【平成18年度 北見市立若松小学校 学校便りから】
《心がホッとステーション》 ~流行語大賞~
「しんじられな~い」だと思っていた?(2年生の女の子)
今年の流行語大賞は、日本ハムファイターズのヒルマン監督のこの言葉だろうと思っていましたが、荒川静香さんの「イナバウアー」という強敵があることを忘れていました。
もう一つの大賞「品格」は、藤原正彦著「国家の品格」の爆発的な売れ行きとともに広まったものですが、恥ずかしながら大賞をとるまで知りませんでした。土曜日、書店に行って最初は立ち読みしていましたが、これはじっくり読む本と思い買ってきました。
~本の概要~ 「最も重要なことは論理では説明できない」「人を殺していけないのは『ダメだからダメ』ということに尽きる。論理ではない」「国民は永遠に成熟しない。放っておくと、民主主義すなわち主権在民が戦争を起こす。国を潰し、ことによったら地球まで潰してしまう。」
ベストセラーになった数学者、藤原正彦氏の「国家の品格」には、こんな痛快な言葉が全編を通して並ぶ。英語力にも精通した筆者だが、「英語よりも国語を」「重要なのは文学と芸術と数学」とも説く。
そのうえで「情緒(自然に対してとか、もののあわれといった感受性)」を重んじるように説き、「日本人の持っているこの美しい情緒や形が、戦争を阻止する有効な手だてともなる」と強調しています。 日本の文化論として説得力を持っているところから、100万部も売れたというのです。
昭和の戦争と敗戦、占領、その後の経済発展で日本は品格を落としてしまった。品格を蘇らせるのは容易ではない。国民の100万分の1が共感したというのなら、この1冊で蘇生も不可能とは思わない。また、思わずにはいられません。
「論理より情緒を」と日本人が備えていたはずの品格について説き「儲かれば何でもよい」というマネーゲーム全盛の世の中に一石を投じたものです。
新潮新書「国家の品格」 新潮社 680円
藤 原 正 彦(ふじわら まさひこ)氏
1943(昭和18)年生まれ。東京大学理学部数学科、同大学院修士課程修了。
コロラド大学助教授を経て、お茶の水女子大学理学部教授。作家新田次郎、藤原ていの次男
この本の中で「いじめ問題」に対して氏はこう述べています。
「卑怯」を教えよ いじめに対して何をなすべきか。カウンセラーを置く。などという対処療法より、武士道精神にのっとって「卑怯」を教えないといけない。「いじめが多いからカウンセラーを置きましょう」という単純な論理に比べ、「いじめが多いから卑怯を教えましょう」は論理的でないから、国民に受けません。しかし、いじめを本当に減らしたいなら、「大勢で一人をやっつけることは文句なし卑怯である」ということを叩き込まないといけない。たとえ、いじめている側の子どもたちが清く正しく美しくて、いじめられている側の性格がひんまがって大嘘つきだとしても、です。「そんな奴なら大勢で制裁してもいいじゃないか」というのは論理の話。「卑怯」というのはそういう論理を超越して、とにかく「ダメなものはダメ」だということです。この世の中には、論理に乗らないが大切なことがある。それを徹底的に叩き込むしかありません。いじめをするような卑怯ものは生きる価値すらない、ということをとことん叩き込むのです。
私は、「卑怯を憎む心」をきちんと育てないといけないと思っています。法律のどこを見たって「卑怯なことはいけない」なんて書いてありません。だからこそ重要なのです。ある国の子どもたちは「万引きをしないのは、それが法律違反だから」と言います。こういうのは最低の国家の最低の子どもたちです。誰も見ていなければ平気で万引きをする。大人になってから、法律で禁止されていないことなら何でもするようになる。時間外取引でこそこそ株を買い占めるような人間がどんどん生まれてくる。
一番論理的なはずの数学者が、“こみいった問題の解決を図ろうとしたら、論理ではなく、人間性に対する深い洞察力が必要になる。また、国家の品格を高めるには、日本の風土・歴史・伝統から生まれた武士道の精神を大切にすることである。”と言っています。
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