2024年8月1日木曜日

花だより 子どもの汗する姿 倉橋惣三 ハマナス 

 

    倉橋惣三 『育ての心』を読む ~6月の汗~
              お茶の水女子大学 教授 浜口 順子
 ●子どもの汗する姿
 『育ての心』の「汗」という文章には、6月のじめじめと暑い時期に、子どもがせっせと忙しそうに汗まみれで遊んでいる姿が描かれています。
 「子どもたちの可愛い額に汗が見える。拭いてやろうとしても駆けていってしまって、またひとしきり汗をかいている。砂場での砂の手で日灼の額が汚れたままになっている。大積木を抱きかかえて汗を流しながら運んでいる。角力をとっている子の白地の上着が汗でぐっしょりになっている。」
 汗をかくと大人には不快感が先に立ちます。でも子どもは汗などものともせず一心に遊びます。そんな姿を倉橋は「貴い」と言います。しかし、同時に「汗の出るほど遊ばない子、遊べない子、汗の出ないように静かにばかり座らされている子、汗を出すと叱られる子」の姿を心配しています。戦前の昔も、こういう子どもたちがいたのだなあと思います。


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