2019年7月17日水曜日

花だより ハマオモト スカシユリ 学力危機 「検証 北海道の教育」


  学力危機 「検証 北海道の教育」
 全国学力テストで、北海道は3年連続で不振だったにもかかわらず、道内は危機意識が乏しいように感じられる。そこに一石を投じ、道内の子どもたちの学力向上につなげていきたい。というのが読売新聞北海道版で「検証・北海道の教育」の連絡企画を開始した理由であった。
 「うちの学校には、かけ算九九もできない生徒が入学してくるんですよ。」教育長経験者の一人は、在職中に道内の高校を回った際、先生方からそう言われたそうだ。小学校低学年の学力すら欠いた高校生にとって、それまでの学校生活とは一体何だったんだろう。北海道の教育界が背負うべき罪は大きい。と言ったらいい過ぎだろうか。(読売新聞北海道支社編集委員 笹森春樹)
「北海道」が書けぬ中1 「自分の住んでいる都道府県を漢字で書きなさい。」社会科の基礎として出題された問題だが、書けない子が多かったという。比較的難しい「潟」を使う「新潟県」では、1割程度書けなかったというが、「北」「海」「道」はいずれも2年生で習う漢字だ。
 さらに解答用紙が汚い。シャープペンシルの軸で破れていたり、間違って書いた解答をきちんと消していなかったりする。成績上位の県では、鉛筆で濃く、しっかりと書かれているという。中学校の教師は、「小学校で漢字を書く訓練がなされているのか。学ぶ姿勢を教えているのだろうか」と話す。
 それでは本道の中学校の成績(全国順位)は、小6(2009年)国A(46位)、国B((47位)、算A(47位)、算B(45位)に対して、中3国A(39位)、国B(43位)、算A(40位)、算B(41位)で小学校よりはよくなっている。
 学習塾の先生は、中3で塾に来る子の1割は、『1-5』ができない。マイナスの概念が理解されていない。そんな生徒に対しては、小学校低学年で学ぶ内容まで戻って学び直させる。北海道の児童生徒が最下層で低迷している大きな原因は、基礎的な計算や読み書きがおぼつかない子どもたちが多いことである。
 採用試験に小学校レベルの問題 基礎学力の低下は、確実に地域の活力をむしばんでいる。
「2500円のシャツを2割引きで売るといくらか?」道東のホテルが採用試験に出した問題だ。採用担当者は「白紙が多いので小学校レベルの問題を出した。それでもできない子もいた。」という。
 フロント係が客の住所の都道府県名さえ書けないとしたら、ホテルのイメージは大きく落ちる。
 最低限の学力がなければ仕事もできない。観光業は地盤沈下を招いてしまう。今後は国際化が進み、海外の人材と競争しなければならなくなる。基礎学力がなければ働く機会も得られない。学力不足は、地域の経済だけでなく、子どもたちの未来をも閉ざしかねない。


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