2023年11月2日木曜日

花だより いじめ裁判の再検証 マツムシソウ イチョウ

      

 スクールロイヤー 学校現場のトラブル解決 《いじめ裁判再検証》
  国内ただ一人、現役の教師でありながら弁護士としても活動している神内 聡氏
 いじめ裁判(さいたま地方裁判所のいじめ裁判)には問題があります。 
 一つは、裁判所が学校には「いじめ防止対策推進法の重大事態を認知すべきときに、認知しない裁量があるとは解されない」と示している点です。これは明らかに法律の構造を誤解していると思われます。なぜなら、いじめ防止対策推進法28条1項2号は、不登校の原因が「いじめによる疑いがあると認められた場合には」重大事態に該当すると規定しており、不登校の原因が判断できる可能性を否定していないからです。保護者の申し立てがあれば重大事態として扱うと示しているのは、あくまでもガイドラインの記載であり、法律ではありません。
 もう一つは、被害者側(保護者)の主張の問題点です。裁判では、教員らの過失行為以外にも多数の問題となる対応があったと保護者が主張しました。しかし、結局はそれらの主張はほとんど立証されていません。実際に裁判で被害者側が請求した損害額は500万円だったにもかかわらず、裁判所が認めた損害額は50万円です。被害者側(保護者)の言動にも問題がある場合があるのです。このことは、報道されていません。
 大津市いじめ事件を再検証する
 マスコミは、悲惨ないじめ事件として、大きく取り上げ、教育委員会や学校の不適切な対応に多くの批判が寄せられました。しかし、この裁判では同時に被害者の家庭環境の問題についても指摘がされており、この点については、ほとんど知られていません。家庭環境が整っていれば自殺は回避できた可能性も十分考えられると示されているのです。
 この事件から分かることは、いじめられている子どもにとっては、学校と家庭のどちらにも居場所がない状況が最もリスクが大きくなるということです。現状のいじめ対策は、学校がしなければならない対応にどうしても焦点が当てられがちですが、子どもを本当に守るためには、家庭環境に対する取り組みも大切であり、いじめ裁判の考察を通しても教員も研究者も弁護士も議論しなければならない論点であると考えます。
 フリースクール問題で市長さんが、「家庭にも問題がある」と発言してバッシングを受けています。子育ては社会が担うようになると、これまで以上に「家庭の問題」とは言えなくなります。




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