2018年12月23日日曜日

花だより ユズ たかが座席 されど座席


座席をどう決めたらいいか? ~「たかが座席、されど座席」~
 座席というのは、子どもたちにとって大問題です。特に、現在の子どもたちの世界は、人間関係がとても狭いので、既に友だち関係のある子が近くにいるかいないかは、毎日の生活には重要なことなのです。
 大人でも、何かの会合で見知らぬ人たちの中に知り合いを見つけたら、ほっとして近くに座るものです。それくらい近くによく知っている人や気の合う人がいれば、安心感を得ることができるのです。
 教師からすれば、学級の生徒は全員同じ存在ですが、生徒一人一人からすると、よく知っている人、あまり知らない人、気の合う人、合わない人など、全員を同じ人と見なしていないのですから、こだわるのは当然です。
 そのため担任は、座席の配置には確固とした方針を持っていないと無用なトラブルを生みますから「たかが座席」と侮れません。
◆くじ引きで決めるリスク
 学校現場で一番多いのが、このくじ引きです。しかし、くじ引きでは、いじめや私語のトラブルを防ぐことはできません。そこには意図的な配置をする余地がないからです。それでもこの方式が多いのは、席替えに不満があっても、くじ運が悪かったと諦め、担任への不満をそらすことができるからです。学級の状態を正確に把握し、くじ引きでも大丈夫という保証がなければとても危険な決め方です。
◆ジャンケンで決めるリスク
 次に多いのが、ジャンケンです。その席に座りたい希望を子どもからとり、複数ならばジャンケンで決める方式です。ところが、学習意欲の低い子や荒れた子は後方の座席か端を選びますから、その結果、落ち着かない子が集まります。結局、偶発性に頼るくじ引きやジャンケンでは落ち着いた学級をつくるのはとても難しいのです。子どもの希望を最初に取り入れているので、生徒の意見を尊重した決め方だと勘違いしてはいけません。
◆指導の方針と方法をつくる
① 目が悪い、聞こえにくいなど、配慮を要する生徒の座席を優先する。
② 男女で並ぶ
③ 年間10回くらいは席替えをするので、いろいろな子と接する。
④ みんなの前では言えない特別な事情のある子もいるので、座席は先生が決める。
⑤ 私語の多い子は、前列にして授業に集中しやすくする。
⑥ 私語の多い子同士は近くにしない。
⑦ 以上の方針は、懇談会や通信で保護者に説明し、協力してもらう。
 *なぜそうするかという理由を説明する。
 仲のいい子と一緒になりたいという生徒には、「教室ではどんなに離れていても、たった10メートルほどです。仲のいい子とは、休み時間に大いに語り合ってください。」④は「特別な事情かどうかは先生が判断します。それが担任の仕事です。⑤と⑥は「一番大切なことです。授業に集中できない子をさらに後ろにしたり、落ち着かない者同士を一緒にしていたのでは、担任は務まりません。」⑦は、座席に不満があって保護者から担任に言って変更してもらおうという安易な考えをなくすためです。だから保護者にも説明して協力してもらうのです。
◆生徒にゆだねる方式
 このような方針の原案を生徒が話し合ってつくる方式もあります。
 その場合の話し合いは、いきなり学級全員でやるのでは効率が悪いので、学級委員などを中心に5~6人で原案をつくり、最終的に担任が特別な事情のある子を考慮して決めます。この方式の利点は、担任でも気づかないことを子どもたちが知っていることがあり、それが座席の配置に反映させることです。そのため、かなり公平性のある子や正義感のある子がいないと、この方式は成り立たないことに注意してください。
            生徒指導コンサルタント 吉田  順(牧野要約)

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