説を書きます。「文学界」「新潮」「すばる」などの文芸誌に作品を次々に発表しました。
講演内容は、小檜山氏の少年時代を取りまく厳しい自然、労働、そして温かい教師との出会い、貧しい中にも真っすぐに、シャイで逞しく成長していく姿を淡々と話されました。
今の時代、勉強することに幸せを感じる子どもが果しているでしょうか。恵まれすぎた今の子供たちの環境を憂い、挫折を味わう大切さを訴えていました。
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