映画「男はつらいよ」の映画監督山田洋次氏は、今の家族と教育について、家族同士のコミュニケーションが欠落している。核家族化がはじまって30~40年が過ぎ、その中で育った子どもたちが親になって、本格的な家族の断絶が起きているのではないか。寅さんの映画を作っていた時代は、「そうなんだ、こんな風に人と人が愛し合い、仲良くなるための面倒な努力をしながら社会が成り立つんだな。」という思いで観客は満足してくれた。けれども、今の若者たちとその思いを共有できるのだろうか?と不安になる。何故か、日本人は毎日ゆとりなく過ごしていて、人と人が深く関わり合う時間がない。
これは、「北の国から」の倉本 聰氏の「家族愛」と共通しています。両方とも私たち日本人が忘れかけている「人情」とか「家族愛」がテーマになっています。
もうこんな映画はつくられないだろうと思っていたら、『ALWAYS~3丁目の夕日』に出合いました。昭和33年の古き良き日本の下町を舞台に家族の触れ合いを描いた心温まる人情ドラマで日本アカデミー賞を独占した作品で、東京タワー(333m)の建設風景など当時の日本が忠実に再現されています。
その中では、サンタクロースからクリスマスプレゼントに「万年筆」をもらってすごくうれしがるシーンがあったり、青森から集団就職で東京にやってきた女の子に町工場の社長さんが、正月に帰省する汽車の切符をプレゼントする場面があったり、昭和30年生まれの私には、共感する場面が沢山あります。
私たちの世代は、日本の高度成長期時代と重なります。子どもの頃読んだ手塚治虫氏の漫画「鉄腕アトム」では、2010年が舞台でした。漫画の中では、ロボットが活躍し、高層ビルが聳え建ち、透明のドームの中をエアーカーが走っていました。そんな社会を夢見て育った大人はたくさんいます。そして、東京スカイツリー(634m)の完成、自動運転の車、産業ロボットの活躍など、それが今ほぼ実現になりつつあります。しかし、その豊かさと引き換えに失ったものもあります。
子ども手当の支給や高校の無償化など、子どもは社会で育てることを基本とし、扶養控除は廃止され、主婦も働きに出るようになりました。それはそれでいいことですが、日本の家族のありようが大きく転換しました。
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