《特別支援教育の現状と課題》
特別支援学級在籍の児童生徒のうち、通常学級との交流学習、共同学習をしている割合が50%超えないようにと指導が入った。「障害種の教室で学習しなさい。通常学習で学習ができるのなら、特支学級ではなく通常学級に在籍しなさい。」ということだ。これに対して、現場では、「一人一人に対応した教育ができない。もっと現場に自由度を…。」と反発の声がある。保護者の「特支在籍でも、できるだけ他の子と一緒に…。」が願いだ。
「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育の推進は、これまでの「障害の種類と程度」から「一人一人の教育的ニーズ」への転換は、画期的であり、理念や基本的な考え方のパラダイムチェンジであった。
この背景には、小中学校の通常学級に在籍する学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉等、知的障害のない発達障害の割合が6.3%であった(義務教育段階の全ての子どもの10%ほどが、何らかの教育的ニーズをもっている)という結果にある。そして、発達障害への理解と対応、システム改革の急速に進んだ。
しかし、理念が素晴らしければ素晴らしいほど違和感と心配を抱く
実際の学校現場では、ある子は、床に寝そべり、奇声を発する。思い通りにならないと、教師に暴言を吐き、友だち同士のケンカは日常茶飯事、担任は目をつり上げ、怒鳴っている。「先生が怖い。」と学校に行きたがらない子も出てくる。だからと言ってこれが「ダメな指導だ!」とその教師を一方的に批判する気にはなれない。立ち歩く子を放っておいたら「指導力がない。」と指摘され、保護者からは「学級崩壊だ!」とクレームが入ることが予想される。そんな状況が、教師のそうした指導に駆り立てている。
子どもたちの多様な学び方があること、そして、それに対応する指導方法があることを知りながらも、目の前の問題行動を鎮めることで精一杯で、多様性を認めるどころか、多様性を押さえつけているのが現状なのだ。また、最近は、通級指導教室が増えた。通常学級の担任は、少しでも指導に困る子がいると、通級に追いやる傾向にあるのも気になる。
改革は法律を背景にして変化に迫るものであるが、実際に改革を進めるのは学校現場であり、一人一人の教師なのである。一番大切なのは、学校に内部の改革と同時に、学校の新しいチェレンジを認めるような風土づくりが必要である。
参考資料 「インクルーシブ教育における授業づくり」 上越教育大学 赤坂真二教授
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