2016年12月21日水曜日

花だより ストック 風邪をひいたらミカンと桃の缶詰

~平成12年の作品~

【平成21年度 網走市立潮見小学校 学校便りから】
《心がホッとステーション》 ~風邪をひいたらミカンと桃の缶詰~
 日曜日、車の運転をしながらラジオを聞いていると“昭和の思い出”と題した特集がありました。投稿してくるのは、もちろん50代以上の方です。その中に心に残ったものがありました。
 ~私が小学校に入る前の風邪をひいたときの話です。父と母は、共働きで休むこともできず、兄と姉は学校に行き、一人寂しく家で寝ていなければなりませんでした。お昼になって、父がミカンと桃の缶詰を買って持ってきてくれました。三度の食事にも困る家計でしたので、それがどれだけ贅沢なものか幼いながらも分かりました。後になって分かったことですが、父は給料の前借りをして買ったものでした。それを会社から歩いて往復1時間をかけて持ってきてくれたのです。貧乏でしたが、仲の良い家族でした。それが私の昭和の思い出であり、自慢です。~
  これを紹介したアナウンサーは、声を詰まらせていました。
 民主党のマニフェストに子ども手当と高校の授業料無償化があります。これが実現することを大いに期待したいところです。しかし、家族の絆は、どう築いていったらいいのでしょうか?
 政権が変わり、政策が変わると、社会そのものが変化します。時代の流れに対応していかなければならないのでしょうが、失ってはいけないこともあります。肩を寄せ合い、助け合いながら生きてきた昭和世代が、古き良き時代のことをうるさがれても語らなければなりません。どの時代でもそれが年寄りの役目です。
 我が家もみかんと桃の缶詰は、病気になったときにしか食べられませんでした。私の父は高校2年のときに亡くなりました。「大学には奨学金と授業料免除の申請を出すから行かせて欲しい。」と母に言うと「あんたの授業料くらい母さんが働いて何とかするから、そんな恥ずかしいことするんじゃない。」と言ったのを覚えています。昭和一ケタ生まれの考えです。ラジオを聞きながら、そんなことまで思い出して心がギュッとステーションになりました。
 年末年始、家族揃っての団欒を大切にして下さい。

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